オペラ工房アヴァンティ旗揚げドン・ジョヴァンニ
Photo linkPhoto:©Shevaibra, courtesy of the artistオペラ工房アヴァンティ第1回公演W.A.モーツァルト作曲歌劇『ドンジョヴァンニ』全2幕 イタリア語上演日本語字幕付き2017年11月11日(土)17:30開演八王子市南大沢文化会館主ホール指揮 高野秀峰演出 大島尚志主宰・植村憲市ピアノ 松岡なぎさ (11日夜) 11日(夜)ドンジョヴァンニ 大塚博章 ドンナエルヴィーラ 上木由里江 ドンナアンナ 大音絵莉 ドンオッターヴィオ 富澤祥行 ツェルリーナ 松山美帆 マゼット 平岩英一 レポレロ 植村憲市 騎士長 幸田敦 合唱 アヴァンティ合唱団***南大沢文化センターで行われたドンジョこのホールはデッドだが優秀な歌手が揃い、とてもオペラティックだった。タイトルロールの大塚博章さんの楽しそうな顔といったら!日本を代表するバスバリの一人だが、なんとドン・ジョヴァンニを全幕で演じるのは二度目とのこと。高い声から低い声まで見事でパワフル!オックス男爵を演じた余波か、演技がものすごくコミカルに大変身!気に入らない時の口をとんがらせた表情が可愛い過ぎ!2枚目なのに面白くて魅力的なジョヴァンニ。キャラは今回刑事ゆがみの浅野忠信のようでした。傲慢なならず者だが、どこか憎めない。今回の舞台で特筆すべきは演出。大島尚志先生にどのくらいリハしたのか聞いたら、ダブルキャストだったので20日間以上やったとのこと。さすがでした。人物の動きがすべてついていてモーツァルトの長い繰り返しのアリアを全く退屈に感じない。この動き、表情、演技に応えた歌手たちもエライ。またとんでもなく素晴らしかったのがドンナ・エルヴィーラの上木由里江さん。ドラマチック・ソプラノで大迫力の大声量。アリアは圧倒的パワー まさにオペラの醍醐味を味合わせてくれました。ドンナ・アンナの大音絵莉さんも素晴らしかった。美しいお姿に超美声のコロラトゥーラ・ソプラノ。気品あるノーブルなお声で酔わせてくれました。この団体の主宰でもある植村憲市さんがレポレッロ。重くて分厚いバリトンで、いいお声でした。なんと大塚博章さんとの共演は初とのこと。二人のコンビネーションも見事でした。やはり舞台慣れされてて演技が面白かったです。ゼルリーナの松山美帆さんは軽く高い声のソプラノでゼルリーナに合ってました。ドン・オッターヴィオの富澤祥行さんは難役オッターヴィオをよくがんばったと思います。大変なレガートもがんばりました。常に演技していて素晴らしかったです。マゼット平岩英一さん 情けない演技がうまかったです。騎士長 幸田さん も難役 騎士長をがんばったと思います。皆さまお疲れ様でした。***セットは階段しかなく シンプル照明とカーテンを使った演出レチタティーヴォは一部カットもあったが通常の歌唱部分はすべて演じられた。ありがたい。Notte e giorno faticar逃げるジョヴァンニ追いかけてきたドンナアンナを抱き寄せ顔を近づけるジョヴァンニ父親が切りかかってくるやるのか 老いぼれ!se vuoi morir!ジョバンニは剣を持っていない。騎士長の剣を奪い刺し殺してしまう。思わずしまった!と驚きの表情を浮かべる。騎士長は刺されてうずくまるが倒れ大の字で絶命するLeporello, ove sei?レポレッロ どこだ?二人がはけるとオッターヴィオとアンナ遺体を布で隠しはけさせるHai sposo e padre in meカーテンが開いて、明るいジョバンニがかみてから登場説教くさいレポレッロをどやす。女の匂いだ!あまりにもうれしそうなジョバンニエルヴィーラの登場Ah, chi mi dice mai なんという見事なお声だ!ジョバンニは近づくが自分が捨てた女とわかって背を向ける。Madamina, il catalogo è questo カタログの歌素晴らしかった!演技付きで見事。ゼルリーナとマゼットと村人Che piacer, che piacer che sarà!また花嫁を見つけたジョバンニのうれしそうな表情。マゼットを突き飛ばし、ゼルリーナに近づく名前は?マゼットを追い払おうと恫喝する。Ho capito, signor sì!レポレッロはマゼットに投げ飛ばされ転がる。大丈夫でしょうか?レポレッロ体張ってます。Là ci darem la manoラチダレムラマノ素晴らしかった。いちいちゼルリーナの反応に一喜一憂するジョバンニが可愛い過ぎる!ゼルリーナと抱き合ってると、エルヴィーラが現れる。客笑う。ゼルリーナを連れて行くそこにオッターヴィオとアンナアンナは気づいてないと知って笑顔になるジョバンニ。しかしまたエルヴィーラエルヴィーラが出て行きperdonate, bellissima Donn'Anna; se servirvi poss'io, in mia casa v'aspetto.そのジョバンニの言葉で犯人と気がつくアンナOr sai chi l'onore怒りのアリアすばらしい。Dalla sua pace la mia dipendeオッターヴィオのダッラスアパーチェマゼットとゼルリーナBatti, batti, o bel Masettoぶってよぶってよここのアリアと後半のお薬のアリア明らかにゼルリーナが女として成長していることが演出されているのだ!大感心してしまった。Fin ch'han dal vinoジョヴァンニのシャンパンアリアスピーディに早口で圧倒的なパワーで歌う。唯一の休符部分でワインをぐいっと飲む。かっこよすぎる!お見事!拍手ジョバンニの声Presto, presto, pria ch'ei venga,隠れるゼルリーナ村人ジョバンニはゼルリーナを捕まえる。そこにマゼット。憮然としたジョバンニの表情が笑える!La bella tua Zerlina Non può, la poverina, Più star senza di te仮面の三人招き入れる三重唱Protegga il giusto cieloVendichi il giusto cieloスゴイパワーだパーティお殿様のジョバンニは中央でエンジョイしている。マゼットをなんとかしろ!ゼルリーナを口説きまくるジョバンニ。ゼルリーナをかどわかすジョバンニ追うマゼットレポレッロに罪をなすりつけ、犯人として突き飛ばすジョバンニここの重唱すばらしい!ジョバンニは逃げ 女性三人の影絵のストップモーションで幕さすがの演出に感心。休憩後半お暇をくださいというレポレッロを銀貨で買収。今度の標的はエルヴィーラの侍女まずはエルヴィーラを呼び出す。Discendi, o gioia bellaエルヴィーラがジョバンニの歌に誘われて出てくる。レポレッロに抱きついているところでジョバンニは両足でジャンプして物音をたてて二人を追い払う。Deh, vieni alla finestraセレナーデ絶品でした。ステップを踏んで踊るように歌う。マントを閉じたり開いたり、自分に酔っているジョバンニの表情が笑える。そこにマゼットと村人Metà di voi qua vadanoFerite pur, feriteここのフェリテ も最高でした。マゼットが銃を構えバンバン撃つかっこうをするのもツボでした。村人を追い払うとマゼットの銃を受け取り殴る蹴る。レチタティーヴォはカットあり。ドン・ジョヴァンニはマゼットをボコボコにした後、逃げる時「バカめ!」と日本語で怒鳴った。これには超ウケました。ノリノリのジョヴァンニVedrai, carinoゼルリーナ、お薬のアリアここがすごく色っぽいのです。腰に巻いた白いスカーフをはずし肩に掛けるしなを作り歌うゼルリーナ。素朴な娘だったのに、ジョヴァンニと出会ってすっかり男を虜にするビッチに変わっているのです!この変化には驚愕だった。レポレッロとエルヴィーラ置いてかないで!レポレッロはエルヴィーラから逃げようとするが皆に囲まれて捕まってしまうAh, pietà, signori miei! レポレッロだったと知って驚愕のエルヴィーラ。逃げるレポレッロオッターヴィオはアンナへの理解を求めるIl mio tesoroイルミオテゾーロだ。長いレガートに耐え抜いた。墓場レチタティーヴォほぼカット幕が開くと騎士長の銅像その笑い声も今日までだ。おいレポレッロ 墓碑銘を読め!月明かりでは読めません。読めと言ってるだろおい死にたいのか?晩餐に招待しろ!あっしじゃありませんよあっしの旦那が大きく頷き一礼する銅像驚愕するレポレッロSi立ち去る二人Mi tradì, quell'alma ingrataエルヴィーラのアリアとんでもないパワーまさにオペラ歌手だ!アジリタも!ドンナ・アンナのアリアNon mi dir美しい!高音も見事コロラトゥーラも美しい!晩餐ご馳走にぱくつくジョヴァンニ。次の料理を料理をサーブしながらチキンを奪うレポレッロジョヴァンニにはばればれだったおい口笛を吹け!できませんエルヴィーラひざまずくエルヴィーラに自分もひざまずき立ってくれないか食事中なんだジョヴァンニはチキンをエルヴィラに差し出すエルヴィラは拒否するエルヴィラが去ろうとすると騎士長が立っているこの演出が秀逸なのは騎士長は歩いてくるのではなく銅像のまま台の上で足踏みしているのであるなるほどしかもだから正面を向いていてちょうど向かい合ってエルヴィーラが叫ぶという視覚的にもわかりやすいことになっている。レポレッロも叫びジョヴァンニが見に行くDon Giovanni, a cenar tecoジョヴァンニはレポレッロにもう一人分飯を用意しろというしかし話すがいい!おまえは私を晩餐に招いた今度は私がお招きするだんなは時間がないんでオレは卑怯者じゃない決めたのか決まっているとも来るんだな?行かないって言って!怖れるに足らぬまいるとも。では誓いに手を出せジョヴァンニは石像に近づき右手で右手を握るその瞬間ああ!悔い改めよ!いやだ。老いぼれめふざけたやつだPentiti!No!はいと言えNo!Siだろ?いやだ!騎士長の背後に炎のように浮かび上がるのは無数の人の手の燃える手だダンサーが2人飛び出してきてジョヴァンニを囲み炎であぶって苦しませるまさにジョヴァンニの台詞どおりの展開。ジョヴァンニは地獄からの使者に囲まれて地下に飲み込まれていく奈落はないので人垣で覆うカーテンが閉まり皆が現れるそれぞれが行く末を語る。皆が去ったかに見えた後戻ってきたのは…ドンナ・アンナやはり彼女はドン・ジョヴァンニを愛していたのだ。印象的な幕切れでした。おつかれさまでした。ドン・ジョヴァンニというお話は題名役がカリスマティックな魅力がないと成立しません。大塚博章さん、本当にすばらしかったです。彼は役に入り込む独特のマジックを持っています。後半からはもう彼が役を演じているのか彼がジョヴァンニなのかわからないぐらいしっくり来ていました。これこそオペラの魔術でした。私のファースト・ジョヴァンニはSimon KeenlysideそしてPeter Matteiですがそんなカリスマティックなヒーロー列伝に並ぶような彼のジョヴァンニになっていました。考えてみると彼の最初のジョヴァンニ(三浦アンコウ演出)も今回の二度目のジョヴァンニも体験したわけですが、まったく違うジョヴァンニでした。本当にすごいですね~~~!演出家の世界を映し出す歌手の力もスゴイ!参考リンク 大塚博章のドン・ジョヴァンニ Part12013年4月12日