カテゴリ:読書日記
【楽天ブックスならいつでも送料無料】【6/30 9:59まで!ポイント2倍】冬虫夏草 [ 梨木香歩 ] 冬虫夏草 梨木香歩 新潮社 これは供養の物語、と、感じました。 綿貫くんの旅の物語。 「家守綺譚」は綿貫学士が疎水辺の、旧友の旧宅に佇んで、時が旅ゆく物語でしたが、「冬虫夏草」は綿貫くん自身がゴローを探す旅に出ます。作品内の時間はあまり動きません。 ひと時の中を、綿貫学士が歩いていく。 失われつつあるもの、失われたもの、失われたかもしれないもの、失うことが定められた先。 綿貫学士は喪失の前を確かめながら、一歩一歩を歩くのです。 供養、というのは、不思議な漢字。 ともにやしなう、と書くのですね。 生きる時間を供に養うから、喪失はあっても滅却はない。 ゆらゆらと揺れる草、今日開く花、あした吹く風、暮らし。 暮らしは続かないけれど、変化は続いて、時は流れて、境界は在り続ける。境界は超えられるけど、越えられないもの、右手で触れるかもしれないけど、いつもそこにあるとは限らないもの。 生も死も誕生も喪失も、姿形を変じるだけだと、冬は虫の姿して、夏は草の姿して。 なんと自然は怖ろしい。そしてわたしも自然の一部。 今日も時は流れていきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年06月29日 09時27分58秒
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