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祖母の見舞いに行きました。
祖母は去年8月に骨折をしました。91歳。 寝たきりになるかと心配していたのですが、リハビリをがんばって、本当にがんばって、家の中なら杖をつかって歩けるところまで回復し、車いすが使えるように家を改築して、11月の退院を決めたところで、今度は脳梗塞を患いました。 病院で倒れたので、命は取り留めました。 目は開きます。 言葉は出ません。右腕が少し動きます。認識ができているのかはわかりません。右腕の動きが意思を伴うものなのかもわかりません。寝たきりです。チューブがお腹に差し込まれていて、そこから栄養をとっています。 祖母が倒れたのは、私が結婚する2週間前でした。 もしかしたら、食事の会に来られるかな、ムリかな、と、連絡をとりあっているうちの、急報でした。 ベッドのそばによれば、祖母は人影を目で追います。話しかければ音は聞こえているようです。反応はありません。返事にあたるものは、もちろん、ありません。 婚姻届を出す前日に、祖母の夢を見ました。 祖母は高速バスのターミナルのようなところの、バス停のベンチに腰かけていました。 「もうおばあちゃん、急に倒れるからびっくりしたよ。」 私は言いました。 「そうそう。悪かったねえ。」 おばあちゃんはにこにこして言いました。 「なんとか歩いてここまで来たんだけどねえ。ちょっとここから動けないのよ。全部わかっているんじゃけど、外に出す回路が、ほっぺたの中の方で固まってしまって伝えきれんの。もどかしいんじゃけど、まあ、しかたないよねえ。」 「うん、しかたないねえ。まあゆっくり休みんさい。焦らんのんよ。」 「まあ、ひとやすみよね。」 祖母は小さな丸い背中で言いました。 バスはまだ来ない。 そんな夢でした。 私が見舞いに行くと、祖母は笑顔のような表情を浮かべます。意味があるものかはわかりません。 祖母にとって「嫁」である私の母は、「私が1人で行っても、あんな顔はしてくれん。」と、少し拗ねます。 私たちは雨上がりの道を歩いて、病院から家に帰ります。 空気はきれいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年02月03日 08時02分52秒
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