『東山の魅力』
「ちょっと言いたくなる京都通」として奥深い京都の良さや京都の人も知らない情報などをおりまぜながら、わかりやすく紐解いていきたいと思います。ぜひ身近に京都を感じてください。今回のテーマは『東山の魅力』です。・はんなりと過ごせる場所が、たくさんおます。・幻想的な「東山」も、楽しんでおくれやす。■ はんなりと過ごせる場所が、たくさんおます。世界文化遺産である清水寺をはじめ、名立たる名所旧跡がある東山界隈。桜でも有名な円山公園を中心とした東山山麓一帯は、その昔に真葛やすすき、茅(かや)などが一面に生い茂っていたことから「真葛ヶ原」と呼ばれていました。そして東山の山裾には平安、室町の時代に建てられた有名社寺が多く、観光客でにぎわう清水の他にもゆっくりと見物することの出来るお寺や神社がたくさんあります。八坂神社や知恩院、六波羅蜜寺のほか、1001体の観音像で有名な三十三間堂など、ちょっと足を伸ばせば泉涌寺、東福寺、伏見稲荷もあります。またこの辺りは、風情のある石畳の坂道や散歩道が多く、京の佇まいを楽しみながら歩けるのが魅力。何度巡っても飽きることのない風景に出会えます。巡る場所は古寺ばかりでなく、京都国立博物館や京都文化博物館といった、見所もたくさんあります。また、この界隈は新選組の活躍していた場所。幕末に無法地帯と化していた京都の治安維持や、倒幕派の取り締まりのためにこの界隈で剣を振るっていました。そして近藤勇も遊んだと言われている格式高いお茶屋や、新選組から離脱した隊士による御陵衛士たちの屯所も高台寺の近くに設けられていました。今では幕末・明治維新の資料を中心とした日本唯一の博物館である「霊山歴史館」や、幕末に活躍した志士たちが葬られている「京都霊山護国神社」があります。護国神社には、維新を目前に散ってしまった坂本竜馬と中岡慎太郎の墓も建てられており、その場所からは今の京都を一望することが出来ます。■ 幻想的な「東山」も、楽しんでおくれやす。東山界隈では、3月に開催される「花灯路」が、毎年話題を呼んでいます。東山山麓に連なる青蓮院から清水寺までの約4.6kmにわたって、京焼・清水焼など5種類の露地行灯約2,400基が設置され、この界隈の散策路が花と灯りで美しく彩られます。また隣接する清水寺、八坂神社、知恩院、円山公園などの社寺仏閣の多くもライトアップされています。特別拝観も行われ、間近で美しく写しだされたお寺や神社を見ることができます。世界最大級を誇る国宝三門並びに友禅苑がライトアップされる知恩院や、圓徳院にある名勝「北庭」の石組は滅多に見ることの出来ない迫力です。またこの時は、さまざまなイベントも催されます。例えば、ねねの道沿いにある高台寺公園では、和のしつらいの「華舞台」を設営。琴や踊りなど、京都ならではのはんなりした催しが繰り広げられます。また円山公園内を流れる吉水の小川のせせらぎ一面が、約1,000本の青竹の灯籠で満たされ、幻想的な情景を醸し出します。他にも伝統の灯りをテーマに京都の芸術系大学の学生たちによるユニークな作品も多数展示され、「花灯路」のイベントの中でもおすすめのスポットとなっています。東山界隈は、イベントの他にもユニークなお店や地元の人だけが知っている秘密のスポットなど、思いがけない魅力に溢れています。歴史に思いを馳せるのもよし、芸術や自然に触れるのもよし。さまざまな楽しみ方ができる場所といえるでしょう。美しい古都に思いを馳せつつ、おいしいお茶を飲みながら はんなりとした時間を過ごしてみませんか。宇治茶 伊藤 久右衛門