第36回 コミューター航空ってどんなもの?
皆さんは「コミューター航空」という言葉をご存知でしょうか? アメリカのような広大な国では、町から町へと移動するのに小さな飛行機を使用することが多く、およそ50人くらいのお客様が乗れる飛行機での航空輸送をコミューター航空といい、こうした輸送サービスを専門に営業している航空会社をコミューター航空会社と呼んでいます。 さて、話は日本国内に変わりますが、実は日本にもコミューター航空会社が12社存在しています。私たちJALグループにも、広島を本拠地とするジェイ・エアや沖縄の離島間を行き来する琉球エアーコミューターがあります。日本でのコミューター航空は、これまで「60席以下の航空機での不定期航空輸送事業による二点間輸送」とされていましたが、昨年2月から100席未満の航空機による航空輸送すべてをコミューターと呼ぶようになりました。主要都市を結ぶ幹線輸送に対して、コミューターは比較的近距離の地域間輸送を担って運行していますが、大型機で大変混雑している成田、羽田両空港には、今のところコミューターが乗り入れる余地はありません。 狭い国土の割に山が多い日本では、道路や鉄道などの陸上の交通手段に比べて、飛行機には目的地に格段に早く到着できるという利点があります。たとえば広島から金沢までは、地上の交通手段では4時間30分で16,000円程度の時間と費用がかかりますが、コミューターで空路を利用すれば所要時間1時間10分、23,000円で到着することができます。 コミューター航空のもう一つよいところは、短時間に出発準備ができるということです。通常のジャンボ機などでは、国内線でも到着から次の出発まで約1時間、国際線では2時間程度の準備時間が必要です。ところがコミューター航空は、その機体の小ささから約30分程度で次の飛行準備を完了させることができます。1日の便数を増やし、多方面にも飛ばせるわけです。多くの目的地にたくさんの便を飛ばすのが、コミューターの得意技といったところでしょうか。 現在、コミューターの利用者は年間約130万人ありますが、これは航空旅客全体のわずか1.5%にすぎません。ちなみに60席以下の航空機をコミューターとしている米国では約14%、7,000万人もの利用があります。 あなたの町から気軽に飛行機でお出かけ。近い将来、町と町を結ぶコミューター航空は旅やビジネスの足としてもっと身近なものとなるでしょう。文=足原 靖(日本航空羽田整備工場)