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カテゴリ:なんだこりゃ
本日、2011年8月5日の日本経済新聞の40面(最終面)に吉本隆明の談話が載っています。
「私の履歴書」が載っている同じ面で、「8・15からの眼差し」という連載インタビュー記事の3回目。 みなさん、お読みになりましたか? 題して「科学に後戻りはない 吉本隆明氏」 小見出しは「原発 完璧な安全装置を」です。 あのー、この時点でもう突っ込みどころが何か所もあるんですけど、、、、 自分は読みながら「え?」「はあ?」を連発。 読了後は水野美紀と水野真紀みたいに紛らわしい名前の別の人がいるのかなあ、とも思いました。 よくよく見たら吉本隆明じゃなくて吉本降明さんのコメントでした、えへへ、みたいなw とりあえず一部を抜粋 ――復興への道は。 「労働力、技術力をうまく組織化することが鍵を握る。規模の拡大だけを追求せず、小さな形で緻密に組織化された産業の復興をめざすべきだ。疲れずに能率よく働くシステムをどうつくっていくか、が問われるだろう。 それには、技術力のある中小企業を大企業がしっかり取り込む必要がある。外注して使い捨てるのではなく、組織内で生かす知恵が問われている。」 戦前の革新官僚の発言です、といってもさほど違和感がありません。 あるいは商工省時代の岸信介の発言とか。 ――事故によって原発廃絶論がでているが。 「原発をやめる、という選択は考えられない。原子力の問題は、原理的には人間の皮膚や硬い物質を透過する放射線を産業利用するまでに科学が発達を遂げてしまった、という点にある。燃料としては桁違いにコストが安いが、そのかわり、使い方を間違えると大変な危険を伴う。しかし、発達してしまった科学を、後戻りさせるという選択はあり得ない。それは、人類をやめろ、というのと同じです。 だから危険な場所まで科学を発達させたことを人類の知恵が生み出した原罪と考えて、科学者と現場スタッフの知恵を集め、お金をかけて完璧な防御装置をつくる以外に方法はない。」 ああ、もう! 突っ込みどころ多すぎです。 >燃料としては桁違いにコストが安いが 廃棄物の最終処理やそこに至るまでの管理コストまで考えて言っていますか? 後行程を考えなければコストが安い、というのは、ブレーキもシートベルトもヘッドライトも省略して、保険にも入らなければ自動車はもっと安上がり、ということと同じ。そんな仮定でのコスト評価はナンセンス。 >科学者と現場スタッフの知恵を集め、お金をかけて完璧な防御装置をつくる以外に方法はない ・・・Σ( ̄ロ ̄lll) いや、だからさ、3.11前の東電のWEBには 現在、わが国の原子力発電所は考えられるどのような地震が起きたときでも、設備が壊れて放射性物質が周辺環境に放出される事態に至ることのないよう、土木、建築、機械、地質、地震学など、幅広い分野の技術をもとに、厳重な耐震設計が行われています。 考えられる最大の地震も考慮して設計しています。 過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています。 と書いてあったんだよ! さまざまな分野の知見に基づき過去最大の安全マージンを取っていた筈だったんだよ! その挙句の果てが今の状態なのに! 自分の記憶違いでなければ、かつての反核ブームの頃、吉本隆明は反・反核っぽい立ち位置でした。個人的には反・反核そのものは悪くないと思うんですよ。反・反スターリン主義とかオフ・オフ・ブロードウェイみたいなもんでしょ(え、違う?) でもこの記事での発言は、まるっきり「電力会社・保安院ぐるみ体制容認」の立場からのコメントとしか思えません。 さらに彼は記事の後段、締めの方で 僕も自分なりに満足できるものを書くとか、飼い猫に好かれるといった小さな満足感で、押し寄せる絶望感をやり過ごしている。 と語っています。 「飼い猫に好かれるといった小さな満足感」でやり過ごせることができる絶望感w 気楽なもんすな。 南相馬、浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉の人たちが、そんな状況ではないのが判らないのかな、この人。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年03月29日 23時50分30秒
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