哲学者 森岡正博
朝日新聞夕刊のコラム「送る言葉」宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の原稿段階で書いた言葉「さあ、切符をしっかり持っておいで。お前はもう夢の鉄道の中でなしに本当の世界の火やはげしい波の中を大股にまっすぐに歩いて行かなければいけない。天の川のなかでたった一つのほんたうのその切符を決しておまへはなくしてはいけない」森岡さんは、こう言います。みなさんがこの宇宙に生まれたとき、ひとりひとりに一枚ずつ渡された「いのちの切符」その存在を信じながら、自分の幸せと、あらゆる人の幸せを願って、人生を前向きに切り開いていこうとするところに、本当の生きる意味がある、と賢治は言っているのだ、と。そして、最後に、みなさんに伝えたい「送る言葉」として、こう結んでいます。どんなにつらいことがあろうとも、落ち込んでいようとも、あなた自身をも含めたすべての人にはこの「いのちの切符」が与えられており、私たちはそれを握りしめてまっすぐに歩んでいこうと決意することができる。私はそこにこそ「人間の尊厳」を見るのです。