でんでんむし号を県庁前で下車、無事人生初じゃじゃ麺をクリアしたペンギンは、店を出ると傘をさして岩手公園の方角へ歩き出した。
...のは良いのだけど、前回の日記で、空腹に耐え切れず、又、あまりにも皆さんに早くじゃじゃ麺を紹介したいと、体がやや前傾姿勢でつんのめってしまい、このじゃじゃ麺の前に重要な必見ポイントに立ち寄ったことを書くのを忘れていた。すみません。
このじゃじゃ麺の前に盛岡バスセンター(中三前)で下車、アーケード街をブラブラしながら「もりおか啄木・賢治青春館」にたどり着いたのだった。
ここは、盛岡出身の建築家横浜勉の設計で明治43年に竣工した旧第九十銀行の建物を保存活用している。
入館料は無料。
でんでんむし号でまわれるところは、そのほとんどが見学料など取らないので、このでんでんむし号の一日フリーパス代300円だけで、楽しめてしまう。
一歩足を踏み入れると、喫茶コーナーで淹れているおいしいコーヒーの香りが館内いっぱいにたちこめていた。
もりおか駅の壁に書かれているメインのロゴ「もりおか」というのは、石川啄木の筆跡によるものだそうだ。
だけど、啄木の残り香は、盛岡よりもむしろ函館を旅した時の方が強いな。
ここに来るまで記念館や童話村で賢治に親しみ、彼の自然を愛する気持ちや深い洞察力などに、まるで旧知の友のような気持ちさえ抱いてしまった私だが、そこへもってきて最愛の妹トシが病死した時の「永訣の朝」に関する展示に触れた時には、知らずに涙が次から次へとこぼれてきてしまった。
さて、岩手公園もせっかくなのでゆっくり見たいと足を運んだが、私の苦手な大きな岩が眼前に立ちはだかっていて、とても上のほうへ行くことはできなかった。
石畳に舞い降りた落ち葉が、雨に濡れて張り付いていた。
菜園川得まで歩くと、「カワトク」というデパートがあったので少し見た。
ガイドブックにある必見ポイントは一応まわったので、もうあとは16:54発のはやて26号に乗るだけだ。
本当はもっと寄りたい喫茶店などがあったのに、雨のせいでフットワークが芳しくない。
それに、ホテル森の風鶯宿の武蔵さんがぜひお勧めと言って下さった遠野にも行きたかった。
でもまぁ私としては(特に二日目、新幹線の時間通り動けたことだし)上出来だったのではないか。
今年行った一人旅の中では一番おもしろかったかもしれない。
そうそう、前の記事にいただいたコメントに「西村京太郎さんとかの時刻表を使ったミステリの犯人ってすごいなーーと思うのでした」というのがあったのだけど、私の今回の二日目にいたっては、本当にそんなノリだった。
シャトルバスから新幹線(盛岡~新花巻)、現地でのバスに連絡し、見学、食事を終えてTAXIをひろい、再びまんまと新幹線に飛び乗り盛岡へ戻り、別のホテルのシャトルバスに乗り継ぎ、チェックインがまだ始まったばかりのホテルに降り、サクッとすましてお風呂に入っている計画だった。
でも、この完璧なミステリー計画には、ひとつだけ失敗があった。
それは、13:53分に新幹線で盛岡に戻ってきた時、14時発のシャトルバスが出発するまでの7分間に、預けた荷物をコインロッカーから引き出す際にトイレに行きたくなり、泣く泣くシャトルバスを逃したことだ。
トイレの時間は計算に入れていなかった...!
往きの新幹線ではあまりにもすこやか過ぎてすぐに空腹になった「すこやか弁当」だった。
帰りは、新幹線ホームにて、一番ヘビーにみえたお弁当を買ってみる。
suicaで買おうと思ったが、盛岡ではsuicaが機能しないらしい。
前沢牛の「牛めし」。ごぼうが大きく切ってあって味が染みていてとてもおいしかった。
指定席、ガラガラ...なのに、私の前にだけ人が...。
マナーのある人ならば「少し倒してもいいですか?」と聞いてくるけど、そうでない人はたまに、いきなりガバーーン!!なんて倒してきて驚かされる。
このおじさんはどちら?と思っていると「少し倒させてもらっていいですか?」なんてニコッと笑って断わってくる、おじさんと呼ぶにはいささか気がひけるジェントルマンであった!
おうちでヌクヌク、岩手の酒蔵巡り