カテゴリ:点描
あかるい四月です。
よく晴れています。 土曜の朝に、歩いて病院に行きました。 ときおり、こつんと咳が出ます。 緑が光っています。 街路樹も道端の草も、お店の軒先も、誰かの庭木も。 つやつやとした黄緑色。 とあるお宅の垣根の枝に、アルミの缶を加工したランプが下げてありました。 (つと光り) という言葉を思い出しました。 いえ、「つと光り」という詩句を知っていたから、目が留まった風景かもしれません。 私は中原中也を、中也のお母様の回想記で初めて知りました。 中也の詩が端々に差し込まれ、読み終えたとき、詩句の記憶が残るような、そんな編集でした。 詩を読むことに慣れておらず、けれど物語を読むことが好きだった私には、よい「詩」の入門書でした。 山頭火さんのことを、お母様は語られていました。 「締めの足りない水道の、 蛇口のしずくはつと光り!」 中也のこの詩は、俳句だね、というようなことをおっしゃった、と。 4月のあふれる緑の中のアルミ缶。 つと光っていました。 一般的な表現ではないかもしれないけれど、私にはそれしか言えない。 つと、光っていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年04月25日 15時03分21秒
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