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2023.02.20
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カテゴリ:岡山県
吉備中山の北西麓に鎮座し、桃太郎伝説の原型になったとされる、吉備津彦命と温羅にまつわる伝説が残る神社。本殿、拝殿は国宝に指定されており、南随神門、北随神門、御釜殿は国指定重要文化財に指定されている。

主祭神は大吉備津彦命(オオキビツヒコノミコト)。この地で蛮行を重ねていた温羅を退治した後、吉備国の人々の為に殖産を教え仁政を施し、281歳まで生きたことから、必勝祈願、学業成就、延命長寿などの御利益がある。また、相殿神として御友別命(ミトモワケノミコト)、倭迹迹日百襲姫命(ヤマトトトヒモモソヒメノミコト)など、大吉備津彦命の子孫や兄弟も祀られている。

かつて恐ろしい風貌の巨漢で、百済の国の王子とされる温羅がこの地に渡来し、城を構えて蛮行を重ね人々を困らせていたという。そこで大和朝廷は温羅退治のために、孝霊天皇の子で四道将軍の1人の大吉備津彦命を吉備国に派遣。大吉備津彦命は吉備の中山に本陣を張り、温羅と激しい戦いを繰り広げ、ついに退治した。これらの伝説が、おとぎ話「桃太郎」の原型になったと言われている。大吉備津彦命はその後吉備国を統治し、281歳で亡くなり吉備の中山に葬られたという。

創建の年代は不詳。社伝によると、仁徳天皇が吉備国に行幸された際に、大吉備津彦命の業績を聴かれ、その徳を偲び吉備国の祖神として崇め奉斎されたと伝えられる。古くは「吉備津彦神社」と称されていた。朝廷からの篤い崇敬を受け、927年(延長5年)成立の延喜式神名帳では明神大社に列し、940年(天慶3年)には最高の一品の神階を贈られた。かつては神仏習合の場だったが、江戸時代中期に分離。明治維新後に「吉備津神社」に改称し、現在に至る。

毎月1日に月旦祭、13日に月次祭が行われており、その他にも毎月様々な祭事・神事が行われている。また、釜の鳴る音で吉凶を占う、古くから伝わる独特な神事「鳴釜神事」も金曜日以外に行われている。


手水舎。


初詣に参拝。多くの参拝客で賑わっていた。


矢置石。大吉備津彦命が温羅と戦う時に、温羅に向けて放つ矢を置いたと伝えられる大きな石。毎年正月三日にここで矢立の神事が行われている。


北随神門。北の参道に位置している。1542年(天文11年)に再建。国指定重要文化財に指定されている。












本殿・拝殿。どちらも国宝に指定されている。現在の建物は室町時代の1390年(明徳元年)に足利義満が造営を開始し、1425年(応永32年)に再建されたもの。建築様式は、入母屋造の屋根を前後に2つ並べた比翼入母屋造と呼ばれるもので、全国的に見てもここだけの様式であることから、吉備津造とも呼ばれている。


授与所。神札や様々な種類のお守りなど、授与品が揃っている。隣にある五角形の建物は桃太郎おみくじが引けるところで、種類もよろこびみくじ、こどもみくじなど5種類ある。


社務所。


祈祷殿。


一童社。御祭神は菅原神、天鈿女神(アメノウズメノカミ)。学問、芸術の守護神として信仰されており、受験の合格祈願に参拝している人が多かった。


南随神門。廻廊の途中に位置している。1357年(延文2年)に再建されたもので、吉備津神社の中では最古の建造物。国指定重要文化財に指定されている。






廻廊。1579年(天正7年)に再建されたもの。全長360mもあり、本殿・拝殿から本宮社まで一直線に伸びている。


えびす宮。商売繁盛、家業繁栄の神様を祀る。正月9日、10日、11日にはえびす祭が行われている。




岩山宮。吉備中山の中腹にあり、吉備国の地主神を祀る。周辺はあじさい園となっており、6月下旬になると1500株の色とりどりなアジサイが辺りを彩る。


祖霊社。祖先神を祀る。


水子慰霊社。幼くして亡くなってしまった子供の御霊を祀る。


三社宮。左から春日宮、大神宮、八幡宮。周辺は梅林となっている。


瀧祭神社。吉備中山を流れる細谷川のほとりにある。


宇賀神社。神池の中央の島に位置し、吉備津神社最古の稲荷神を祀っている。


本宮社。廻廊の南端に位置する。御祭神は孝霊天皇、吉備武彦命(キビノタケヒコノミコト)、百田弓矢比売命(モモタユミヤヒメノミコト)。いずれも大吉備津彦命の親族の神にあたる。安産、育児の神様として信仰されている。


御竃殿。古くから行われている神事「鳴釜神事」が行われている場所で、大吉備津彦命が退治した温羅を祀る場所とも伝えられる。伝えによると、大吉備津彦命は温羅を退治し首をはねたが、それでも温羅は大きな唸り声を上げ続けたという。髑髏になっても声は止まず、ついにはこの地に埋めてしまったが、それでも唸り声は止むことなく周辺に響き渡ったという。大吉備津彦命が困り果てていた時、夢の中に温羅の霊が現れ、ここで竈を使った神事を行うよう告げる。そして実際にその神事を行ったところ、唸り声は治まり平和が訪れた。これが鳴釜神事の起こりとされる。神事の内容は、釜の上にせいろを置いてその中に玄米を入れ、蓋を乗せた状態で釜を焚いた時になる音の大小長短で吉凶を占うというもの。なお、吉凶であるかどうかはその音を聴いた本人が判断するようになっている。



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最終更新日  2023.02.20 22:00:02
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