新国立劇場マイスタージンガーDay2
New National Theatre, TokyoDie Meistersinger von Nürnberg/Richard WagnerNew ProductionMusic by Richard WAGNEROpera in 3 ScenesSung in German with English and Japanese surtitlesOPERA PALACEA Co-production between New National Theatre, Tokyo, Tokyo Bunka Kaikan, Salzburg Easter Festival and Semperoper Dresden.18 Nov - 1 Dec, 2021 ( 5 Performances )Conductor: ONO KazushiProduction: Jens-Daniel HERZOGSet Design: Mathis NEIDHARDTCostume Design: Sibylle GÄDEKELighting Design: Fabio ANTOCIChoreography: Ramses SIGLAssociate Director: Heiko HENTSCHELCASTHans Sachs: Thomas Johannes MAYERVeit Pogner: Guido JENTJENSKunz Vogelgesang: MURAKAMI KotaKonrad Nachtigall: YONASHIRO KeiSixtus Beckmesser: Adrian ERÖDFritz Kothner: AOYAMA TakashiBalthasar Zorn: AKITANI NaoyukiUlrich Eisslinger: SUZUKI JunAugustin Moser: KANNO AtsushiHermann Ortel: ONUMA ToruHans Schwarz: HASEGAWA AkiraHans Foltz: TSUMAYA HidekazuWalther von Stolzing: Stefan VINKEDavid: ITO TatsundoEva: HAYASHI MasakoMagdalene: YAMASHITA MakikoEin Nachtwächter: SHIMURA FumihikoChorus: New National Theatre Chorus, Nikikai Chorus GroupOrchestra: Tokyo Metropolitan Symphony Orchestraオペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔Worldリヒャルト・ワーグナーニュルンベルクのマイスタージンガー全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉DAY22021年11月21日(日)14:00新国立劇場 オペラパレス指 揮】大野和士演 出 イェンス=ダニエル・ヘルツォーク美術】マティス・ナイトハルト衣裳】シビル・ゲデケ照 明】ファビオ・アントーチ振 付】ラムセス・ジグル演出補】ハイコ・ヘンチェル舞台監督】髙橋尚史ハンス・ザックス】トーマス・ヨハネス・マイヤーファイト・ポーグナー】ギド・イェンティンスクンツ・フォーゲルゲザング】村上公太コンラート・ナハティガル】与那城 敬ジクストゥス・ベックメッサー】アドリアン・エレートフリッツ・コートナー】青山 貴バルタザール・ツォルン】秋谷直之ウルリヒ・アイスリンガー】鈴木 准アウグスティン・モーザー】菅野 敦ヘルマン・オルテル】大沼 徹ハンス・シュヴァルツ】長谷川 顯ハンス・フォルツ】妻屋秀和ヴァルター・フォン・シュトルツィング】シュテファン・フィンケダーヴィット】伊藤達人エーファ】林 正子マグダレーネ】山下牧子夜警】志村文彦合唱指揮】三澤洋史新国立劇場合唱団、二期会合唱団東京都交響楽団【協力】日本ワーグナー協会※新国立劇場、東京文化会館、ザルツブルク・イースター音楽祭、ザクセン州立歌劇場の国際共同制作令和3年度(第76回)文化庁芸術祭協賛公演 文化庁委託事業「令和3年度戦略的芸術文化創造推進事業」公演期間:2021年11月18日[木]~12月1日[水]***新国立劇場マイスタージンガーDay2Done!やっぱり超おもしろいです。コロナ禍に打ち勝ちようやく上演にこぎつけた新国立劇場に心からの感謝を捧げます。ありがとうございます!日本のオペラ上演史にすばらしい足跡を残したと言えるでしょう。このプロダクションは2019年4月にザルツブルクイースター音楽祭で初演されたもので、その時はティーレマン指揮、ザックスは初役のツェッペンフェルド。アドリアン・エレートは初演時もベックメッサーでした。初演のキャストが来日しているということは大変な強みです。今回日本にTJマイヤーら、4人のオーストリア人とドイツ人の歌手を招聘出来たことは奇跡的で、それが大きな成功をもたらしました。大野さんの人脈もあったのではないでしょうか。本当に感謝です。日本人歌手もすばらしい逸材が誕生した貴重な舞台で、とても価値がありました。マエストロ大野さんの推進力が全てを可能にしたのではないでしょうか。大野さんはヨーロッパの歌劇場で振った方がよほど自らのキャリアアップに繋がるのにそれを省みず日本のオペラ業界の芸術的向上に寄与しているのです。本当に感謝です。余談になるが今回2013年ザルツブルク音楽祭(夏)ヘアハイム演出のマイスタージンガーで予習していたのだが、その時のコンラート・ナハティガル役がギド・イェンテンスだった。今回はファイト・ポーグナー役。生まれはドイツのニーダーラインのゲルダーン。彼は夏の大野さんのレクチャーにもザックス役で出演してくれてその豊かな温かい声に魅了されたものだ。彼はザックス役のカヴァーで、縁の下の力持ちとして稽古の代役も務めてくれた。本当にありがたいことです。1996年カールスルーエで大野和士さんが最初に「マスタージンガー」を振ったとき、ギド・イェンテンスさんは夜警役だった。***※中身にふれますのでご注意ください。今日は初めてこの演出を見た時のようなマジック感覚は得られず、きわめて冷静に見ちゃいましたよ。序曲ドカーンという大音響で始まる。序曲途中後半の弦楽部分大野さんはケレン味を持たせてためさせて演奏させる。なかなかチャレンジャー。ウィーンフィルにはできることだと思うが。大野さんの要求が非常に高いところにあることがここでわかる。全体の後半でスタッカートで演奏させてるところもあって大野さんの弾む気持ちを表現していたwしかしところどころで都響の弦楽セクションの醸し出す美麗な音楽にはとても陶酔させられる。今回特筆すべきはやはりエレートが弾くマンドリンに合わせてオケピで演奏した簡易ハープです。音色がすばらしい!今回のプロダクションの設定はずばりドイツの○○。この○○ではオペラと演劇を上演している。次の出し物は難作のマイスタージンガーでザックスは頭を痛めている。まともな歌手がいないのだ。古臭い演出しかスポンサーには受けないし…。TJマイヤー演じるザックスは劇場で裏方で靴を作っていたが出世して○○の芸術監督になった。METのヴォルピさんとかそうですよね。叩き上げ。たたき上げは人心を掌握しているから人気者。一方ファイト・ポーグナーはずばり○○の大株主。日本で言えば松竹とか東宝とかですかね。群がるサラリーマン風のお追従軍団(マイスターたち)は私の眼には代理店の連中にしか見えなかったw連日のパーティ。酒を飲むことが仕事で、芸術への鑑賞眼が曇っている。ダーヴィッツは○○で働くアシスタントディレクター。今では徒弟制度が残っているのが○○とか撮影の現場とかしかないんでそれもなるほどうまく読み替えたなと納得するわけです。最初の教会のシーンはスポンサー関連の出資者に公演を見せているシーンに読み替えられている。終演後はスポンサーの○○ツアーを行い、出資を募っている。ある日オーディションにやってきたチロル風の晴れ着を着こんだ素性の知れない男。ワイルドで無骨な田舎者。礼儀を知らない。それがシュトゥルツィンクだった。ヴァルターは○○にいたポーグナーの娘に一目惚れする。Ja oder nein!シュテファン・フィンケは1966年、 ドイツ のゲオルクスマリーンヒュッテ生まれで年齢 55歳。声質としてはトリスタンやジークフリートなどの重い方のヘルデンテノール。もうこれは専門職的なところがある役なので、シュトゥルツィンクはやや無理やりな部分もあったとは思うが来日してくれただけでもありがたい逸材なのでそのパワーを楽しむしかない。シュトゥルツィンクはアリアに当たる部分の発声の出だしがとても高い声というのが多く楽譜に書かれていてこれがとても難しいのだ。Morgenlich leuchtendとかほぼ出だしが高く始まる。五重唱は宗教曲っぽい響きも必要なのでなかなか厳しいのだ。Da bin ich! Wer ruft?幕の間から現れたダーヴィット。輝かしい声のテノールでキラキラ度では他を睥睨する。パワーもすごい。ヴァルターとエーファは昨日会ったばかりなのにもう熱烈な投げキスを交わし合う。マッダレーネがエーファを連れて行くダーヴィットはマイスターになりたいと言い出したシュトゥルツィンクに歌の作法を教える。O Magdalene!すばらしい!ダーヴィットは語りだす苦労しましたよでどう思います?靴ができたんじゃ?wird doch immer noch nicht »Meister« genennt.なかなかADからディレクターにはなれないんですよダーヴィッツの長口舌にいい加減飽き飽きのシュトゥルツィンク、脱出しようとするがスタッフに阻止されるダーヴィットDer Meister Tön' und WeisenDer »kurze«, »lang'« und »überlang'« Ton見事な歌唱です!die »Nachtigall« -Weis'技巧の装飾音wär' sonst Euch alles auch gelungen,da hättet Ihr gar »versungen!«そうなったら打擲されて飯抜きの刑ですよ舞台上に設置された机の配置が違うことに気づくところで今更だけど…マイスターって何なんだい?それは…わかった。歌えばいいんだね徒弟とダーヴィッツDorthin! - Hierher! それはあっちだって!ダーヴィッツはヴァルターに記録係について警告するGlück auf zum Meistersingen!Mögt Euch das Kränzlein erschwingen!Das Blumenkränzlein aus Seiden feinwird das dem Herrn Ritter beschieden sein?sein?は高音徒弟たちの唱和第3場理事たちは会議の前に立食形式で昼食をとる。シャンパンにキャビアベックメッサーがポーグナーに食い下がっているベックメッサーは「エーファに断る権利がある」ことに不満なのだ。そこにエーファが近づく決まり悪そうにポーグナーから離れるベックメッサーヴァルターがポーグナーにマイスターになりたい(歌手としてここで採用してほしい)と懇願する。それはもちろんエーファを得るための挑戦権を得るためである。ポーグナーは以前から知己のあったこの若者をコンラート・ナハティガルとクンツ・フォーゲルゲザングに紹介する。彼の財産を処分してあげた縁があるのだ。しかし彼ら含め次々と入ってきたマイスターたちは新参の若者に冷たい態度。上から下までじろじろと眺めまわす。ベックメッサーはひとりだけかみての手前に離れている。ここの○○ではいろいろな物事がマイスターたち(理事)の合議で決められる。その会議は会議室ではなく劇場の客席を使って行う。一番年の若いフリッツ・コートナーは議事進行の役割を担う。恒例の点呼。ポーグナーさんフォーゲルゲザングオルテルさん?オルテル(大沼徹)はわざわざ壇上に上がって「ここにおるよ」(笑)とギャグをかます。ツォルンナハティガルアウグスティン・モーザーハンス・ザックスでしゃばったダーヴィッツは叱責を受けるザックスは定位置のしもて側の最後列に座る。ベックメッサーアイスリンガーフォルツシュヴァルツ揃ったところで皆さんに提案があります全員手を挙げて許可するDas schöne Fest, Johannistagポーグナーのイェンテンスさん、すばらしい!Eva, mein einzig Kind, zur Eh'皆大騒ぎとなるザックスが口を挟むじゃ民衆も審査員に入れたらどうですか?この演出において民衆(=das Volk)とは会場にいる我々のことである会場に詰め掛けたパンピーの素人のクラシック好きのことを言っているのである。強烈な皮肉をここで受け取らねばならない。客席に向けられた光。我々オペラの聴衆は「女子供」と同じで本当の理解力はない。素人だから。総譜どころか楽譜も読めないリブレットも原語で読めないピアノも弾けない楽器も演奏できないそれでも評価に加わる存在になっている(SNSにおいて)無視できない存在になっているそこが言いたいのであるコンヴィチュニーほど露骨ではないのでこの演出はまあ…ザックス:und ob Ihr der Natur noch seid auf rechter Spur,das sagt Euch nur,wer nichts weiss von der Tabulatur素人のみが権威者が道を外れていないかがわかるのだ(それは歴史が証明していますよね)ザックス:Dass Volk und Kunst gleich blüh' und wachs',bestellt Ihr so, mein' ich, Hans Sachsザックスの提案をポーグナーは退けるポーグナー:そこまで革新的にしなくても…ポーグナー:ご賛同いただけましたら…幕がさっと開くと、理事用に用意された食べ物を勝手にぱくついている男が。ポーグナーはヴァルターを紹介するヴァルターの出自が紹介され、ザックスはまたもやいちゃもんを。ザックス:hier fragt sich's nach der Kunst allein,wer will ein Meistersinger seinコートナー:お師匠さんは誰なんです?チロルの民族衣装を着た男は歌い出す。シュトゥルツィング:Am stillen Herd in Winterszeit,wann Burg und Hof mir eingeschneit僕に歌を教えてくれたのは一冊の本。ヴァルター・フォンデアフォーゲルヴァイデという詩人が書いた本です。ザックス:いいお師匠さんだねベックメッサー:とっくに死んでるがな!クンツ・フォーゲルゲザング:シュトレンをはめこんだぞ!村上さんも輝くテノールの声がすばらしいです!フォーゲルゲザングを馬鹿にするベックメッサーに怒り出すフォーゲルゲザング。コートナー:質問はこれまでにしてベックメッサーは舞台上にあがる。いよいよエレート劇場の始まり!wメルカーの椅子に座りこれは黒板が張り付けてあるものだがいきなりマイケルジャクソンのように引きずりながらそのまま後ろに下がる(笑)そしてヴァルターをねめつけながら幕を引くもう笑うしかない。ここでコートナーの歌の規則の歌フリッツ・コートナーはいつもこれからという将来を嘱望されたバリトンが歌う役です。つまり次はザックスを歌う歌手がこの役をもらうのです。青山さん、すばらしい!声の豊かな響きは随一!ベックメッサー:Fanget an!ヴァルター:Fanget an!Die Brust wie baldantwortet sie dem Ruf,der neu ihr Leben schuf;stimmt nun andas hehre Liebeslied!ベックメッサー:終わったんですか?もう書ききれませんよベックメッサーの持つ黒板に注目!けちをつけるベックメッサーに煽られて口々になじるマイスターたちザックス:Halt Meister! Nicht so geeilt!Wollt Ihr nach Regeln messen,was nicht nach Eurer Regeln Lauf,der eig'nen Spur vergessen,sucht davon erst die Regeln auf!我々の規則を逸脱しているなら規則の方を見直してみることも必要だ。ベックメッサーを非難しやっつけるザックス。ベックメッサーも場外乱闘に。袋に入ってた靴をザックスに投げつけて靴屋上がりのザックスを侮辱する。そんな中ヴァルターが歌いだす。会場は大騒ぎに。ヴァルター:dahin zur grünen Vogelweid'マイスターたち:Versungen und vertan!ヴァルターは大暴れして背後の食べ物が置いてあったテーブルの上のものをクロス含めて薙ぎ払い、机を一つを残しすべてひっくり返して憤然と出ていく。まるでジークフリート!第2幕第1場劇場近くの酒場では理事たちが酒を飲みまくって大騒ぎ。ドイツ語でくだをまいていたのは大沼さんでしょうか?セットは回り舞台になっていて外の広場が現れる。Johannistag! Johannistag!一方ダーヴィッツはいつも徒弟たちにからかわれている年増のマッダレーネと付き合っているのも揶揄の対象にされているザックス:おい、また喧嘩か?いつまでも落ち着かない弟子を叱るザックス歌のレッスンはしてくれないんですか?ダメだ!しゅ~んとなるダーヴィッツかみてのザックスの家に入る第2場一方しもて側にある酒場の外で父が出てくるのを待つエーファ。ポーグナー:Will einer Selt'nes wagen,was liess' er sich dann sagen?父親と娘の会話はいつもどこかお互いずれていてぎこちない。ポーグナーはひどく疲れていて年を取っていて物事もよく思い出せない。娘を懸賞にかけるというこの自分の思い付きに不安を感じている。歌合戦で女性を手にするというのはタンホイザーも同じでタンホイザーとマイスタージンガーは陰と陽、不幸と幸福裏返しの作品なのである。しかしポーグナーはやはり企業家としては皆の注目を集めるこの一大イベントにご満悦で娘の幸せはそこにあると思っている。エーファ:パパ、マイスタージンガー(お金持ち)じゃないとだめなの?パパ:お前が選ぶんだからね。エーファとマッダレーネマッダレーネ:歌の試験は失格だったらしいわ!エーファ:えっ!第3場ザックスとダーヴィットザックスはダーヴィッツに休むようにいいつけるいよいよです!ザックスのニワトコのモノローグWas duftet doch der Flieder今日の出来事を分析してみるIch fühl's - und kann's nicht versteh'n -kann's nicht behalten - doch auch nicht vergessen;und fass ich es ganz - kann ich's nicht messen!韻踏んでます。Lenzes Gebot, die süsse Notこれは「ヴァルキューレ」のジークムントの歌と重なるところがあります。春(青春)が運んでくる甘い恋。短調と長調で裏返しになっています。Dem Vogel, der heut' sang,dem war der Schnabel hold gewachsen:macht' er den Meistern bang,gar wohl gefiel' er doch Hans Sachsen.ザックスが腕に抱えている分厚い本はマイスタージンガーの総譜です。思索的な瞳が魂を貫いてくるTJマイヤーすばらしい~!やはりこの黒光りする様な声の深くそれでいて美しい響きはとても哲学的なザックスの側面を表現してあまりある。人のいいだけのザックスではない何か黒いものがそこにあるRワグナーもそう。Rワグナーはザックスに自分をなぞらえて書いている。あまっさえザックスを劇中で民衆に賞賛させるというとんでもない台本を書いている。そこを揶揄している演出家もこれまで少なくない。ヘアハイムとかね。さてこの演出ではどうなるのでしょうか?TJマイヤーは今回の日本公演でおそらく、ハンス・ザックス初役と思われる。三度目の正直、おめでとうございます。彼はドイツ人で1969年生まれ。現在52歳。第4場ザックスとエーファ。ザックスは intendant 劇場の支配人 芸術監督 の自室に戻る。そこにはやはり女性のアシスタントがいていろいろ仕事をしている。しもてがわの本棚の脇には靴屋時代のエプロンがかかっている。しもてがわにザックスのデスク。かみてには洗面台 かみてがわ手前には赤いソファ。二階建てになっていて二階はメイクルームだ。エーファはかみてのソファにジャンプしお行儀が悪い。ザックスの前では子供なのだ。ザックス:Gar gross und schön!転調(大野さんの講習会より)エーファ:der Beckmesser morgen mich ersäng'?チョークのひっかく音(大野さんの講習会より)エーファはザックスに引っ付き、自分には甘いザックスに、今日のマイスター試験がどうだったか聞き出そうとする。エーファが迫るとたまらずザックスは立ち上がる。ザックス:Ohne Gnad' versang der Herr Rittersmann騎士様は本当にさんざんな出来だったよエーファは怒って部屋の中のものを次々放り出す。台本の紙をまき散らす。本をデスクにたたきつける。ザックスは慌てて大事な本が壊れやしないかと押さえる。照明が暗くなりあわてて片付けするアシスタント。ザックスは恐れていた事態に気が付き、事態の打開を図るため考える。エーファとマッダレーネ第5場劇場ではまだヴァルターが大暴れしている。マイスターたちの肖像を…徒弟たちはそんなヴァルターをからかうやあ!興奮するヴァルターをなだめようとするエーファかみてのバルコニーでザックスがそんな2人の様子を眺めている夜警はまさに夜警で、○○の警備エーファはマッダレーネのスカーフをまとって出てきて二人は楽屋の靴の倉庫の上にある、小道具の倉庫に隠れる。第6場いよいよザックスとベックメッサーのシーン。ここは本当に最高です!2人とも演技達者なので上手すぎます!2人とも楽しそう。マンドリンを抱えて、昔の吟遊詩人の衣装をまとったベックメッサーが登場する。エレート氏はこの衣装が暑いのか来たり脱いだりなかなか着れなかったりという演技をする。細かい!しもてのバルコニーに向かって歌いたいのだが靴の倉庫に陣取ったザックスが靴を修理し始めるザックス:Jerum! Jerum! Hallo hallo he!Als Eva aus dem Paradiesvon Gott dem Herrn verstossen高みの見物のエーファとヴァルターも相当楽しそうなことをやりたい放題やっていますw。ザックス:Wär' ich nicht fein ein Engel rein,Teufel möchte Schuster sein!ベックメッサーはこの騒音公害のザックスをやめさせようと躍起になる。お構いなくまた歌い出すザックス。怒り出しついに本音が出るベックメッサーベックメッサー:あんたは絶対記録係になんかなれないよ。ザックスはベックメッサーの歌を採点しようと持ち掛ける。ザックス:始めなさい。抱腹絶倒のシーン歌いながらハンマを叩かれベックメッサーは怒りながらザックスを威嚇するしまいにはザックスは靴を叩きながら逃げるベックメッサーを追っかけまわす絶対楽しんでる2人w。騒音に気が付き集まってくる親方と徒弟たち 街の人レーネに言い寄ってたと勘違いしたダーヴィッツはベックメッサーと決闘する。ここがまた超おもしろい。腕まくりするダーヴィッツに対抗してベックメッサーは自分のカボチャパンツの裾をこれ見よがしにたくし上げる(爆)上方のキャットウォークで見物しているヴァルターとエーファ。徒弟たちか群衆かわからないが舞台のセットに植えてあった人工の植栽を抜いてまき散らす。夜警がそのありさまを見ておののく。ここの大騒ぎのシーンの台本はいまだかつてすべて聴きとれることは一度もない。第2幕了第3幕いよいよ第3幕です。インテンダントの執務室。ザックスはデスクに座って物思いにふけっている自分の策略通りにすすんだのはいいが、人々が暴動まで起こしてしまった。ダーヴィッツが食べ物と花の入ったバスケットなどを両手に抱えて入ってきてお尻で扉を閉めるザックスが本をバタン!と閉じてダーヴィッツは飛び上がるGleich, Meister! Hier!反応がないザックス。きょうは何の日だ?ヨハンニスフェストですじゃ歌って見ろベックメッサーのまねで歌ってしまうダーヴィッツ何だと?Am Jordan Sankt Johannes stand今度は美しく歌う。an der Pegnitz hiess der Hansハンス?今日は親方の名の日ですよ!ザックスはやけに優しくダーヴィットを送り出す。ザックスは劇場の植栽(広場の樹木?)が抜かれ荒らされているのを見るWahn! Wahn! Überall Wahn!Wahn!は妄執、妄念、迷い。私の妄念、ザックスの妄執 それこそがRワーグナーを突き動かしていた妄念ここでは彼の哲学が語られているのです。社会活動で街を追われたり暴動 暴力 民衆の力 も体制を打破するにはそれらが必要であることを言っているのかもしれませんスクラップアンドビルトしかしこの哲学が、この妄念がある独裁者の脳細胞に植え付けられて、20世紀半ばの世界大戦で人類史上最大の悲劇を生むことにつながるなどこの時は誰にもわかりません…Gott weiss, wie das geschah? Nun aber kam Johannistag!第2場ザックスはコーヒーポットを持ってリハーサル室へ行くそこではヴァルターが酔いつぶれて寝ているザックス:Grüss Gott, mein Junker!ザックスはリハ室の壇上からデスクと椅子を下ろして座るヴァルターに歌の指導をするザックス:若い時には恋の歌を歌うことはたやすいことですそれは春が代わりに歌ってくれるからですしかし時が経ち人生の労苦を経験しそうしてもなお、美しい歌を歌える人それがマイスターと呼ばれる人なのです。(大野さんが22日のレクチャーで言及した部分です)ザックス:私が書き留めますから歌ってみてください。ヴァルターは最初断るが、ついにリハ室の小さな壇上で歌い出す。ヴァルター:Morgenlich leuchtend in rosigem Schein朝陽がばら色に輝き…ザックス:Das war ein StollenそれではAbgesangをヴァルター:Sei Euch vertrautvom Lebensbaumサステインな高音、けして小さくまとまらない、ヘルデンテノールのパワーを放出するフィンケさん。ヴァルター:Abendlich glühend(二番目のバール)Lieblich ein Quell…ザックス:では3番を。ヴァルター:ここで夢は終わりでした。ザックス:では着替えてきてください。第3場ベックメッサー怪しい行動。うろうろ○○の周りを歩き回る。その間いろいろ珍事が起こるwここの演出もいろいろパターンがありますがベックメッサーの演技力の見せ所のシーンです。ついには○に追いかけられ、○○へ。そこで見つけたのはザックスの手書きの詩。ザックスが入ってきてベックメッサーは紙を隠すダーヴィッツに散々殴られてあざになっているベックメッサーは怒りをザックスにぶつける。ベックメッサー:Die ich mir auserkoren,die ganz für mich geboren,zu aller Witwer Schmach,der Jungfer stellst du nach.Darum! Darum!Wär' ich so dumm?Ja ja! Haha! Hab ich dich da?おまえのせいだ、弟子を操りやがって俺を殴らせたザックス:誤解があるようですね。私は今日は出場しません。ベックメッサー:なんだってザックス:Gewisslich, nein!ベックメッサー:じゃこれは…ザックス:それはあなたにあげます。急にうれしくなってザックスに感謝し始めるベックメッサーBeckmesser, keiner besser!Merker! Merker! Merker Hans Sachs!Dass Nürnberg schusterlich blüh' und wachs'!この後の紙を探して慌てて戻ってくる演技もおもしろいエレートさん。このシーンで2階にはメイクルームがあり役者たちがメイクしながらメイク・ラブしているというのが描かれますが上の席からは全然見えません。第4場考え込んでいるザックス。エーファがくる。ドアを開けたらちょうど出ていくベックメッサーと鉢合わせ。ベックメッサーはちゅっと秋波を送る。エーファ、ゾーーーッwここはまだエーファは晴れ着(赤もしくはピンクのワンピース)に着替えていなかったはずだ。エーファは靴が合わないと文句を言うのを口実にやってきたのだ。ヴァルターがやってくる急にお行儀がよくなるエーファその様子を見てザックスザックス:せっかくプロポーズする気になったというのにエーファ、どうせ靴を直してろと言うんだろ?ヴァルターが歌いだすヴァルター:Weilten die Sterne im lieblichen Tanz?ザックス:これがマイスターの歌だ感激して何度もうなずくエーファ。ヴァルターと見つめ合うエーファ感情を爆発させるザックス。本棚の本を全部落とすエーファ:O Sachs, mein Freund! Du teurer Mann!エーファの林さん、すばらしいです!非常に高い音程エーファは自分の苦境を語り、ザックスにも同情を求める。ザックス:(トリスタンとイゾルデのメロディ)私は賢いからマルケ王にはならないよ。レーネが入ってくるザックス:ダーヴィット入って来い!ザックスはダーヴィッツを職人(ディレクター 舞台監督)に昇格させるそれでは「幸福な朝の夢の調べ」最年少のポーグナーさんからお言葉をエーファ:Selig, wie die Sonne至高の五重唱ここで昇格したダーヴィッツが変身!すごいばりばり仕事をしだして逆に現場が大混乱(爆)第5場劇場の枠を超えた野原が広がっている普通のマイスタージンガーだったらここは人々が密集しているシーンとなるのであるが今回はここはコロナ禍仕様で超広いし、合唱の人数も絞っているので少々しんどい。それでも獅子奮迅の活躍だった合唱には感謝を捧げたい。Ihr tanzt?ダーヴィッツが踊りに来るすばらしい声です!コロナ禍仕様で手を組んだダンスはしない。いよいよマイスターたちの登場。ザックスも登場ザックスは黒いタキシードで決めている皆がザックスを讃える歌を歌うWach' aufザックスの口上ポーグナーはザックスに感謝の言葉を述べるベックメッサーは紙を見ながら暗譜に余念がないベックメッサーは壇上に上がる文句をつけるベックメッサーの暗記した歌詞はよほどザックスが悪筆だったのかwひどい内容になっていた。顔をしかめる人々凍り付くポーグナー立ち上がって騒ぎ出すマイスターたちハンス・フォルツの妻屋さん声がくっきり聴こえますやはりすばらしいバス!ベックメッサーは最後の方で自暴自棄になり、壇を下りて、歌いながら狂ったようにエーファに近づいていく。怖い!ポーグナーが体を張って中に入る。ベックメッサー:ザックスこれはお前の詩なんだ俺に押し付けたんだ!ザックス:この歌は私のではありません。ふさわしい人を紹介します。白いタキシードに身を包んだヴァルターが登場する。黒い蝶ネクタイは結ばずだらんと提げて粋である。シナトラとか、誰かのイメージなのかな。ヴァルターは後ろを向いて見守る民衆たちにひとりひとりにあいさつする。民衆たちは絶大なる応援の気持ちを目線にこめる。(メゾの福間さんとか)振り向いて歌い始める。ヴァルター:Morgenlich leuchtend in rosigem Scheinエーファは心配で見ていられず視線を落としている。すばらしい歌に人々が感心する中、ベックメッサーは非常な関心を持ってザックスの書いた紙を握りしめてがん見して歌と照らし合わせている。しかし次第にその紙が下に下がり、茫然と彼の歌に聴き入る。さらには紙を下に落としてしまうがそれにも気づかず、一点前を見つめている。俺は負けたのだと彼が認めた瞬間だった。最後まで歌い切ったヴァルターエーファ:Keiner wie du so hold zu werben weiss!ポーグナーはGeschmückt mit König Davids Bild,nehm' ich Euch auf in der Meister Gild'ヴァルター:Nicht Meister! Nein!憤然としたマイスターたちはじめ全員が退場する。幕が閉まり、出て行こうとしたヴァルターにザックスは説得を始めるザックス:Verachtet mir die Meister nicht…(この後は劇場でお確かめください!)全幕了大感動の聴衆の大拍手がいつまでもいつまでも続いた!***Related linksDIE MEISTERSINGER VON NUERNBERG INDEX