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河合隼雄・著 朝日文庫
これは私の思い込みかもしれないのですが。どうも中年という年に差し掛かって、「転向」とまでは言わなくても、「あんな人じゃなかったのに」とその変貌ぶりにがっかりしてしまう人が多いような気がします。特に男性。 年齢的に上を目指す野心が出てくるころでもあると思うし、男性にも更年期のようなものが訪れる、とも聞いたことがあります。 とにかく中年というのは、思春期に負けず劣らず、危うい時期であるらしい。 心理学の専門家としていろいろな相談を受けてきた著者も、そのことを実感。実際の相談例を持ち出す代わりに、文学作品に出てくる中年の心の問題を取り上げて、解釈を行っています。 中年といってもかなり幅があって、低い方では30代も出てくる。とすれば、これは私の問題でもあるなと思いながら心構えのヒントをもらうつもりで読みました。 中で強調されているのが、喜怒哀楽の感情を出すことの大切さ。現代人はこの年になると、変に「分別」ができてしまって、野性を失ってしまっている。適応がよすぎて、そのことがかえって問題になっている例が多いとのこと。著者はいくつかの小説を通じて、夫婦間や子どもとの関係で生じた問題を解決するのにワイルドな部分を生かしていくことが必要なのだといいます。 また、中年の時期に、自分の根源的な問題につきあたる。来るべき「死」に向かって、そのことを考えながら、自分がどう生きるかを見直すこと、 自分は何のために生まれたのかという「片付かない問題」(夏目漱石「道草」)を片付かないものとして認めて、それを生きていくことが科せられる。 ここを苦しみながら、迷いながらも踏み越えた人は、充実した人生の後半を過ごせるのでしょう。 その過程を回避したり、軽んじたりすると、そのしっぺ返しは自分にくるのかもしれない、とも思いました。 そういう時期なんだ!そう思うと、精神的な不安やうつ症状も怖くない気がします。 ただ家族にわかってもらうのは難しいかもしれないなあ。。 自分が思う「あんな人じゃなかった」ような人にならないためにも、目先のことでなく、自分の精神的なものや人生の立ち位置を大事にしたいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.08.10 22:35:54
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