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テーマ:暮らしを楽しむ(387512)
カテゴリ:前進
中学に入り、少年はバレー部に入部する。
実業団経験のある若い先生に、顧問が代わった時期。 バレー部を強くしようとする熱意に溢れていた。 50人以上の新入部員がいた。厳しい練習に徐々に部員は減っていったが、 クラブは活気付き、少年も徐々にバレーの面白さを感じていた。 もちろん、一生懸命練習をした。 夏の大会の時、部員にユニフォームが配られた。 まさかと思ったが、少年にもそのユニフォームが与えられた。 走って家に帰り、早速袖を通した。 白地に緑色の文字が、嬉しくて嬉しくてたまらなかった。 そして大会の日、 試合は始まり少年のチームは優勢だった。 このまま優位に勝ち進めると思った。 突然、なんでもないサーブを受け損ねた。 そして、次に来たサーブも、何故かレシーブすることが出来なかった。 それから少年の記憶は何処かへいってしまった。 どこにいるのかも、何をしていたのかも覚えていない。 すぐさまタイムがかかったのだが、 先生の話している言葉も全く聞こえなかった。 そして、優位な流れは相手チームに移り、 少年のチームは逆転負けを喫した。 皆に申し訳が無い・・・ そう思っているのに、声が出なかった。 チームメートの「ドンマイ!」の言葉にも、 何も応える事が出来なかった。 皆と一緒に帰る電車の中は、地獄にいるようだった。 透明人間になりたいと、心の底から念じた。 夏の日の少年は、初めての挫折を味わった。 今となっては、良き思い出の一ページである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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