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2003年04月11日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
先日、知り合いのある馬がせん痛(馬の腹痛)になって、発作がとまらなくなり、安楽死した。

その馬(ポニー)のオーナーはまだ子供で多分10歳にもなっていないと思う。その子はその子の家でそのポニーを飼っていたから毎日いつも一緒にいて、一緒に運動して、たまに大会にも出て…これからもずっと一緒に暮らしていくつもりだったそうだ。

私はその子と、その子の家族と、私の友達を、一部始終を見ていた。私にとっても、馬を目の前で深い眠りに落とさせるのは初めて見る光景だった。

ポニーはお腹が痛くてうめき、汗を大量にかいて、発作のサイクルがくるとバタンを倒れて痙攣を繰り返した。

馬が馬房の中で発作を起こすと、脚をコンクリートの壁にぶつけたりしてとても危ない。なので皆で馬の上に乗って体を押さえつづけた。

馬は犬や猫、鳥より痛みを表す動物なので、診断は簡単だけれど、腸の長い馬は腹痛で命を落とす。せん痛は馬にとって一番頻繁に起こる病気でもある。

獣医はこれ以上命を長引かせる事は、馬にとって可哀相である、馬は苦しみと痛みと悲しみとストレスしか感じていない、解放させてあげましょう、と言った。

子供の親は、しょうがない、そうしましょう、という顔で頷いた。そして自分の子供に、「ジェス、家の中にはいっておいで」と言った。

獣医は馬の頭を貫く弾丸の位置を正確に計算し、馬の額にチョークで印をつけた。そして注射器にオピオイドという鎮痛剤を注入した。

子供は首をふってこう言った。「見てる。」

私はとても驚いた。まだ10歳にもならない子供が姉妹のように自分の大事な馬が殺されるのを見てるって!?

その子の母親が言った。「でもこれはすごくショックなことなのよ!?ずっと心に傷が残るかもしれないのよ!?」

すると子供は「でもこれがポピーにしてあげれる最後のことだもの。。。ポピーが苦しいのを、悲しいのを最後までみないわけにはいかないよ。傷つくからって目をそむけたくない…」

と言った。子供は泣いていたし、親も泣いていた。私と友達も服で涙をぬぐった。

馬は鎮痛剤で静かになり、サイレンサー付きの拳銃の弾丸が馬の額を貫き、背骨を砕き、馬は動かなくなった。16歳だったそうだ。

悲しみにシェイドを作って遮断する事は簡単だけれど、傷つくことを避けていては悲しみを乗り越えられないんだ、と子供に教わった日だった。





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最終更新日  2003年04月11日 20時13分55秒
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