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カテゴリ:テレビ
2011/08/14 22:00-23:30
NHK Eテレ 力の入った番組。政治の力が入らない内容なので(事故前は政治の力が関与していたと思われるが、現時点ではその力は極めて弱くなっているはず)、放送らしい中立的な原発検証番組に仕上がっていた。福島原発マークIの開発元で、その信頼性に疑問を提示して辞職した元GE技術者の言葉は重い。彼の言葉はアメリカの公聴会でさえ、マサチューセッツ工科大学ラスムッセン教授の検証により否定され、原発の安全性は考えなくても良い問題であるとされてしまう。しかし原子力は単なる確率論では済まないことをスリーマイル島事故で露呈してしまう。さすがにアメリカはこの事故を教訓に安全性に対する意識が激変した様だが、日本は「信頼性の高い日本では事故は起こらない」と増長していた。電力会社はマスコミを広告費で丸め込み、研究費目当ての御用学者は政府の言いなり。共産党議員が既に津波による原発の危険性を提示していたのに、全く無視してきたのは政界財界学会ぐるみと言われても仕方ないし、「想定外」という言葉がまるで嘘なことを示している。番組の内容とは外れてしまうが、日本の原子力のトップである原子力安全委員会の班目春樹委員長の言動は噴飯もので、これだけ失敗しているのにいまだにその地位が保全されるのだから目も当てられない。何故マスコミはこれを攻撃しないのだろうか。これだけ失敗して、彼が「食品は安全です」と言っても誰が信用できるのだろうか。 1.「総理、原発は大丈夫なんです。(原子炉は)構造上爆発しません」と総理に進言したが、 その数時間後水素爆発が起こった。 2.電源を含む複数の機能喪失を想定することはないと、浜岡原発差し止め訴訟で証言。 wikipedia参照 それはさておき、この番組で一番印象的だったのは非常用ディーゼル発電機のこと。平成5年に非常用ディーゼル発電機が1機から2機に増設された。これだけならまさにフェイルセーフの考え方で素晴らしいのだが、問題は設置場所。タービン建屋に隣接した地下に、2機とも接近して設置されていたのだ。地下は地震には強いが、仮に火災や津波が起これば、2機同時に機能を喪失してしまう。元原子力安全委員会の部会長は「M9というのは日本では起きたことのない想定外の地震だから、そこまで考えてない」と誤摩化していたが(見苦しい)、元東京電力副社長は初めて知った様で非常に驚き、設計ミス・人為ミスとさえ断定していた(但しこの辺の設計は日常業務で下の方がやっていると、上の方の責任は逃れようという印象はある)。アメリカの専門家も論外と断定し、アメリカは地震の起こりにくい地盤にある原発でさえ、非常用電源は離して設置してあるとこのこと。この件に関しては、設計当事者に何故こうしたのか強く追求して欲しい。単なるミスなら今後チェック機能をどうするか考えていかねばならないし、コスト削減の要求からなされたなら、その指令はどこからかなされたのか追求しなければならない。 この番組は今後のエネルギー政策について触れなかったのも良かった。原発はダメだからクリーンエネルギーなんて言うのは、失敗から何も学ばないことになる。クリーンエネルギーだって利権が絡めば安全性を失う可能性もあるわけで。失敗を徹底的に追及することが肝要で、この番組はそれを提示していたと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.09.12 20:25:23
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