ぼんちこ
たまねぎが収穫できはじめた。例年ながら、早生と赤玉と晩生の三種類を植え付けしていた。数年前までは、晩生だけで、種子を買って蒔いて育成から始めていたが、ある年、ほとんど芽が出なかったことがあった。その前年には、近所の家では、ほとんど芽が出ずに、我が家の苗を差し上げたことがあった。そのころから、芽が上手くでなかったり、生育が悪くて収穫量がすくなかったり、ということがよくあるようになりだした。気候が変だな、と、感じられるようになったのは、そのころであった。地球温暖化が大きな話題になり始めたのは、その数年後のことであった。そんなことがあってから、たまねぎを種子から育てることをやめて、苗を買うことにした。その代わりに、早生品種、赤玉、晩生品種の三種類を植えつけることにし始めたのだった。気候の加減で早生の収量が少ない年でも、晩生が収量をカバーしてくれるし、その逆も成り立つ。両方とも収量が少なくなる確率は1/4になる、つまり4年に一度にでしかない。その上、種子を買うよりコストが多少かかっても、育苗のリスクを軽減できる。ま。今の気候では、そんなことは、滅多にないことであろう。で、このように、たまねぎを苗で買うようになってから、"ぼんちこ"が目立つようになったような気がする。ぼんちこ、とか、ぼんぼんちこ、とか、ぼんぼんさん、とか、子供の頃は、呼んでいた、"あれ"である。たまねぎのつぼみである。ねぎのつぼみとおんなじやつである。蕾が大きくなって、"ぼんぼんさん"と呼べるようになった頃には、玉ねぎの玉は硬くなって、食味に欠ける。まだ、蕾の小さいうちなら、玉も柔らかいので、食味もよろしい。玉ねぎの収穫の手始めは、"ぼんぼんさん"を見つけて引き抜くことから始まるのだ。希少なものを探すということは、いくつ(何歳)になっても、子供の頃を思い出す楽しい作業である。田舎の生活では、レアなものを身近に触れたり戯れたりできる楽しい生活に満ち溢れている。四葉のクローバーなんぞは代表的なものであろう。おかげで、商魂丸見えのブランドと呼ばれる商品や店にはむしろ興味が失せてしまう。三越のハイチの食器がその例であろう。ジェントルマンがジェニトルマンなどと、漫才のねたで笑えたのもこのころであった。よろしければ『ポチーッ』とお願いします。