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カテゴリ:生物系のお話
あと2ヶ月先くらいに論文抄読会(Journal club;JC)が迫っていることもあり、
早めに準備しようと、 何か面白い論文は出ていないかと、色々とニュースのほうをいつもより細かく見ている黒山羊でう。 そんな中、 こんな記事を見かけました。 ビタミンCでiPS細胞の作製効率が上がることを発見 曰く、 これまでは、1万―10万個の細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製していたのが、 培養液にビタミンCを入れたところ、作製効率を大幅に上げられることを発見した。 とのことです。 雑誌は『Cell Stem Cell』でした。 *黒山羊が所属するラボのJCは、ある程度、レベルのある雑誌から論文を選んで読まないと文句を言われます。 *Cell Stem Cellという雑誌は、幹細胞研究系の雑誌の中では、非常にレベルの高い雑誌です。 これなら文句は出ないので、 候補にしてもよいかなーと思うのですが、よくよく考えてみて、内容がどうだろう。 単に、アスコルビン酸ナトリウム(Asc)を添加しただけのような気がする・・・ ビタミンCを添加することで、培養中の細胞からiPSを作成する効率が上がったのは、 新しい発見かもしれません。 ただ、ビタミンC(Asc)って、抗酸化作用があります。 NACを添加することで、細胞培養をしやすくなることが分かっているので、 これに関係することではないかな?と考えると、 あまり面白くない、と言われてしまうかもしれません・・・。 ちょっと詳しく書くと、 細胞培養において、 細胞は、組織中とは違った環境にいるため、ストレスを受けると考えられています。 (例えば、酸素濃度など) ストレスを受けたときに、反応する遺伝子の1つとして、p53が挙げられます。 (*このp53の産物(p53タンパク)は、通常の正常組織では発現は見られないそうですが、 培養すると、組織中よりも発現量が上がるらしいのです;それだけ、培養条件は細胞にとってストレスなのかも?) このp53の発現があがる原因の1つとして、組織中とは違った環境にいることに起因する、 酸化ストレス(活性酸素などによるダメージ)が知られています。 このp53というタンパクがあると、 培養している細胞は増えれなくなったり、細胞自身が死んでしまったりします。 なので、 p53を減らしてやれる環境、 つまり、酸素濃度の条件や酸化ストレスがない条件を作れば、 細胞にとってはhappyで、 細胞は「よっしゃ、増えるか!」と増殖してくれます。 ビタミンC(Asc)はヒトや霊長類では合成できない物質で、 抗酸化作用があります。 これを培養中に添加してやることで、細胞の酸化ストレス→p53の発現上昇が軽減され、 長期の細胞培養を可能になる、ということは、結構昔からなされています。 また、 以前に、p53をなくすことで、iPSが作製しやすくなったという報告があります。 なので、 酸化ストレスを減らすことで、培養中でのp53の発現が多少抑えられて、 iPSの作製効率が上がった、というのなら、わからないストーリーでもないし、 インパクトも少ないかもしれない(少なくとも、うちのラボでは)。 こういったことで、どうかなーと。 ただ、 p53をknock down(K.D)した場合と、 ビタミンC添加時で、 どちらがiPS作製効率よかったのかは、ちょっと気になるところ。 まぁ、多分、p53 K.D.のほうが効率いい予感は当たり前にするけど。 とあるお嬢さんにとっては、 面白そう!!ということで、 論文落として来い!と、言われそうな気がしています。 (実は、この雑誌、すぐには落とせないんです。 けど、欲しいなら手を尽くしてみます) 余計な一言。 なんで、今日の記事は微妙に詳しいのか、って? そりゃー、 アスコルビン酸ナトリウムと、もう1つの抗酸化剤、NAC(N-アセチルシステイン)を使ったことがあるからさっ! 練習として、ヒトの胃由来の上皮細胞を延命・不死化していたときだけど、 この子も、とうとう貰われていっちゃったしなぁ・・・ いちおー、 胃由来で上皮系のマーカー出してたんだけど、 培養していたのが、1年以上前で、何か聞かれたときに心配。 あとで、ログ見直しておこうっと。 ま、来年でいいか=3 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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