オペラ ペラペラ 椿姫ハイライト
すばらしいヴェルディ・バリトンの青山貴さん。老けメイクのあまりの変身ぶりに会場からざわめきが…。しかも激やせ疑惑も…!?Photo:©Shevaibra, courtesy of the artist 府中の森芸術劇場開館25周年記念 府中の森クラシックコレクション~オペラを知ってオペラを楽しむ!解説付きオペラ~オペラ「椿姫」 ハイライト2017年1月28日(土曜日)15時開演府中の森芸術劇場 ウィーンホールヴィオレッタ:天羽明惠(ソプラノ)アルフレード:望月哲也(テノール)ジェルモン:青山 貴(バリトン)ピアノ:古藤田みゆきナビゲーター:村上信夫ヴェルディ:オペラ「椿姫」 ハイライト***椿姫はオペラの中で我々が最もよく親しんでいる演目のひとつだが、演奏するのはとんでもなく難しい。それはヴェルディだからだ。ヴィオレッタがとにかくとんでもなく難しい。コロラトゥーラ 高音 とんでもないパワー 技巧アルフレードもジェルモンもものすごい肺活量がないと全然歌えない。すべてレガートだからだ。優雅なワルツに乗って恐ろしいほどの酸素を肺に送り込まなくてはならない.優美に見えるが歌うは地獄。肝心のジェルモンのアリアに到達する前に非力な歌手はもうレガートで歌えなくなるはずだ。今日の歌手三人は全員すばらしい歌い手。ヴェルディの世界を再現していた。青山さんのジェルモンがすばらしかった。この人はまさにヴェルディ・バリトン。デーヴでは片鱗すら感じさせない圧倒的パワー。彼の美声はイタリアもののバリトンにおいて最も輝きを放つ。甲斐さん 青山さん 勝村さんとすばらしいヴェルディバリトンが日本にはいる。次のヴェルディロールが期待できる。ジェルモンは何回目かと伺ったら、ジェルモンはもう5回ぐらい歌うことは歌っているが、ちゃんと歌ったのは過去に1回だけ、だそうです。つまり二回目ってことですか?といつもの青やんのわかりにくい回答でした(^.^)望月さんのアルフレードを聴いて思ったのは、この人は何が違うのだろうか?それは情熱なのである。宗教曲ですらオペラに聴こえてしまう望月哲也さん。とても熱いのである。中音域のヒロイックな美しさと高音域の妖しく美しい響き。人を酔わせる声。天羽さんも完璧なテクニックに情熱を乗せて歌う。ヴィオレッタが生きて死んでいくさまを歌で見事に表現していた。個人的には2幕冒頭のアルフレードのアリアはカバレッタも聴きたかった。望月哲也さんのこれは多分まだ聴いてない。2幕の幕切れのコンチェルタンテの重唱の再現は全部聴きたかった。しかし野暮なことは言うべきではない。この企画は天羽さんがオペラの裾野を広げるために企画して全国をツアーで回っているパッケージなのだ。実際に会場のお客さんはイル・デーヴしか聴いたことないわ、というお客さんも多かったと思う。オペラは敷居が高いから行ったことがないというお客さんにオペラをわかりやすく紹介するという企画は必要だし、値段が手ごろなのもありがたいことだ。字幕がないのでこのような解説の形をとる事がある程度必要だ。この会場の残響装置は可変で、この日はもっとも響かない設定にしたそうです。オペラにふさわしい音響ですばらしかったです!ピアノも一人でオーケストラを再現。ピアニッシモの部分がとても美しかったです。ナビゲーターの村上さんの軽妙でわかりやすいトークもよかったです。***まずは乾杯の歌。Libiam ne' lieti caliciヴィオレッタも応えるTra voi saprò dividere 二人きりになりアルフレードは今までの恋心を告白する。Un dì, felice, eterea,はぐらかし笑みを浮かべ、冗談でしょ?という表情を浮かべるヴィオレッタに少し憤慨しつつも真剣に熱くなる一方のアルフレード。がっかりして帰ろうとするアルフレードにヴィオレッタはアルフレードに胸元の花を渡すどうして?またいらしてくださるのでしょ。いつですか花が枯れたらよでは明日ですね!喜び舞い上がるアルフレードIo son,io son felice!Partoヴィオレッタ一人È strano! è strano!Follie! follieアルフレードの裏で歌う歌が凄まじい!Di quell'amor ch'è palpito Dell'universo intero, Misterioso, altero, Croce e delizia al cor.次のヴィオレッタの超高音を伴うコロラトゥーラがこのオペラの最大の見せ場なのである。すばらしかった。通常オペラの場合ここで休憩となるが(違うパターンもあるが)そのまま続く。ヴィオレッタの田舎の家。1幕部分で燕尾服の正装だったアルフレードは着替えておしゃれなスーツ姿に。1幕部分でゴージャスな縮みのような質感のすばらしいイヴニングドレスだったヴィオレッタもすてきな細身のロングドレスに着替えている。第二幕の冒頭のアルフレードのカバレッタを伴うアリアが一番好きなところです。そしてその後のジェルモンとヴィオレッタの二重唱が一番好きです。Lunge da lei per me non v'ha diletto! De' miei bollenti spiriti キタ~~~!Io vivo, io vivo quasi in ciel.ヴィオレッタへの愛を歌い上げるアルフレードO mio rimorso! O infamiaはいつも聞けないので残念!財産を買い戻しに出かけたアルフレードヴィオレッタのもとに老紳士が訪ねてくる。Madamigella Valéry?あなたのせいでたぶらかされてる息子の父親です女性の家で失礼な。なんていいぐさだ!しかし…ヴィオレッタは自分が財産を切り崩しているという証拠の書類を見せるNobili sensi invero!De' suoi due figli.お子様がお二人…?Pura siccome un angeloすばらしい~~~~!ジェルモンは厳しい現実を突きつけるUn dì, quando le veneri piangi, o miseraすばらしい~~娘として私を抱きしめてくださいでも何を?Morrò!No, generosa, vivere, Conosca il sacrifizio Ch'io consumai d'amor すばらしいい~~さようなら!ジェルモンが去り、アルフレードへの別れの手紙を泣きながら書くヴィオレッタ。戻ってきたアルフレードが不審そうに背後から見ているChe fai?手紙だね。見せて。今はだめよ。父が来てるんだ。アルフレード、私を愛してね!激情にかられるヴィオレッタ。ここで休憩第二部アルフレードはショックを受けているソファに座り込んでいる。Di Provenza il mar, il suolこのアリア後のカバレッタにあたる部分のジェルモンの歌唱はなしここで第二幕第9場のフローラの館に飛ぶアルフレードがヴィオレッタを侮辱し札束を投げつけるシーンはなし。Ogni suo aver tal femmina聞きたかった。第二幕幕切れのすばらしいコンチェルタンテの説明Ah sì che feci! ne sento orrore. Alfredo, Alfredo, di questo core Non puoi comprendere tutto l'amoreここはこれぞヴェルディという圧倒的な合唱付き重唱部分です!そのさわりをわかりやすく紹介しました。第3幕ヴィオレッタは病に伏せっている。死が近い。アンニーナとグランヴィルはいない。父親の手紙È tardi! Addio, del passato すばらしい!Parigi, o cara noi lasceremoすばらしい~~~そこにジェルモンも来る遅すぎましたわ。もう私は死にます。そのようだ。父さん!ヴィオレッタはアルフレードにロケットを渡す。È strano!Oh gioia!ヴィオレッタは叫んで倒れ、こときれる。了。大拍手!昨日はヴェルディの没した日(1901年1月27日)でした。奇しくもヴェルディ先生に捧げたコンサートとなりました。