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小出裕章先生へ一問一答の続きです。
Q 海が汚染されていますが、魚は食べないほうがよいですか? A 海産物の汚染はどのように現れてくるかというと、今現在は海藻だと思います。海藻というのはそこから逃げられません。 福島を中心に、宮城、茨城などの海岸で育っている海藻は多分汚れていると思います。 次に、底生生物ですね。貝とかヒラメのような海の底に生息する魚などは、今、汚れていると思います。これからは、海の汚染が広く薄く拡がっていきます。長期的にいえば、魚はみんな汚れる、ということです。 Q では、遠洋で獲れるマグロなどはどうですか? A 今、現在はいいですよ。太平洋の水がどこまで希釈していくかということです。例えば今、震災の瓦礫がハワイに何日で届くとか、米国の西海岸に何日で届くとか言ってるわけです。そういうふうに流れて広まっていくわけで、いずれは太平洋中全部汚れてしまうわけです。 Q では、日本海は? A データがまだあまりないので、まだ分かりません。当面は福島原発を中心とした海域での、海藻類、貝類、底生魚類に注意しておけばよいと私は思います。そういうふうに覚悟をしなければ海産物は何も食べられなくなります。 Q では、北海道の昆布などは大丈夫ですか? A 「大丈夫」ということはない。北海道だって沖縄だってみんな汚れています。米国もヨーロッパも、福島の汚染が世界中に広がっていることが分かっている。汚染の度合いが違うというだけのことなのです。 こうなってしまった以上は、汚染された食べ物をどうやって受け入れて分配するかということです。私の提案は、子どもにできるだけきれいな物(汚染されていない物)を食べてもらって、大人はあきらめて(放射線量が)高い物でも食べましょう、と。50禁、60禁というようにね。(50歳以下、60歳以下食べるの禁止) 放射線の感受性は、歳をとればとるほど少なくなってくるので、歳をとっている私たちの世代は原子力を許してしまった世代でもありますから、もうあきらめて食うしかない、というのが私の主張です。 Q 牛乳は子どもに飲ませないほうがよいですか? A すべての食べ物について汚染の数値を表示するべきというのが私の主張です。牛乳についても福島や関東で出回っている牛乳と、関西で出回っている牛乳では、汚染の程度が違うと思います。ですから、きちんと(放射能数値を)表示して、子どもには汚染されていない牛乳を飲ませるべきです。関西の汚染されていない牛乳を、福島でも手に入るように流通させ、子どもに飲ませる。学校給食で使う。そういうふうにしなければいけないと思います。 今のやり方は、何かの基準を決めて基準を上回ったら出荷停止、基準を下回れば「安全だ」として一緒くたにして流通させてしまうのですが、それではダメなんですよ。1kg200ベクレルという基準を作って、199なら流通してしまうということですが、そんなことでは子どもは守れないから、すべての表示をするべきだと。その表示の仕方に、先ほど言った「50禁」とか「60禁」とか、そういう表示をして選べるようにしましょう、と。 今の政府のやり方をみていると、それが可能になるとは思えませんが、皆さんがそれを求めて欲しい。自分だけ牛乳を飲まなければいいとか、自衛をすればいいとか、そういうことではない。お金持ちなら、外国から安全な牛乳を取り寄せて飲むこともできるでしょうが、そんなことでは解決できない。 Q ゴフマン博士のグラフについてですが。グラフは年齢別の被ばくリスクを表したものですね。小出先生の著書に書いてありましたが、赤ちゃんと小出先生の年齢の大人では300倍もリスクが違うということで驚きました。 A そうです。例えば大人の基準値が1kg当たり300ベクレルであれば、子どもには1ベクレルしか許してはいけないのです。 (※その計算でいくと食品の基準値は大人が500ベクレル以内なら子どもは1.6ベクレル以内でなければならない) ですから、私たちが(子どもに食べさせる数値を)選べるように、表示をして欲しいのです。が、残念ながら、私の力が足りずに実現できていません。 Q 内部被ばくをどのように計算するのですか? A 要するに何ベクレル取り込めば、何シーベルトの被ばくになるかということですが、どこまで正しいかということは別にして、計算するための係数があります。その係数をどのようにして導き出したかというと、様々な仮定を、仮定の上に仮定を積み重ねているわけです。例えば、呼吸で取り込んだ場合、肺に入った分がどれだけ吐き出されていくか、などを仮定するわけです。肺に入ったうちどれだけが溶けるのか、または溶けないのか? 溶けた場合は、体液に入って血液に入って、全身に移っていく、そのうちのどれだけがどこの臓器にいくのか、どの割合でおしっこや便で排泄されていくのか、など、数限りない仮定をとおして計算します。 最終的に1ベクレル取り込んだときに、何シーベルトの被ばくになります、ということをはじき出しているわけです。でも、それがどこまで正しいか分からないけれど、とりあえず今、目安にするしかない。あとは、呼吸で何ベクレル、食べ物で何ベクレル取り込むかという問題です。 例えば私の場合だと、空気を1日20立方メートル吸い込むのが標準的な人間といわれているわけですが、1立方メートルの中にセシウムが何ベクレルあると分かれば、20倍して私が取り込むベクレル数が計算できる。そこに先ほどの係数をかけ合わせれば1日ごとに何シーベルトの被ばく量かが分かる。もし同じ状態で1年続けば365倍すればいいというわけです。 Q 国が生涯の被ばく量が100ミリシーベルトを越えると発ガンリスクが0.5%上がると言ってますが。 A そもそも法律では年間1ミリシーベルト以上被ばくさせてはいけないというのに、100ミリシーベルトなどという数字を出してくること自体がおかしいと思います。 Q 今、福島では年間20ミリシーベルトを強要させられていますが、これでは5年で100ミリシーベルトに達してしまいますね。 A 1ミリシーベルトは、1万人に1人がガンで死ぬ(ICRPによる)、という量です。国に言わせれば1万人に0.5人というかもしれませんが。私はゴフマンを信用しているので、1万人に4人がガンで死ぬと思っています。 国が使っている数値はICRP(国際放射線防護委員会)のものですが、ICRPというのは原子力を推進するための機関ですので非常に小さい値ばかりを言う機関です。 放射線の危険度を原爆の被ばく者などからはじき出しているんですが、1万人に1人だとはじき出したのです。そして、原爆は瞬間的に浴びたが、ズルズルと浴びる被ばくの仕方だと危険度が半分になるから0.5だというわけですが、何の根拠もありません。でも、ICRPはそう言ってます。彼らはなるべく危険を小さく見せたいのです。ゴフマンさんは、慢性的な被ばくでも危険度が減ることはないと言ってます。そして被ばく者のデータをきちんと解析すると1万人に4人だと言ってるわけです。そして、子どもの場合は4倍から5倍危険だと。ですから、もし0歳の赤ん坊が1万人、1ミリシーベルトずつ被曝すれば16人がガンで死ぬ。もし、20ミリシーベルトを許してしまうと320人ガンで死にます、ということです。その320人という数字を大きいと見るか、少ないと見るか、その判断をしなければならない。安全でも何でもない。ただ、それを受け入れるかどうかということです。 Q 被ばくによってガン以外の病気や障害が出ることはあるのですか? 例えば不妊や奇形児出産、知能低下など。 A 私はそういうことはあると思いますが、でも立証しにくいんです。実際にこれまでは、低線量被ばくなど無いかのように管理をしてきたわけです。どういう健康影響が出てくるかというのは、長い間子どもたちを観察しなければ分からないのです。確かに今、ベラルーシのお医者さんが、こんな影響が出てきた、遺伝的な影響が出てきたなどと、報告してくれるようになっていますが、それが学説として定着するまでにまだまだ時間がかかるということです。私は(低線量被ばくの影響は)必ずあると思いますが、科学として広く認められるようになるまでは時間がかかるということです。でも、それを待っていたのでは手遅れなので、なるべく被ばくはさせないようにしなければいけないと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.07 23:28:27
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