カテゴリ:読書日記
【重版予約】 鷺と雪 文藝春秋 北村薫 無粋かもしれませんが、まずは最初に、直木賞受賞おめでとうございます、北村薫さん。 彼の方の芥川への思い入れ、ひいては文藝春秋、菊池寛への思い入れを思いますと、感無量でございます。 「六の宮の姫君」「リセット」で受賞できなかったとき、これ以上の作品をこの人は書かなければならないのか……!と感極まったものですが、「鷺と雪」を読んで、すごい、書いたな、書きやがったな、と思いました。 すごい。 おもしろい。 この頃はいわゆる古典を読もうとか文学を読もうとか思わなくなって、ただ、読みたいものが読みたいです。 手のひらに本の背表紙がしっくりと収まり、ページを開くと、ときときと読み進めずにいられない、目に心地よく心に落ち往く物語を欲します。 北村薫の書くものは、大半が、私の心に馴染むのですが、「鷺と雪」は実にしっくりきたのです。 終りの始まりがそこにありました。 けれど「始まり」なのです。 主人公である英子嬢は、いつまでも嬢ではないけれど、あの時代を生き抜いて婆になれたかもわからないけれど、その時の感情をずっと覚えていようとした瞬間は永遠。 終りの中にも、心はありました。 だから、届く。 届いたのですよ、時を越えて、夢を越えて、現ではない貴女の影が、読者である私にまで。 夏の夜にも雪は降りました。 しんしんと、 騒擾と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年07月22日 22時57分18秒
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