|
テーマ:◆「気付く」喜び♪(225)
カテゴリ:愛情いろいろ
ウェイトレスは変わらぬ表情で、
向かい側に置いてあったフォークとナイフと、 氷の解けてしまったグラスを片付けた。 そして男は、 以前向かい側に座っていた人との、出会いからの日々を回想しながら、 ひとりのテーブルで食事をした。 そして、コーヒーを出された頃に、 二年間の回想シーンは、終わりを迎えていた。 もし、彼女がここに居て、 「今までありがとう」という言葉を聞いたら、 男は彼女への思いを、残してしまったかもしれない。 「ありがとう」を言わない、 向かい側の椅子に「ありがとう」を告げた。 テーブルチェックを済ませ、男は店の外に出た。 待てよ・・・ 男は、少し微笑みながら、彼女の名前を確認しボタンを押す。 「こちらはNTTドコモです。おかけになった・・・」 居留守でもなく、着信拒否でも無い、 そんな彼女の優しさに、今まで愛したその人を誇りに思った。 8月も終わりに近づき、涼しくなった夜に、 男は何故か、少し心地よさを感じていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[愛情いろいろ] カテゴリの最新記事
|