カテゴリ:読書日記
容疑者Xの献身 容疑者Xの献身 東野圭吾 文春文庫 いつか読めるだろうと思って、のんびりかまえていたベストセラー。雨の降る土曜日に、しとしとと読みました。 「絵」の見える話だと思いました。天才数学者でありながらタイミングだけの問題でいまは高校教師を淡々と勤めている石神。彼の観た風景が時折、一幅の絵のように止まる。たとえば最初、川原に住む家のない人々のいる景色。家のない人たちに仲間入りしたばかりで、溶け込むこともできず、川原に降りたまま、工業系の雑誌をめくる『技師』。おそらくは拾ってきた雑誌だから丸まったくせがついていて、頁の角は汚れている。売るわけではなく自分ようだから、丸まったのをのばすこともしない、頁の角を指の腹で撫でることもない、読み耽る…… 見えるのは石神の観た景色ばかりです。彼が数学者だからでしょうか。瞬間が切り取られる。パーツになる。組み合わされる。ぱらり。 東野圭吾の書く「天才」の話らしい、と思いました。「鳥人計画」や「魔球」と並べてみたいです。 必ず輝くのに、いつか、取り返しがつかない。天才のいた、物語。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年03月07日 07時51分19秒
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