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先日、「転移」を読んだので、さかのぼって「ガン病棟のピーターラビット」を読んでみました。このときは胆管ガンの見立てだったんだなあ、と。 最後、すい臓ガンだとわかるのですが、やはり予後がよくないガンだというのは栗本薫(中島梓)も知っていて、でも以前に4%だった5年生存率が、今は「4人に1人の生存率」までよくなった、ということを医師から聞いて、希望を持っておられました。 とはいえ、医師は「あと半年」「1年という長い単位で計画を立てない方がいい」と厳しい状況をきちんと説明なさっています。 どうして「転移」はあんなに明るかったのかなあ。 「ガン病棟のピーターラビット」と少し明度が違います。「ガン病棟のピーターラビット」の方が手術後の体調や病院の環境など、愚痴と紙一重の描写が連ねてあって、生々しい。わたしはほかのガン患者と違う、という意識もほの見える。その、ざらりとした手触りがあるところが、欲望で、生きている人なんだなあ、と思います。 読み物としては「予後」の方がきれいです。顔文字とか(爆)とか本文にあって、これ、口述筆記本なのかなあ、という言い回しもあって、計算して書いたのならすごいけれど、このころの栗本薫(中島梓)のクオリティであればこの文章なんだろう、とも思いました。 それでも書きたかったんだなあ。 書くことが好きだったんだなあ。 書いたものを商品にすることにためらいがなかったんだなあ。 強い。 グインは30巻くらいで読むのをやめてしまって、手に取りなおすこともしないのだけど、もう栗本薫の書いたグインの新刊は出ないんだ、ということは、不自然なことに思えます。 ご冥福をお祈りいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年11月24日 09時17分43秒
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