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カテゴリ:雑感
2月の初め、
ギター仲間のひとりが逝去しました。 私が再びギターを演奏するようになるきっかけをつくってくれた先輩で、 多いときには月に4回ぐらい一緒に楽しんでいました。 昨年の夏頃に癌が見つかって、 治療、手術を終えて復帰していたのですが、 全身への転移が判明し、余命宣告を受けていたそうです。 当然、再入院を進められたものの、 今は面会もままならない状況でもあり、 本人は家族と相談して、通院しながら自宅で療養する道を選んだようです。 そして体調の良いときは仲間と演奏することを。 「だって、みんなに会えなくなるしょ」 「これしか楽しみないんだもん」 「何もやる気がでなくて……これがあると少し頑張れる」 1月に入って、体力の衰えが傍目にも見えるようになりました。 本人も色々なことを考えていたようです。 お世話になった場所で一つずつ区切りをつけるかのような演奏が続きました。 私もできる限り同行したかったのですが、 感染症の流行に加え、先日書いたような体調不良もあって、 充分には同じ時間を過ごせなかったのです。 その日も、2日前になって、 とある場所で集まろうというお誘い。 運悪く仕事で人と会う約束を入れていたので、 後ろ髪を引かれるような思いで欠席の連絡を入れました。 当日、家を出ようとしたところ、別の先輩からLINE。 「今日仕事みたいだけど、遅れてでもいいから来られないかい。」 胸騒ぎがしてすぐに電話したところ、 伝えられたのは次のような内容でした。 「今日が彼と最後に会える機会になるかもしれない。 本人はそう思って設定したようだ。 もしかしたら演奏はできないかもしれない。 仕事があると聞いていたので失礼かもしれないが、 太陽さんには状況をきちんと伝えておかないと、 後で後悔することになるかもしれないから……。 本人はこの後到着することになっているのだが、 遅れてでも良いから来られないだろうか。」 私は、連絡をくれたことに感謝し、 仕事を終えたら遅くなっても必ず駆けつけると伝えました。 先方にもご協力いただいて、仕事の打ち合わせを短時間ですませ、 帰宅するなり先の先輩に 「これから車で向かいます」とLINEしたところ、 戻ってきた返信に、思わず声を出してしまいました。 「間に合わなかった」 その日、体調の優れなかった彼は、 息子さんの付き添いで介護タクシーに乗り、会場に向かったそうです。 1時間弱の道のり。 途中、家族や友人と連絡を取りながら。 タクシーが店の表についた、との知らせが入り、 車椅子に乗せるのに人手が必要かと仲間たちが向かうと、 後部座席に眠るように座っている彼の姿。 まだ手はほんのり温かく……。 信じられないほどタイミングの悪い私は、 皆がひとしきり泣いて、彼が自宅に戻った後で、 のこのこと到着しました。 そこで聞かされたのが以上の顛末です。 その場は彼の追悼会になりました。 その日から札幌は近年にないほどの大雪。 お通夜と告別式は家族葬の形で行われましたが、 特別に数人が参加させていただき、 我々は後日、仲間で「偲ぶ会」を開きました。 しばらくの間、ギターを手に取っても演奏したくない日が続き、 それでも友人に会って話を聞いてもらったりしながら (たまたま直後にお会いしたエボさんもそのひとりでした)、 少しずつ消化していった気がします。 こうして文章にする(できる)ことも、気持ちの整理の一段階でしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.04.03 15:37:50
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