2023年 元旦の社説
朝日新聞眼前で起きている戦争を一刻も早く止めなくてはならない。そしてそれと同時に、戦争を未然に防ぐ確かな手立てを今のうちから構想する必要がある。知力を尽くした先人たちにならい、人類の将来を見すえ、英知を結集する年としたい。東京新聞まずは世界にある多くの異なるPOV(視点)を面白がることにしましょう。それにはきっと読書や旅が役立つはず。せっかく年頭なのですから「今年は百冊の本を読む」とか「旅に備えて知らない言葉を習得する」とか、そうした誓いを立ててみるのもいいでしょう。毎日新聞「自由な人民の力が住まうのは地域共同体の中なのである」。19世紀の仏思想家トクビルは主著「アメリカのデモクラシー」で地方自治の重要性を訴えた。今春には統一地方選が実施される。どうすれば政治を立て直し、民主主義を再生することができるか。足元から考える年にしたい。読売新聞いま世界は再び過酷な、しかも核の威嚇も含めた危うい戦争のさなかにある。二度と理不尽な侵略戦争が起きなうよう、平和を再構築する作業を始めなくてはならない。日本はその先頭に立つべきだ。うかつに手を出したら手痛い反撃にあい、損害がわが身に及ぶとわかっていれば、無謀な攻撃に踏み切る可能性は低くなる。万が一に備える防衛力の強化こそが、カギとなる。その備える力を、いま最も必要としとているのが日本である。日本の安全保障が、かつてない厳しい環境にさらされているからだ。もちろん、軍事力だけで平和を守ることはできない。平和の会を防ぐもう一つの大事な方策は、外交である。平和の構築へ結束を図るよう、国際世論を慶することも、外交の大事な役割だ。政治状況によっては解散・総選挙も視野に入ってくる。今年は岸田政権にとって、文字通りの正念場となるだろう。産経新聞岸田政権が決めた安保3文書は反撃能力の保有や5年間の防衛費総額43兆円などを盛り込んだ。安保政策の大きな転換で岸田首相の業績といえる。もろん、政策文書だけでは安全は手に入らない。今年は3文書の抑止力強化措置を講じる最初の年だ。令和5年度予算成立なしには防衛費増額も始まらない。関係者の努力や同盟国米国との協力が重要だ。理由なく相手を叩く先制攻撃が国際法上不可能なのは自衛隊も先刻承知だ。反撃能力の円滑な導入を論じて欲しい。中朝露が各戦力増強に走っているのに、安保3文書に国民を守る核抑止態勢強化の具体策がない。岸田首相には取り組む責務がある。日本が国民を守れる国になるには乗り越えるべき壁がまだある。