カテゴリ:読書日記
西條奈加 新潮社
恋細工 「烏金」を読んで、西條奈加という人の書く小説を、もっと読んでみたいなと思いました。 きれいな小説です。クリーンな感じがします。 くどくなくて、やわらかくて、少し痛くって、ああ敵わないなって思う。敵わない相手は善人だったり才能だったり時の流れだったりもするのですが。 「言いだしたのがおとっつぁんでも、これはもう、あたしの意地なのよ。賢くないとわかっていても、ここでやめたら、あたしはあたしをやってゆけない」 「恋細工」の作中のお嬢の台詞なのですが、ガツンと効きました。 あたしがあたしでいることに何の意味もないのに、いつだって、私は私を、やっていきたい。投げ出したら楽になるのに投げだせず、力不足に焦燥して、いっつも悔しくなるのです。 しかたないさね、性格だから。 江戸の時代の小説だけど、出てくる人の性質はみんな現代の子の心根で、しっくりとはまります。明治の前だもんね、ついこのあいだみたいなもんだよね、江戸なんてね。 まぶた閉じれば、映るんだよ。 透かし模様の、恋細工。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年07月16日 07時46分00秒
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