かつて法華原と呼ばれる鎮西身延山本沸寺の別院があった場所にある、3本のしだれ桜の巨樹。別名「法華原華庭園のしだれ桜」。

高さは約10mで、樹齢は約70年。広い範囲に枝を伸ばし、3月中旬になると枝に沢山の花を付け、花の暖簾のように美しくなる。夜間はライトアップがされ、昼間とはまた違う幻想的な光景が生み出される。

元々しだれ桜のあった場所は田中将善という日蓮宗・鎮西身延山本佛寺の熱心な信者が住んでいたところで、後にこの地に法華寺という御堂が建立され、鎮西身延山本沸寺別院法華原道場（通称法華原）として本沸寺に寄進した。1961年（昭和36年）に田中氏が日蓮宗総本山身延山久遠寺に参拝した時、山門前にあった大しだれ桜の風情に感銘を受け、その種子を持ち帰る。種から育てたしだれ桜を1969年（昭和44年）にこの地に移し、それから半世紀近くの間ずっと大切に育てたという。2013年（平成25年）に田中氏は生涯を終え、それからしばらくの間しだれ桜は雑木林に埋もれていたが、近隣住民有志らの手により整備が行われ、うきは市の新名所として注目されるようになった。


入り口。周辺は桜の木々が立ち並び、訪れた時はちょうど満開だった。


本沸寺別院法華原の碑。




しだれ桜。広範囲に枝を広げ、無数の長く柔らかい小枝は地面スレスレまで垂れている。訪れた時は少し花が散り初めていた時で、薄い桃色の花びらを沢山付けた枝に風が吹くと、綺麗な花吹雪が舞っていた。樹齢は100年に満たないが樹高は高く、写真1枚になかなか収まりきれないほど。




沢山の花を付けた枝。広い範囲で枝を垂らしている様子はまるで桜のカーテンのよう。




枝に沢山付いた花びら。


田中将善の歌碑。"いにしえの 法華の春に しだれ花"と記されている。




もう1本のしだれ桜。かつてこの場所に、田中将善の自宅があったという。田中氏はこのしだれ桜を丹精込めて育て、未来永劫人々に親しまれることを祈りながらお釈迦様の元に旅立ったことを考えると感慨深いものがある。


展望台から見た風景。遠くにうきはと朝倉の町並みが見える。


かつて寺院があった場所。現在は石碑が建てられている。


八大龍王の宿るお滝場。












日が沈み、辺りがブルーモーメントに包まれ、ライトアップされるしだれ桜。昼間は真っ白な空が広がっていて、薄い色の花びらが空と同化していたため木がほっそりと見えていたが、暗い中でピンポイントに光が当てられると一転、花びら一つ一つが光り輝きより実りがあるように見える。










あたりはすっかり暗くなり、ライトアップでより美しく映るしだれ桜。辺りに置かれた和傘と相まって、日本の和と言うにふさわしい見事な光景となっている。


和傘としだれ桜。




周辺には水瓶も置かれていて、夜桜のリフレクション撮影ができるようになっている。



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