二期会ウィーク 第6日 カルメン
Ah! Carmen! Ma Carmen adorée! ~Tetsuya Mochizuki as Don José, stunning performance, phenomenal! He made a debut as Don José in Carmen at Suntory hall, Tokyo. Photo:©Shevaibra, courtesy of Mr. Mochizuki二期会WEEK@サントリーホール2015◆第6日「オペラ『カルメン』ハイライト」 2015年6月27日(土) <カルメン>伊原直子<ドン・ホセ>望月哲也<ミカエラ>羽根田宏子<エスカミーリョ>甲斐栄次郎<フラスキータ>三宅理恵<メルセデス>田村由貴絵ピアノ:森島英子構成・ナレーション:宮本益光 ハバネラ“恋は野の鳥” 二重唱「母の便りを聞かせてくれ」 セギディーリャ「セヴィリアの城壁近く」 ジプシーソング「賑やかな調べ」 闘牛士の歌“諸君の乾杯を喜んで受けよう” 二重唱「あんたのために踊りましょう」 花の歌“おまえの投げたこの花を” 休憩 カルタの歌 ミカエラのアリア“何を恐れることがありましょう” 二重唱「俺はエスカミーリョ」 間奏曲 「俺のことを愛するなら」 二重唱「あんたね 俺だ」 Photo link***伊原先生のカルメン。完売公演です。こんなに強力なキャストないでしょう!甲斐さん 掛け値なしに日本最高のバリトン!こんなに完璧なエスカミーヨはかつて聴いたことありません。高音域も美しくて太い。完璧な音程。まさにロックオン!伊原先生もミカエラを歌った羽根田さんも驚くべきパフォーマンスでした。特にミカエラの絶唱は驚天動地のパワーでした。産休明けの田村さんの美しくパワフルな美声を聴けて幸せです。何より歌うことが楽しくて仕方ないとクリクリの瞳が表情が語っておりました。宮本さんの台本とナレーションさすがでしたね。今回ある男がドン・ホセの回想を聞くという形式で構成されていて目からウロコでした。ご本人に伺いましたら、原作にはミカエラは出てこないのでオペラのカルメンと原作をミックスして作成したとのことでした。さすがです。三宅さんのすばらしいコロラトゥーラが今回聴けなくて残念でしたが美しく高い声のソプラノで良かったです。そしてドン・ホセデビューの望月さん。すばらしかったです。こんなにドン・ホセが彼に合うとは!感動でした。第4幕では涙が出ました。Carmen! Il est temps encore.こんなに必死に愛しているのに、つれないカルメンに訴えても訴えても愚弄されついにナイフを取り出すがワナワナと震え自分から白刃に飛び込んできたカルメンを抱きとめた時の驚愕の表情。全て最高音はチェストで。すばらしいです。花の歌も。démon,デーモーン!という声のすごい迫力。初役と到底思えない没入ぶりと迫力と美を兼ね備えた歌唱。マルセロ・アルバレスがこの役でFachを変えたように見事な脱皮新境地を切り拓いたと思います。この役も彼のおはこになりそうです。&&&語り部落ち着いた朗読も雰囲気があって良かった。「私」がコルドバである男に出会う。その男こそ、逃亡中のドン・ホセ。数日後に処刑されることになる男だった。ハバネラ恋は野の鳥赤いフリルのついたドレス薔薇を二輪頭に挿し深く空いた胸元に一輪の薔薇。カルメン。ドン・ホセがかみてから現れ カルメンを見ている。いや、見ないように椅子に座っている。カルメンは花を投げつけて去る。ホセは怒っている。自分の中のさざなみに怒っている。幼馴染のミカエラ。二重唱お母さんからの手紙とキス。ホセは騒ぎを起こしたカルメンを後ろ手に縛る。あたしが好きなのは隊長さんでも将校でもないホセはついに気持ちを抑えられなくなる。カルメン 俺を愛してくれるのか?カルメンは縄を放り投げ去る。ホセは階級を剥奪され歩哨になって立つ運命にプライドが高いホセにはつらい処遇アルカラの竜騎兵になるリーリャス・パスティアの酒場のジプシーソングはメルセデスとフラスキータが歌う。2人ともすばらしい!Eijiro Kai, baritone as Escamillo, the former ensemble of the Wiener Staatsoper闘牛士エスカミーヨの登場。上着を闘牛士のマントのように右の肩の前にかけている。さすが。お馴染み闘牛士の歌。とんでもなくすばらしい歌唱だった!バリトンなのに高音域もすごく美しい。美声でパワフルで安定した歌唱。会場大喝采!盗賊団の密談の重唱のシーンはなく、かみての袖でホセが歩いて来ながらアルカラの竜騎兵を歌う。ここはカットされるかもと思っていたので嬉しい。本当に歩いて来ながら歌っていた。カルメンはカスタネットで踊る。帰営ラッパが鳴り出し、ホセは戸惑う。Il faut que, moi, je rentre au quartier pour l'appel.そんなホセに怒るカルメン。カスタネットを投げつける。いよいよ花の歌。しかしここでアクシデント!ホセがカルメンを突き飛ばし話を聞いてくれ!と言うJe le veux, Carmen, tu m'entendras!カルメンは椅子に座ろうとして床に落下。思わず息をのんだ。カルメンはかみてを向いたまま床に手をついてじっとしている。もしかしたらどこか痛めたかも?しかしホセは演技しているのでそこで頓着できない。そのまま芝居を続けるカルメンは椅子に座りなおす顔はかみてを向いたままだプロ根性を見せる伊原先生。動揺しちゃいけないこれから花の歌なのだから望月さん落ち着いて!と私は一人で勝手に念じていたLa fleur que tu m'avais jetée, Dans ma prison m'était restée, …Et j'étais une chose à toi. ここの音階を駆け上がるような難しい部分。マルセロ・アルバレスの花の歌 生で聴いたが最高音チェストだった。カウフマンはソット・ヴォーチェだった。やはり望月氏もチェスト。胸を打つ歌唱。世界のどの歌手にも似ていない望月哲也の花の歌。聴けて幸せだった。本当にすばらしい歌唱だった!「ヘフリガー先生が見守ってくれていたような気がしました。」from 望月哲也氏のtwitter事前に話題になっていたのだが、伊原先生はエルンスト・エフリガーの日本人最初の弟子で望月さんは彼の最後の愛弟子だったという縁があったのだ。Là-bas, là-bas tu me suivraisなどその後の2幕の展開はすべてカット。いつか完全版が見たいです!休憩ここで第3幕への間奏曲。宮本氏のナレーションがまた驚きの内容。カルメンは盗賊団のガルシアの情婦だった。ホセはガルシアも殺してしまう。メルセデスとフラスキータのトランプ占い。愛と財産を手にいれるという占いに喜ぶ2人。しかしカルメンには死しか出ない。ミカエラ。これもとんでもなくすばらしい歌唱だった!まさにこれこそミカエラという美しきとパワー。ホセが見張りをしているとカルメンを追いかけて来たエスカミーヨに出会う。カルメンの恋は6カ月ともたないんだ。それでも好きなのかああ。では払うものを払ってもらおう。Soit, on paira,Soit, on paira.ソワ・オ・ペラ、いいさいくらでも。ナイフで払うんだぞおまえがあの?そうさMettez-vous en garde Et veillez sur vous. 決闘の二重唱 すばらしい!日本最高のテノールとバリトンの共演です。***ホセは盗賊団を抜ける。カルメンは闘牛場へSi tu m'aimes, Carmen, エスカミーヨまたすごい!Ah! Je t'aime, Escamillo女2人の警告笑い飛ばすカルメン。C'est toi?あんたねC'est moi.俺だついに来たこのシーンホセは上着を脱いでベスト姿。Notre passé je l'oublie, Oui, nous allons tous deux 昔のことは水に流すやり直してくれないかEntre nous tout est fini.もう終わったのよ本当にすばらしかったドン・ホセの歌唱で涙が滲んでくる。Carmen, Il en est temps encore, Oui, il est temps encore … まだ間に合うんだO ma Carmen, laisse-moi Te sauver, toi que j'adore, Et me sauver avec toi.お前を殺したくない愛してるんだオレに殺させないでくれホセはカルメンの肩をつかみ後ろから顔を寄せるじっと顔を背けたままのカルメンに、人が変わったように強く肩を握りしめるTu ne m'aimes donc plus?もう愛してないのか?Ah! Ne me quitte pas, Carmen別れないでくれ!Et libre elle mourraカルメンは自由に死ぬのよ闘牛場の歓声カルメンは歓声に酔ったように興奮するそんなカルメンを見つめ嫉妬で狂うホセカルメンは扇でホセの胸を突く。Eh bien! Frappe-moi donc刺したきゃ刺せば? Ou laisse-moi passer.どいてよ!Pour la dernière fois, démonこの悪魔め、気は変えないんだな刺し貫く電光のような”démon”カルメンはホセにもらった指輪を外し、指輪を床に投げつけるtiensナイフを取り出すがワナワナと震え自分から白刃に飛び込んできたカルメンを抱きとめた時の驚愕の表情。C'est moi qui l'ai tuée.Ah! Carmen! Ma Carmen adorée!全幕了。カルメンのドン・ホセ、ロール・デビューの望月哲也さん。本当に素晴らしかったです!!すごかった!こんなに彼に合っている役は他にないかも!?涙出ました。日本の至宝テノール。またぜひやってください。天才の所業を目の当たりにしました。いったいいつ勉強したのだろう?と思うほどの過密日程、強行スケジュールの中、全部動きも含めてすべて入っていてこの歌唱!すごいとしか言えません!