2008年1月14日
病院という所は、普通の人の生活思考と比べると、かなりのズレが在りますね。でも、その中で最大の問題は、怪我とか病気からくる不安だと思う。治るのだろうか・・で、それは何時。そして、どれだけ元に戻れるんだろう・・ってね。一人黙って四角い空を見て過ごす人。ベッドの上で限りなく落ち込む人・・・。リハビリもまともに手につかない人もいるし、特に女性は家の事とかも気になって、焦りまくってる人もいたりする。そんな中、入院してから退院するまで、私は一人の時間を過ごした事が殆ど無い。いつも誰かが傍に居て,いろんな事を話してくれる。家族の事とか、自分の病気の事。或いは揉め事から趣味の話しまで。だから・・同じ階の患者さん、看護士さんとか助手さんとかで知らない人は居なかったし、他の階の人ともかなり話し込んだ事がある。ある日・・5~6人の女性の患者さんと話し込んでいるうちに、『今、家の事がなんにも出来ないから、家族に迷惑かけてしまって・・』という話が出た。確かに男と違って、女性の家での仕事は膨大だと思う。家の中の事だけではない。町内の事・・それに無数の集金とか・・。そのうえ働いている人も多い。聞けば聞くほど心配するのも無理の無い話。心配・・これって身体に一番こたえるんですよね。病気にしても怪我にしても、まず心穏やかに・・が一番の薬。だから、こう言ったんですよ。『心配しても、家族の人の仕事が減る理ではないでしょう。毎日心配ばかりしていると、食欲もなくなるし・・治りも遅くなりますよ。それに・・私と話してて楽しくないですか?退屈?』・・って。私は毎日冗談を交えながらみんなと話すのが好きなもので、病院なのにいつもにぎやかだったんですよ・・やかましいほどに。『ここに来て話す事は楽しい・・だからいつも来るんです』という答えが返ってきたので、『だったら、今は一生に一度の長期休暇と考えたら?上げ膳据え膳で全館空調完備。風呂も入れてくれるし健康管理もしてくれる。おまけに、毎日私の漫才も聞けるし・・。』って言ったら、笑ってくれました。こんな調子だから、仲間がだんだんと増えていって、他の階からも来た事がありました。心配しなければならない現状がいつまでも続くという事ではないし、まず考えなければならない事は・・心配しなければならない現状を出来るだけ早く切り抜ける事だと思う。そのためには・・治る・・という事だけを考えないとね。『年寄り死んでも村絶えん』という言葉を母がよく言ってたのを覚えてます。自分が・・という考え方は自分中心に物事を考えている証拠。確かに、残った者は困るけども・・それで死ぬ事なんてないですからね。人は入院したら、『さァ大変だ・・治らないかも知れない。死ぬかもしれない』そう思う。これっておかしい。入院出来たら、『これで一安心。後は任せておけば助かる・・』でないとね。自分のやるべき事は・・早く治る事にだけ集中すること。挫折した患者を治せる医者なんて・・世界の何所にも居ないのだから。