大塚博章さんWotan デビュー Le voci ワルキューレ
Hiroaki Otsuka, bass-baritone has made a debut as Wotan.Photo:©Shevaibra, courtesy of the artistsLe Voci 公演 @ 青砥Die Walküre accompanied by double pianos 2016年 4月29日(祝・金) 14:30 開場 15:00開演 Le voci2台ピアノによる『ワルキューレ』かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール ヴォータン 大塚博章 フリッカ 磯地美樹 ブリュンヒルデ 津山恵ジークムント 上本訓久 ジークリンデ 羽山弘子 フンディング 高橋雄一郎ゲルヒルデ:藤野沙優 オルトリンデ堀口加奈子 ヴァルトラウテ北村典子 シュヴェルトライテ栗田真帆ヘルムヴィーゲ薮田瑞穂 ジークルーネ梶沼美和子 グリムゲルデ石橋佳子 ロスヴァイセ久利生悦子指揮:安藤敬 ピアノ:中井裕司 ピアノ:鈴木架哉子 ティンバニ:田中覚***ワルキューレ全幕を2台とはいえピアノ伴奏でやるのはもしかしたら無謀なことかもしれないと思っていたが、実演を見て払拭された。中井さんがメインでメロディを弾くベーゼンドルファー もう一人のピアニスト鈴木架哉子さんが音を足すスタインウェイだったそうで4時間、腕が壊れそうなほど弾き続けた。最大の功労者を讃えたい。中井さんの音色にしびれっぱなしの4時間だった。あとティンパニを入れたのも良いアイディアだった!ブリュンヒルデの登場に欠かせないもの、それはティンパニだ。Wotanデビューの大塚博章さん。演技も歌唱も一貫してすばらしく、めっちゃかっこいいWotan。ロン毛にヒゲ ワイルドで斎藤工(たくみ)みたいだった。演技も考え尽くされているものだった。はっきり聞き取れるドイツ語でWotanの長い歌唱部分もまったく飽きさせない心地よい響きと説得力のある歌唱だった。ブリュンヒルデ津山恵さんがめっちゃすばらしかった。5月の青空のような透きとおった明るい声で大声量。ブリュンヒルデタイプの声ではないかもしれないが、圧倒的なリリック・ソプラノだった。ジークリンデの羽山弘子さんも圧倒的。何をやってもうまい!ジークリンデの激情を見事に表現していた。ジークムント上本訓久(うえもと・のりひさ)さんも大健闘!強靭なヘルデンがかった声で ロバート・ギャンビルのジークムントを思いださせるものがあった。フリッカ磯地美樹さんも素晴らしい歌唱だった。フンディング高橋雄一郎さんがまさにフンディングの低い声でよかった。字幕が超訳で二行にわかりやすくまとめていてよかった。お疲れ様でした〜+++オケピに入っている2つのグランドピアノ。ピアニストは指揮者の方を向いているかみてにティンパニやありとあらゆる打楽器が集まっている。これを一人で…⁉第1幕追っ手に追われ傷ついたジークムントがさまよいこんでくるとある館。ジークムント:どこかは知らぬが休ませてもらおうジークムントはしもての椅子にこしかけたまま気を失う。ジークリンデがかみてから来る。見知らぬ男に気づき、立ち止まる。水さしとカップを運ぶジークリンデジークムントはむさぼるように水を飲み干し自分で水差しからニ杯めを注ぐ。ここはフンディングの屋敷よ。私は武器もないんですよ。けがも…けがしてるの?ジークリンデはうろたえる。大したことありません。疲れは吹っ飛びました。die Sonne lacht mir nun neu.ジークリンデはさらに甘酒を持ってきて渡す。あなたがまず飲んで。ジークリンデは飲むその盃を渡すときに手と手が重なる。はっとしたように手を引っ込めるジークリンデ。ジークムントはすぐに立ち去ろうとする。ここにいてください!ジークリンデの悲痛な叫びに出ていこうとしていたジークムントは立ち止まっている。そこにフンディングの動機フンディングが帰宅する。ジークリンデは慌てたように客人を入れた訳を説明する。Du labtest ihn?もてなしたってわけか?剣呑な低い声、まさにフンディングの声だ!当然のことでしょそんなことで奥方を叱るのですか?Heilig ist mein Herd: - heilig sei dir mein Haus! おい、飯の支度だ!!ジークリンデは飲み物を出すフンディングは男の目が妻の目に似ていると独り言を言う。おまえの名前はなんていうんだ?答えないジークムント。フンディングは妻の横に立って家内も知りたがってるようだ。あなたが誰なのか知りたいです。Friedmund darf ich nicht heissen; これまでのいきさつを語る。話の途中に彼が敵であることがだいたい見えてきたフンディング。ヴェルフィング族か。お父様はどこに?drum musst' ich mich Wehwalt nennen; そんな奴誰も歓迎しないな。ジークムントはある戦いについて語る。Nun weisst du, fragende Frau, warum ich Friedmund nicht heisse!奥様、これでわかったでしょう私がフリートムントと名乗らぬわけを。ジークムントはいったい自分の名前をいくつ語ったことか…名は体を表すというが、Wagnerは名前の意味が人柄やその存在意味を表すことを表現している。ジークムントは自分の名前を失って悲惨な人生を歩んできた。あすは戦いの日だ、ヴェルフィングよ。ジークリンデは出ていくがまた戻ってきてジークムントの視線を捉える。そして意味ありげに奥の柱に刺さっている剣を見る。ジークムントはいぶかしげにその視線の先を見る。剣に気づき興奮する。フンディングがどなる。男というものは武器がないとな!せせら笑う。退場Ein Schwert verhiess mir der Vater, ich fänd' es in höchster Not. ジークムントは思い出す父親がしていた話。危機にあった時に出会うであろう剣の話を。Wälse! Wälse! Wo ist dein Schwert?ここのヴェルゼ!適宜に立派に伸ばしました~~~!ジークリンデが現れる暗闇の中なので気づかないが声をかけられて気づく誰です?私です。フンディングを眠らせました。あなたに武器のありかを教えに来たのです。ジークリンデの激情がほとばしる。ダダダダン!!誰が来たの?それは春の風で扉が開いた音だった。Winterstürme wichen dem Wonnemond, もっとも美しいジークムントの歌唱の部分。ジークリンデも応える。Du bist der Lenz, nach dem ich verlangte in frostigen Winters Frist. ジークリンデの興奮あなたの名前はヴェーヴァルトじゃないでしょう?好きなように名付けてください!お父様はヴェルゼです。Siegmund - so nenn' ich dich!ジークムントはとねりこの木に刺された剣のつかをつかむ。Notung! Notung! So nenn' ich dich, Schwert - 剣を引き抜くSiegmund, den Wälsung, siehst du, Weib! dort schützt dich Notung, das Schwert, wenn Siegmund dir liebend erlag!so blühe denn, Wälsungen-Blut!第1幕了。休憩20分。第2幕解説書に「ステージング 大塚博章」とあるので、いまさら見たのだが、大塚さんが演出をつけたのかもしれない。ほがらかにやってくるWotan。Nun zäume dein Ross, reisige Maid! 今回衣装やメイクはまったくしてない。しかし演技、動き、表情、小道具は舞台上演と同じである。大塚氏は白いフリルのついた燕尾服。胸元に白いポケットチーフ。片目の眼帯などしていない。豊かに肩までなびく黒髪が魅力的ひげも。そして片手に長いWotanの槍を携えている。対してブリュンヒルデの津山恵さんは真っ赤なツーピースで背中がフリル上になっておりちょっと羽根っぽい。ワルキューレの羽根をイメージしたのか。黒いインナーが見えているセクシーな背中。下はたっぷりしたパンツ。この上下が目にも鮮やかな真っ赤。髪は結ってボーイッシュさを演出している。演技はティーンエージャーのような子供っぽさのあっけらかんとした素直さのにじみでるもの。Hojotoho! Hojotoho! 彼女が歌いだす。すばらしい声、すぐにその明るく豊かな響きに魅了される。これはすごい!!フリッカの到来を知り、ブリュンヒルデは去るフリッカは紫色のゴージャスなロングドレス、すけたヴェールをまとっている。落ち着いたメゾのパンチのある声。Wotanは満面の笑顔でフリッカに拝礼し、近づいて手に口付けする。フリッカはその手を振りほどく。dass leiblich Geschwister sich liebten?フリッカはジークムントジークリンデが兄妹でありながら契りを交わしたことが許せない。Heut' hast du's erlebt! Siegmunds und Sieglindes Bund!Wotanはここではまだフリッカの訴えも笑顔でかわす余裕がある。言い募るフリッカO, was klag' ich um Ehe und Eid, わたしを狼の足元に投げ与えるようなものよ!ここでWotanは困ったように哲学的思考を漏らすおまえはすでに世の中にあることしか理解できないのだ。ここはワーグナーの哲学が反映されている。ワーグナーは革命家だ。今までの世の中にないもの、それを創り出したワーグナー。それを希求するWotanはまさにWagnerそのものなのだ。ハンス・ザックスがWagnerの分身であるようにWotanもそうなのだ。フリッカはWotanを追い詰めるあなたが仕向けたんでしょ?自由な人間神であるあなたが全部お膳立てしたのよ。mein Schutz schirmte ihn nie.俺は…彼を守ったことはないぞじゃ今日もそうしてね。剣を取り上げなさい。剣だと?あいつは危機において自力で手に入れたのだ最初上機嫌(を装い)フリッカをかわしていたWotanは真顔になってくる。その危機とやらはあなたがお膳立てしたんでしょ。doch Siegmund verfiel mir als Knecht! ジークムントは私にとっては奴隷に過ぎないわ。この言葉についにWotanはかっとなる。フリッカを見る。まさか私の夫はそんなこと望まないわよね!Wotanは陰鬱につぶやくWas verlangst du?どうしてほしいんだ?彼は好きに生きるさワルキューレは勝手にするさ反駁は力なく覇気がないワルキューレにも手を出させないで!ジークムントを斃すことはできない。私の剣を見つけたのだ…剣を砕きなさい。ワルキューレのかけ声が聴こえてくる。Wotanの根回しした策略はすべてフリッカにお見通しだった。先に先に回られWotanには反論の余地がない。Deiner ew'gen Gattin heilige Ehre …Der Wälsung fällt meiner Ehre: Empfah' ich von Wotan den Eid?ヴェルズングは私の名誉のために斃れる、そう誓ってくださいませ。Nimm den Eid!誓うとも。陰気にうなるWotan.フリッカは舞台後方の白い壇の上に上がる。ブリュンヒルデはかみてにいる。父上様にどうするかよくお聞きするのよ。Wotan からさきほどの陽気さが消えていることに気づくブリュンヒルデ。フリッカの勝ち誇った物言いからも話し合いが悪い結果になったのではないかと推察している。O heilige Schmach! O schmählicher Harm! Götternot! Götternot!素直な子供ブリュンヒルデは純粋に父の苦悩するさまを見て驚き、わけを聞こうとするwer bin ich, wär' ich dein Wille nicht?私はあなたの意思なのですからWotanは語りだす今までの経緯たった一人作り出せた自由な男しかし彼にはノートゥンクという剣によって神の庇護を与えてしまった。その欺瞞を見破ったフリッカに言質をとられWotanは最愛の息子を自分の手で殺すことになってしまおうとしている。息子に対して厳しい運命をあえて与えて生き伸びさせてたにもかかわらず肝心のところで彼を裏切らなければならない。そうワーグナーは母への憧れと父への憎しみ、コンプレックスが作品にいつも反映される。父と息子は相対するもの。愛しつつ憎みあうように設定されている。ジークムントは(ヴェルゼを愛しつつも)神剣を破壊する父(=Wotan)を憎むしジークフリートは父を殺した相手(祖父)を憎んでいる。いつも裏切られるジークフリートは仲間だと思っていたハーゲンに背後から刺され死ぬ。裏切り…そして死…憎しみ…報復…の連鎖である。Was ich liebe, muss ich verlassen, morden, wen je ich minne, trügend verraten, wer mir traut! Auf geb' ich mein Werk; nur eines will ich noch: das Ende, das Ende!世界の破滅を見据える、為政者の視点である。自分の家族を殺し、裏切り、世界のことを考えなくてはいけない。公人というものは。アルベリヒという最大の政敵が軍勢を増していることを知り、いっそ世界を唾棄すべき存在の男に与えてしまおうかとさえ思うほど絶望している。だからジークムントを殺すようにブリュンヒルデに命令しているのに大局的な視点から考えられないブリュンヒルデには理解できないWer bist du, als meines Willens blind wählende Kür? Wotanは怒りをあらわにする。Siegmund falle - Dies sei der Walküre Werk!Wotan は槍をブリュンヒルデに押し付け立ち去る(オリジナルの解釈)ここ重要。Wotanは神の意思をブリュンヒルデに代行させようとしているブリュンヒルデはそのWotanの槍を持ってジークムントのところに向かうのだ。Weh', mein Wälsung! Im höchsten Leid muss dich treulos die Treue verlassen!第3場ジークリンデとジークムントが森の中を逃げてくる愛し合った双子がフンディングの館を逃れ、森の中を走って逃げてきたジークリンデは強迫的に先に進もうとするジークムントは彼女を抑えようとする。Sieh, dein Bruder hält seine Braut: Siegmund ist dir Gesell'!優しい言葉ジークリンデは落ち着いたように見えたが一転して過去の思い出がよみがえってパニックに陥る。本当の愛の悦びを知ったジークリンデは愛のない肉体的交わりを受け入れていた自分に嫌悪感を抱くようになったのだ。Wagnerの考えは明らか。結婚という社会的ルールを逸脱しても愛の方が重要だと。その愛とは陶酔の愛なのだ。欺瞞の結婚を逃れようと心底思うのは真実の愛を知ってからでないとありえない。人はそれを不倫と呼ぶ。ジークムントはフンディングを殺せばその苦しみが解消されると信じている。ジークリンデはフンディングの放った獰猛な大型犬がジークムントの脚に噛み付いて倒す様まで想像している。ここの表現、羽山弘子さん見事と言うしかない!これぞオペラ(楽劇)。感情を声に載せられなければオペラじゃない。またワーグナーはほぼレガートで歌うことが求められると思う。大変な馬力と肺活量が必要な作品なのだ。Schwester! Geliebte!悲痛に叫ぶジークムント。高音が一部裏返ってゾクゾクするセクシーな響きを持つ。ジークムントは上着を脱ぎ、ジークリンデにかける。さあいよいよ!死の大天使の訪れだ。ティンパニ。かっこよすぎる~~~Siegmund! Sieh auf mich!ブリュンヒルデはWotanの槍を持っている。 ワルキューレのまなざしを捉えた人間は死ぬ定め。ヴァールハルという天上の喜びが用意されているにもかかわらずジークムントはジークリンデとともにいることを望む。ジークリンデは地上にとどまることになっていると告げると胎内に命を宿していると聞いてもジークムントはジークリンデを殺そうとする。ここでも男と女の対応の違いをWagnerは描いている。ジークリンデは死を切望していても子供が胎内にと聞いた途端にその命を救うためにどんな苦難にも耐えうる力が湧き上がる。しかし男でありジークムントは最愛の女性と一緒にいられることが最優先なのである。ジークムントが子供の頃ジークリンデとはぐれることがなければ、恋人として愛し合うこともなかったであろう。彼らが悲劇のカップルになってしまったのもWotanの計画のうちだったのだ。Zwei Leben lachen dir hier: nimm sie, Notung, neidischer Stahl! にべもなくブリュンヒルデの申し出を拒絶し、ノートゥンクを眠るジークリンデにふるおうとした瞬間、ブリュンヒルデは最愛の父の命令に背くことを決意する。しかしそれはWotanの意思の先の先を読んでいるつもりだった。彼女にして見れば。私があなたを庇護します。自信を持って剣を打ち込んでください!ブリュンヒルデは去る。Notung zahl' ihm den Zoll!ジークムントは戦いの場に向かう。雷鳴マン・ハントのほら貝の響き。ジークリンデは悪夢を見ている。子供の頃の思い出がよみがえっている。フンディングがかみてから現れる。Wehwalt! Wehwalt! Steh' mir zum Streit, ジークムントがしもてから現れる。彼らの間に立つジークリンデ。まず私を殺して!フンディングとジークムントは壇の上に登る二人は剣を合わせる。ブリュンヒルデがかみてから現れ、Wotanの槍をかざす打ちかかれ!しかしWotanが背後から現れ、ブリュンヒルデの槍を奪う。Wotanは、その槍でジークムントの剣を弾き飛ばす。丸腰になったジークムントはそのままフンディングの剣に刺し貫かれる。ジークムントは倒れるジークリンデが悲鳴を上げる。すばやくブリュンヒルデが剣の破片を拾いに行くブリュンヒルデはジークリンデを連れて逃げる。Wotanは倒れているジークムントに近づき顔を眺める。死んでいると確認し、悲しみに打たれる。自分がそう望んだことなのに彼は悲哀と怒りに満ちている。剣を引き抜いて立ったままのフンディングGeh!二回目のGehでフンディングはもんどりうって倒れ、死ぬ。自分の命令に背いたブリュンヒルデに怒りが爆発する。Doch Brünnhilde! Weh' der Verbrecherin! 第3幕いよいよワルキューレの騎行です。幕が開くと8人のワルキューレがひな壇に陣取っている壮観な姿にわくわく。Hojotoho! Hojotoho!大迫力の重唱ブリュンヒルデが女性を馬に乗せてやってくる。ブリュンヒルデは事情を説明しジークリンデを助けるように頼むしかしWotanの怒りを怖れるワルキューレたちは承諾しない。Wotanを載せた神馬の黒雲が近づいてくるジークムントが殺される様を見てしまったジークリンデはブリュンヒルデに自分を殺してほしいと頼む。ブリュンヒルデに胎内の子供の存在を教えられ、気が変わるジークリンデ。Rette mich, Kühne! Rette mein Kind! ジークリンデはたった一人で森に逃げることになる。ジークムントの上着と砕かれたノートゥンクの破片を持たされる。O hehrstes Wunder! Herrlichste Maid! Wotanが槍を持って現れるブリュンヒルデはワルキューレたちの背後に隠れる。Wotanの怒りを鎮めようとするワルキューレたちをWotanは一喝する。そんなヤワに育てた覚えはない!ついにブリュンヒルデが進み出るvon göttlicher Schar bist du geschieden, ausgestossen aus der Ewigen Stamm;ブリュンヒルデへの罰はもう神でなくなりヴァルハルから追放されることだった。驚愕するブリュンヒルデ。お前は通りすがりの男の餌食になるのだ!悲しみと絶望のあまりかみてに座り込んでしまうブリュンヒルデ。Wotanは槍をふるって8人の戦乙女たちを追い出す。Wotanはしもてから戻ってきてしもての奥に立ち止まって、ブリュンヒルデから顔を背けている。War es so schmählich, was ich verbrach, Wotanは背中で聞いているが次第に顔を向けるようになる。ブリュンヒルデ:warst du selber dir Feind.die sah nun das nur, was du nicht sahst: -***Der diese Liebe mir ins Herz gehaucht, dem Willen, der dem Wälsung mich gesellt,ihm innig vertraut, 音楽が最高潮に達する。中井さんのタッチがすごすぎる!感動的!trotzt' ich deinem Gebot.Wotanの怒りついに本音を漏らし始めるin den Trümmern der eignen Welt meine ew'ge Trauer zu enden: - so weit Leben und Luft darf der Gott dir nicht mehr begegnen!ブリュンヒルデは自分を腰抜け男にだけは与えないように頼むヴェルズング族は高貴な血ですヴェルズングの話はするな!In festen Schlaf verschliess' ich dich: 眠る女を守るものを!炎をめぐらせてください!いよいよです。ピアノが前奏を奏でるLeb' wohl, du kühnes, herrliches Kind! すばらしい!der freier als ich, der Gott!ブリュンヒルデを抱きしめ、ブリュンヒルデはWotanの胸に顔を寄せるso küsst er die Gottheit von dir!Wotanはブリュンヒルデの額に口づけする。たちまちブリュンヒルデは眠ってしまいWotanはブリュンヒルデを横にするLoge, hör'! Lausche hieher! カチン、カチンとWotanが槍の柄を岩に打ち付けて出す音はもちろん打楽器担当者が出す。炎(ローゲ)の動機いよいよ最後です。Wer meines Speeres Spitze fürchtet, durchschreite das Feuer nie!槍をかざす。炎の中を歩み去るWotan私は1月にウィーンで見た実際に(映像で)燃え盛る紅蓮の炎の中をトマス・コニエチュニーが歩み去っていく映像がフラッシュのようにちかちかと大塚博章氏のWotanの姿とかぶって見えた。まるで幻視だ。二人とも若々しいセクシーなWotanで、老人ではないWotanなので非常に魅力的だった。大塚氏のWotanの解釈は非常にWotanの明朗な理性と高貴なスタイリッシュさを感じるものだった。一方のコニエチュニーはまるでアルベリヒとの双子のようなともするとダークサイドに落ちそうな危険なWotanだった。全幕了本当に2台ピアノのピアニストの皆様!お疲れさまでした!!