カムカムエブリボ~
スーパーフルーツ、『カムカム』のことではない。日本の童謡に『証城寺の狸囃子』というのがある。作詞は野口雨情 作曲は中山晋平ということである。『証城寺の狸囃子』の曲に乗せて唄っていたCome, come everybody. and how are you? Won't you have some candy, ・・・と、どこで覚えたかはさだかでないが、子供のころ、口ずさんでいた。これのことでもない。 『噛む 噛む everybody~』・・・噛む 噛む のことである。子供の頃の食べ物には、堅いものが多かった。その、最たるものは、収穫して蒸してその後、むしろのうえで天日で干してカラカラに乾燥させたソラマメ、『堅豆』とも呼んでいた長期保存できる豆を、コンロの堅炭の火で豆炒りで炒った食べ物・・・お八つであった。余談であるが、炭火の炭には、『消し炭』と『堅炭』があって、先ず『消し炭』で火を起こして、消し済みの火力から『堅炭』に火をつけるのである。そして煮物などを煮るのであった。すき焼きなども同様である。『消し炭』とは、かまどの火や風呂炊きで使った薪の燃えきったものを『火消し壺』に入れて自然に火を消して作った柔らかくて火がつきやすい炭のことである。本格的に炭焼きで焼かれた炭を、『堅炭』と呼んでいた。話を、『堅豆』にもどそう。これを、口の中にひとつ入れて、唾液をまぶせながら唾液から水分を吸わせて、いわゆる口の中でもろもろさせて、頃合いを見計らって先ず豆を半分に割る。それをさらに、もろもろさせながら、次々と割っていく。こうして少しずつ唾液を吸わせて水分を含ませて、小さく割って、最後に噛んで砕いて飲み込むのである。一つぶ食べるのにも、随分と時間がかかるのである。しかし、このおかげで、唾液がよく出るようになるだけでなく、歯茎が鍛えられ、その上、『畑の肉』と言われている大豆とともに『畑の卵』といわれている栄養分をたっぷりと含んだ保存食の豆類をおやつ代わりにしていたのである。もう、このような食べ物は、すっかり影を潜めてしまったようである。かろうじて、おつまみの中に、しかも、油で揚げたものを時折見受ける程度である。もっとも、今埜時代の柔らかいものしか食べたことのない歯茎を持った人々には、火で炒っただけの『堅豆』で食べられる人々はすっかり影を潜めてしまったようである。かくいう、よわいを重ねた私も・・・である。『カムカムエブリボ~』とは、私にとっては、『噛む 噛む everybody(全ての人々) ~』であるとともに、『噛む 噛む 口の中に入れた全ての食べ物~』のことでもある。これこそが、全ての人々にとっての、手軽で基本的な健康法でもあろうと思う。お陰で、『菜翁が旨』さんは、まだ29本は自分の歯で、しかも数年前までは、口の中で梅干しの種を割ってその中の実を食べることができていたものである。※ ※ ※ ※ ※唾液の効用 ・健康な大人は一日およそ1.5リットルの唾液が分泌される。・草食動物はもっと多く、牛だと約100リットルになるといわれる。・唾液にはでんぷんなどを麦芽糖に分解するアミラーゼなどの消化酵素が含まれている。・ほかにも成長を促進させる消化酵素も多く含まれている。・口の粘膜を保護したり、リゾチームやペルオキシダーゼなどの酵素によって細菌が死滅する作用もある。・唾液は咀嚼によってより多く分泌される。 食べ物を噛むという動作は、食べたものを小さく砕いたりすり潰したりするだけでなく、唾液と混ぜるという大切な働きがある。・噛むことは、骨を頑丈ににしたり筋肉をつけるなどあごの発達を促す。・咀嚼回数を増やすには、一人で食べるより気の合う仲間と食べるのが効果的である。 咀嚼回数は1.47倍増えるという実験結果もあるほどだ。・良くかむことで脳が活発に機能し、眠くならないだけでなく、記憶力、思考力などが高まる。