思いっきり蹴り込んだ大技は、見事王者の顔面を捕らえたようですが、私のかかとは王者の顔面でとまったまま・・・
王者はまともに顔面に蹴りを食らったにもかかわらず私の足を支えにしてこらえきったのです。そして「やめ」の太鼓が鳴りました。試合終了です。いよいよ判定に入ります。「判定!」「引き分け1」「赤(相手)1,2」「白(私)1」「主審 赤!」。
私は「3対1」の判定で敗れました。そしてこの大会後は2度と試合場のマットに戻ることはありませんでした。
引退した理由は体力的なものではありませんでした。簡単に言うと空手で飯は食っていけないと思ったから、それと道場主や指導員という形をとらなくても空手自体が仕事も含めた日々の生活と一体化することが出来るんではないかと考えたからです。15の時から大会に出始めて、24歳の時に引退するまでの約9年の間はほとんどが空手漬けの毎日でした。アルバイト先でも空手が出来る環境に合った時間シフトを作るわけです。(レストランで働いていたため多くの方々に迷惑をかけました)
空手に限らずやりたいことのために生活を犠牲にする人達って結構いると思います。友人にも数人います、お金がなくてどんなに生活が苦しくても、バンドやってる人、役者の卵、自称作家など、タイトルには「燃え尽き症候群」と書きましたが、彼らは「燃え続ける症候群」なのかもしれません、一生それで燃えつづけることが出来たら、天下りの役人や、高級官僚、いやもしかすると一握りの成功者よりも、偉大で崇高な生き方なのではないかと考え始めています。絶対そうですよ!私は引退してしまった今でさえ彼らに遭うと、普通にライバル意識が芽生えますから・・・