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奥様のことを、とてもとてもお好きだったのですね。
原民樹さん。 妻がいたときの景色。妻の質量。 書いて、手をとめて、視線をあげて、妻を克明に思い出し、その姿を見、とどめるために書く。 一筆を書いて目を上げる。 妻を思い出す。 手の形、まなざし、空気の動き、日差し。 妻の姿を見る。 そして書く。 そのままを書く。 妻を思い出にはできず、喪失感が薄れていくことも嫌で、繊細に繊細に妻を呼び起こす。 生者の世界ではない。 半分、幽界に入り込んで、妻を恋うて。 だから、会いに行けたのだろう。 自らさっさと命を絶って、たった一人に、会いに行ったのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年09月04日 08時48分38秒
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