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カテゴリ:MOTO GUZZI V7Racer
カブの改造部品を買いに岡山のナップスに出掛けた帰り道でそれは起こった。その日は連休なのでクルマが多いとみてV7ドンキーに乗っていたのだ。家まで4キロ程になった所の信号ダッシュでギアチェンジに違和感があった。ギアがスムーズに入らないのだ。何かおかしいと野生の感が働きバイクを止めようとギアを落とすのだが、いよいよシフトペダルが腑抜けになって行くのが分かる。何とかニュトラルまで落としたら、とうとう足にシフトペダルの感触が無くなってしまったのだ。
慌てて足下を見るとシフトペダルがシフトシャフトから外れてリンクと一緒にぶら下がっていた。何たる事か。どうやらシフトペダルを留めているボルトが振動で抜け落ち、ペダルが次第にシフトシャフトから抜けて、最後には落下に至ったのである。 家までもう少しなので、ボルトは無くてもペダルさえシャフトに挿し込む事が出来ればスプラインが刻んであるので、直ぐに抜け落ちる事は無いだろうと思い、道端で挿入作業に掛かる。グッツィのシフトリンクは複雑で途中にシフトシャフト1本が使用されているので、このシャフトを内側へ手を入れて押さえ付けながらシフトペダルを挿し込まなければならないのである。クルマがビュンビュン通る幹線道路なので、早く事を収めようと無防備に手を突っ込んだ瞬間「あぢい~」ジャンパーの袖から出ていた腕がマフラーに触れてしまったのだ。辺りに水も無いし冷やす事も出来ない。痛熱くて涙目になりながらも今度はマフラーに注意を払いながらもう一度トライ。スプラインが上手く噛み合わない。何故だ?よく見てみるとシフトペダル側のスプラインが少し削れて変形している。きっと抜ける寸前に足で押さえたものだから変な力が掛かって、アルミのスプラインの山が変形してしまったのだ。車載工具の中から一番重そうなディーンのモンキーレンチを取りだしてシフトペダルを叩き込もうとしたのだが、軽いのとバックステップが邪魔で力が伝わらない。このままこんな所に止まっていたら、クルマにひき殺されてしまいそうなので、一時近くのホームセンターの駐車場まで避難するべく押して移動した。ギアがニュートラルで止まっていてよかった。 道具がないとこの窮地からは脱する事は出来ないと判断して、妻にレスキューの電話を掛ける。 私 ドンキーが壊れた。金槌と鉄棒を持ってレスキューに来てくれ。 妻 何処に居るの。 私 タイムの駐車場。 妻 直るの。工作車で行こうか? 私 多分応急処置は出来ると思うので、フィットでええから早く来てくれ。 妻 金槌とその鉄棒とやらは何処にあるの? 私 アストロの工具箱の下から2番目に金槌。3つに分かれている引き出しの一番右に鉄棒が入っとる。 妻 だから~。鉄棒とはどんな棒? 私 鉄棒言うたら、鉄棒じゃ。他にどんな棒があるんじゃ。 妻 長さは!(段々と機嫌が悪くなって来た。) 私 直径1センチ、長さ15センチ位な鉄の棒が3本程ございますので、その内1本が所望でございます。 駐車場の自動販売機で冷えた三ツ矢サイダーを買って火傷跡を冷やしながら、飲んでいたらレスキューが到着した。私がシフトペダルをシフトシャフトのスプラインに合わせてシャフトを押さえるので、妻にシフトペダルのアームに鉄棒をあてがって金槌で叩き込めと命じる。 息のあった俄鍛冶屋のようにトンカラ。トンカラ。と棒を叩くと思い通りにペダルのスプラインが修正されながらシフトシャフトに嵌め込まれて行く。キッチリ入った所でエンジンを掛け慎重にギアを入れてみる。大丈夫だ。先に駐車場を出たのであるが、ペダルの角度が上過ぎて2速になかなか入らない。仕方がないので、1速中心で家まで何とか辿り着いた。 マフラーの熱がすっかり冷めるまで放置して、修理に取り掛かる。ペダルの角度を修正してシフトペダルをはめ直す。抜け落ちたボルト穴に丁度良いボルトを探して少し強めにねじ込む。テスト走行でシフトペダルの角度を確かめるが故障前と同じ位置で有る事が確認出来た。やれやれである。 それにしても、走行中にシフトペダルが外れたのは初めての経験である。一般道でしかも家から近い所だったから良かったものの、高速道路だったらと思うとゾッとした。以前にもINマニカバーのボルトが外れて無くなっているのを見つけ、キャップボルトで代用した事があった。イタリア車だからと言う事は無いと思うのだが、振動の大きなツインエンジンなので、ボルトの緩みはある程度仕方がないのかも知れない。その特性を良く理解した上で日頃の点検をもっとマメに、そして重要箇所は念入りに行わなければならないと肝に命じた出来事であった。 こんな事になってしまっていた。(帰って修理中) 角度を合わせボルトを入れたシフトペダル 右手の火傷跡 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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