カテゴリ:読書日記
【楽天ブックスならいつでも送料無料】日の鳥 [ こうの史代 ] 元気かな。 2011年9月に、2週間だけ暮らした、宮古は元気かな。 ときどき、思います。 日の鳥、こうの史代。 にわとりの夫が、妻を探すスケッチです。 最初のスケッチは、5か月後の釜石と大槌でした。 ―――私が訪ねた時にも近い。 にわとりの妻がいつどこでなぜ、いなくなったのか、明確には描かれていません。 にわとりの夫は東京と東北を周ります。 妻よ、妻よ、と呼びかけながら、妻を探します。 悲壮ではありません。 にわとりの夫はユーモラスです。 たくましく生きています。 喪失した妻から目をそらさず、探し続けます。 妻を喪失したことに、にわとりの夫は気が付いている。けれど探す。探す探す探す。探しながら、生きている土地を、鳥を、人を、歴史を肯定する。 きちんと訪れて、きちんと歩いたスケッチだと感じました。 なまなましかった。 2011年9月、大槌。 まだ信号はほとんどなかった。一面の野原にいくつか残った、撤去される前の鉄筋の壊れた建物の中には、泥にまみれた衣服が大量に流れ込んでいた。白っぽくなったピンクと緑が目立った。人工物は家の基礎しか残ってなくて、雑草がわざわざ生えてて、雑草でもおさえきらない砂埃が常に舞っていて、草の緑と空の青と土砂の白茶が視界のほとんどをしめている中で、飛び込んできたピンクと緑の衣服だった。もう着られることのない服。色あせた沢山の衣服と混ざって。 2014年7月。 お元気ですか。あの日の景色はもうないのでしょうね。ないことを確かめたい。また行きたい。 お元気ですか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年07月21日 05時55分06秒
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