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西條奈加 光文社
はむ・はたる いいタイトルですよね。「はむ・はたる」 ひらがながやさしい。くるりん、まわる形。響きのどんくさい感じ。決して言いにくくはない発音。けれど意味のとれない不思議。 読み始めてすぐに気がついたのですが、「烏金」の世界の続きの話でした。続きものではないですが、「烏金」で知っていたこどもたちが出てきます。彼らが主役です。 江戸のお話で人情噺なのですが、ちっとも古くない。時代小説っぽくないんです。西條さんの小説はどれもそんな印象ありますが。 妖怪とか魔術とか出てこないんですけど、時代小説というより、ファンタジーって印象。なんというか、マンションのドアあけたら、この小説の世界に出たんだよ、それで私も着物を着ていてね、髷なんか結ってるんだよ、あ、とりあえず奉公先に行ってきまーす!って感じで、しっくり馴染むのです。すごくよく知っている世界の、すごくよく知っている感覚で、別に想像力とか使わなくても、すとんと小説世界に入って息してる。 この「連れていってくれる」感は、なかなか爽快です。 連作短編なんですが、なんというか、こどもがえらい。走って転んでまた立ち上がる。泣いて怒ってよく笑う。みんないろんな形で、ものすごくやさしい。 好きだなあ。この子たちみんな、ほんと、好きだなあ、と、思うのです。 烏金 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年01月25日 20時24分32秒
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