カテゴリ:読書日記
日本の食生活全集34 社団法人 農山漁村文化協会
ふるい本です。昭和62年出版。いい本です。 どんなものを食べてるの、と、地の人に聞くのは、民話を聞くのと同じこと。松谷みよ子さんの民話収集の本を読んでいるように、つらつらと読みました。 私の父母の出身は広島の内陸で――なにしろ広島というところは、海から少し入るともう山だ――この本に取り上げられている「広島湾沿岸の食」と「中部台地の食」の混合の献立を私は食べて育ちました。 「鯛麺(鯛そうめん。鯛を煮付けて、そのおつゆで食べるおそうめん。鯛の身もそうめんにのせる。)は食べる。イリコ味噌は知らん。小いわしは足がはやいけえ、うちらんとこまで来んかったんじゃないかね。今は食べるけどわざわざ味噌で炒らんよね。」 「チシャの葉をちぎって酢味噌で食べるんは、ちしゃもみ言うんか。すり鉢で白味噌すって、酢を入れて、砂糖足して、ちぎったチシャをどさっと入れて酢味噌であえる。あまり好きじゃなかった。けど、ようけ食卓に出よった。」 思い出しながら、思い出しながら、思い出しながら。 思い出すのは味だけではなくて、よく働く人だった祖母と母のこと。 声。 郷土の食事は流通によって薄れたとはいうけれど、地にもぐり水に流れして細々居残っていくのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年04月06日 09時45分39秒
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