バーミンガムでのマイスタージンガーにWコッホ出演
Town Hall & Symphony Hall, Birmingham announced as followsThe Royal Opera: Die MeistersingerBirmingham International Concert Season 2011/12 Wednesday 11 January, 4:30pm Symphony HallBryn Terfel has regrettably had to withdraw from the role of Hans Sachs due to a chest infection. We are pleased to be able to announce that the role will be taken by German bass-baritone Wolfgang Koch, who has been delivering outstanding performances as Sachs in the current staged production at the Royal Opera House. Koch has previously triumphed as Hans Sachs at the Vienna Staatsoper, and his highly praised Wagnerian roles also include Alberich (Das Rheingold, Siegfried) and Amfortas (Parsifal). 公式発表前にIntermezzo さんのサイトで噂ということで言及されていましたが、バーミンガムでのコンチェルタンテのマイスタージンガーからハンス・ザックス役のブリン・ターフェル降板で、代役をヴォルフガング・コッホが務めることになりました。回を重ねるごとにKoch さんの評判が上がっておりまして、うれしい限りです。Intermezzo さんのサイトに寄せられたコメントを見ても、最近の公演に関しては大絶賛されています。「コッホがこの調子(4日の公演)を維持するならばバーミンガムの人はすごく楽しめるだろう」とも書かれています。ちなみにIntermezzo さんはマイスタージンガーのすべての回のチケットを持っているそうです。公演を全部見るらしいです。すごい!コメントを寄せてくる人たちも、批評の対象になる初日だけではなくその後の公演もウォッチするIntermezzo さんの姿勢を評価しています。そしてそれこそがアマチュアのオペラ・ファンにできることであり、必要とされていることなのです。ある人は書いています。「コッホは初日のマスコミの評価で大敗を喫したがこれは不当だと思う。彼の声は近年最高のリリックバリトンであるベルント・ヴァイクルの声に似ている。」私はコッホの声がヴァイクルに似ているとは思いませんが、ヴァイクルがザックスとして「近年最高」であるという事実には賛成します。ROH のラジオ放送を聴きましたが、最初はあぁ、Barak の声だとかあぁ Wotan の声だとか思いながら聴いていましたが(何しろ刷り込まれているもので)、だんだん Hans Sachs の声だ!と思えるようになりました。温かい声、それでいて凛としているハンス・ザックスの声です。「誰よりも人間性をよく理解している」ハンス・ザックスの歌唱に聴こえました。男としての葛藤、ニュルンベルクのマイスター 独立性について憂える心、いろいろR.Wagner自身の思いがつぎ込まれているザックスのセリフです。しかも2幕からはほぼ出ずっぱりの歌いっぱなしで、大変な歌唱量があります。休憩も含め6時間半の大スペクタクル!第1幕、マイスタージンガーの集会のシーンではファイト・ポーグナー役のトムリンソンの独壇場となっています。しかし2幕からはやっとザックスの歌がちゃんと聴けるようになります。「エーヴァちゃん」にかける声の優しいこと。ベックメッサーとの軽妙なやりとり。大騒ぎになったあとの第3幕ここからがKoch の本領発揮です。哲学的思いにふけるザックスエーヴァとヴァルターの駆け落ちを食い止めたザックスは口に出さずとも何とかしてベックメッサーを負かして、ヴァルターをエヴァの結婚相手にすべく、歌合戦に勝利させる術を考えています。「ヴァルターは『歌い損ね』だよ」と2幕では言っています。(実際サイモン・オニールは不調だったのでリアルに『歌い損ね』でした(笑))その時点ではザックスも難しいと考えているのです。ベックメッサーに盗られるぐらいなら俺が…とは思いますが、エーヴァの恋心を知ってしまったので親切心が顔を出しやはり自分を捨ててヴァルターを応援しようと決心するのです。ヴァルターが起きてきて、ザックスは優しく、そして適切に彼を指導し、歌合戦で勝てる歌を作らせます。しかし三節めになるとヴァルターはもう、いっぱいいっぱいになってしまい、歌を作ることを拒否していなくなります。なかなか道は遠い。そこへ闖入者。ベックメッサーはザックスが置き忘れた歌詞の紙を盗みます。これはザックスにとってはうれしい誤算でした。あの難しい歌詞で適切に歌えるはずがないとザックスは読んだからです。ここで歌詞に関してはベックメッサーがザックスに一目おいているが、メロディに関しては自分に自信を持っていることが披露されます。「ベックメッサー、カイナー・べッサー」自分よりうまい奴はいない。このおごりが命取りになります。エーヴァがやってきて靴の直しを迫ります。するとヴァルターが入ってきて思わずエーヴァは叫びます。察したザックス、靴を直すふりをし続けます。エーヴァはザックスの胸に顔を埋め泣きます。ヴァルターはザックスに歩み寄り握手します。ザックスはエーヴァをヴァルターに押しやります。ザックスはダーヴィトを職人に昇格させます。ザックスとエーヴァとヴァルター、ダーヴィトとレーナ(マッダレーナ)の5人のクインテットです。胸に沁みます。それぞれの思いが歌われ、ザックスは出発を告げます。いざ!ヨハンニスフェストへ!繰り出すのです。私にとって今やマイスタージンガーの3幕のここまでの展開が最も重要となりました。それ以外はフェスト的な大騒ぎ、『晴れ』の場での出来事はそれはそれ。ザックスの心情が描写される第3幕の第1場から第4場までがもっとも大事なシーンです。それはまるでワルキューレでの Wotan の最後のモノローグが最も哲学的で重要であるのと同じです。第3幕第5場 ヨハンニスフェスト、職人たちに続いてバレエシーン、いよいよマイスタージンガーたちが登場します。人々はザックスの書いた歌を歌い、ザックスを祝福します。歌合戦の始まり。ベックメッサーがめっちゃ笑われ、(このへんやはりイギリス人は芝居がうまいです)ヴァルターの登場となります。ヴァルターの歌は人々の心をつかみますが(サイモン・オニールは不調だったのでここは聴かないふりをしております)、マイスターになるのは嫌だ!と叫びます。最後のどんでん返し、ザックスはマイスターの心を歌いあげます。" Verachtelt mir die Meister nicht" ここまできてKoch さん、本当に疲れ切っています。シュトラウスのFrau ohne Schatten の時も最後の最後でなかなか苦しそうでしたが、この日もそうで、ガラでここだけ歌う、というのとは違うので大変だったと思います。お疲れさまでした。ROH ではまだ8日があるし、11日のバーミンガムの公演もある。がんばってください。見られる方は堪能してください。ぜひご感想をお願いします!ROH の1日のラジオ放送のインターミッションで流されたインタビュー。第1幕と2幕の間では、演出家グレアム・ヴィックと批評家の(?)女史、話しの流れに沿って、Sir John Tomlinson, Peter Coleman-Wright, Simon O'Neill, Wolfgang Koch が登場します。第2幕と第3幕の間では、Royal Opera のDirector of Opera, Kasper Holten のロングインタビューが放送されます。多分いわゆる天才なんでしょうね。ものすごい早口の聴き取りやすい英語で立て板に水でしゃべりまくりました。なかなかおもしろかったです。Kasper Holten, Royal Opera Director of OperaA native of Copenhagen, 37 year old Mr Holten has been Artistic Director of the Royal Danish Opera since 2000, where he successfully led the move into Copenhagen’s new opera house in 2005.