救急隊員さんのための?簡易医学用語辞典のご紹介です。web消防・救急出張所~こんばんわ。
先日ご紹介した「WEB消防談話室」には、簡易医学用語辞典などのジャンルもあり、ためになりますよ!URL→http://vfib.net/index.html簡単な医学用語辞典です。ある程度の用語が分かることを前提にしています。予想しているターゲットは救急隊員または(救急)医療オタク。すでに知っているつもりの用語を見てみると新たな発見があるかもしれません。こういった用語集に著作権を主張するのは無理だと思うので、コピーするなり印刷するなり自由に使ってください。このページの作成に使った僕の知識も、様々な本で学んだことなので・・・と言う事で、いくつかご紹介しますね。愛…あるに越したことはないが、あるからといって人を助けられるものでもない。その曖昧さ、実体の無さから、論理に対抗するための感情的な攻撃手段となることもある。「その考えかたは理屈ばっかで愛が無いよな~♪」愛さえあれば人が救えるのであればこの世に死亡事故は存在しないし、親より先に死ぬ子もいない。...ふぅ。なぜこの項目だけこんなに長くなったんだ?IDDM…インスリン依存型(性)糖尿病。ほぼ間違いなくインスリンを日常的に使用している。あえぎ呼吸…頭蓋内に異常があるか、全身状態が極端に悪化している時の呼吸。ほっとくと死ぬことがあるです。握雪感…皮下気腫を押すと、雪を押した感じに似ているとか。僕はそう感じませんでしたが。アシドーシス…血中のpHが下がっている異常状態。アセトアルデヒド…エチルアルコールが代謝されるとこれになる。二日酔いとは、アセトアルデヒドが人の形となり歩いている現象。車を運転したりもする。迷惑この上ない。圧痛…押すと痛いこと。痛いから何回も押すな。圧迫麻痺…神経の圧迫による麻痺。女の子に腕枕をしてあげた朝、目がさめたら腕が動かなくなっていたりする。この場合は末梢神経の麻痺なので治るらしい。安静時狭心症…おとなしくしていても狭心発作が現れること。死ぬこともあるです。アンビュー…手動の人工呼吸器。高濃度酸素を投与できるが、酸素が無くても使用できる。EGTA…おそらく、名称としては一番有名な食道閉鎖式エアウエイ。食道に挿入するチューブと、口と鼻を覆うマスクからなる。チューブの先は開放されており、食道内吸引や胃内吸引が行える。縊頸…頸を吊ること。その結果死んだ場合は「縊死」という。意識…様々な定義がある。「起きていて、自分と他人、周りの状況が理解できること」が最大公約数であろうか。今は医学と精神学で、昔は医学と哲学で、意識の正体を何とか暴こうとしてきた。明日には定義が変わるかもしれないほど、あいまいなものである。意識レベル…意識の状態を誰にでもわかるように数値化しようとする無謀な試み。我が国では「3-3-9度分類」と「グラスゴー・コーマ・スケール」がよく使われる。SIDS…乳幼児突然死症候群。赤ちゃんが死んだ場合において、原因が見つからないときに付けられる病名。SAH…くも膜下出血。脳とくも膜の間で起こる出血。激しい頭痛が主訴となる場合が多い。突然の呼吸停止をきたすことがある。死ぬこともあるです。MI…心筋梗塞のこと。嚥下…物を飲み込む動作。様々な神経の活動により口腔内から咽頭、喉頭、食道の筋肉が非常に複雑な動きをする。嚥下障害が起こると誤嚥を起こし、気道閉塞から死ぬこともある。嘔吐…胃にあるものが口から出てくること。原因は色々ある。中枢性の嘔吐では吐く前に起こる「気持ち悪さ」が出現せずにいきなり吐く事があるので注意。疥癬…疥癬虫による感染症。皮膚の柔らかいところに強い痒みを持つ発疹が出現。一般には性感染による。気胸…肺や胸に穴が開いて、肺の外側の「胸腔」と呼ばれる部分に空気が入ること。またはその状態。両側性の気胸や緊張性気胸では死ぬこともあるです。狭心症…心臓に酸素を運ぶ冠動脈が狭くなり、酸欠した状態。一時的なものであり、通常は治るが、心筋梗塞になることもある。タバコを吸っているとなりやすいらしい。気をつけねば。緊張性気胸…気胸のうち、胸腔内にどんどん空気が入って胸にある臓器を圧迫しているもの。肺は二つあるし、心臓は頑丈だからそう簡単につぶされないが、静脈が簡単につぶされてしまう。ほっとくと死ぬです。助けるためには胸に針を刺して空気を抜いてくれる医者に早く連れて行くか、法を犯して自ら針を刺せ。CPR…心肺蘇生法。人工呼吸と心臓マッサージのこと。救急隊員が最も活躍できる処置。CPA…心肺停止。脈拍か呼吸、あるいは両方とも止まること(その患者をさすこともある)。救急隊員は虫の息の患者には手も足も出ないが、CPAになったとたんに活動が生き生きとする。JCS…3-3-9度分類。意識障害の程度を9段階で表す方法。1が最も軽い意識障害で300が最も重い意識障害。途中に2、3、10、20、30、100、200がある。我が国では最も有名な意識評価法。精神病には使えない。※最後に我々が使用しているJCSの判別法を「ER KATE」さんのサイトhttp://www.jichi.ac.jp/usr/gakuyu/kyudobu/er/bmt/bmt2.htmlより拝借して掲載しますね。除細動…「心室細動」などの頻拍性不整脈に対し、一度心臓の動きを止めることで不整脈を取り除くこと。最も効果的な方法は「電気的除細動」で、心臓に直接、あるいは体表面から心臓に向かって電気を流すことで行われる。(電気的)除細動器…(電気的)除細動を行うための機器。ショック…様々な原因で起こる血圧低下状態の総称。大きく分けると、心臓が原因で心拍出量そのものが下がっている場合、血管が拡張してしまって相対的に血液量が足りなくなってしまっている場合、出血などによって血液の絶対量が下がっている場合に大別される。重症なショック、あるいは長時間続くショックでは肺の血流量低下による呼吸不全、腎臓の血流量低下による腎不全により死ぬこともあるです。定型縊頸…全体重が前頸部にかかっている縊頸。足が地面から離れており、ロープが頸の後側から延びて、前頸部で体を支えている状態が典型。パルスオキシメータ…非観血的な動脈血酸素飽和度測定装置。センサを指先又は耳垂に付けるだけであり、術者の技術は必要なく、患者に対する負担も少ないために広く臨床的に使われている。動作原理は、1つの可視光線(赤色)と、1つの赤外線光をセンサが取り付けられた部位に当て、反対側で吸光度を測定する。同時に指先脈波を検出し、ランバート・ベールの法則により動脈血だけの酸素飽和度を求める。よって、脈波の検出が正しくできない状態で使用してはならない。また、酸素化ヘモグロビンとCOヘモグロビンの区別はできないので、CO中毒の際には見かけ上の酸素飽和度が上昇してしまう。非定型縊頸…体重の一部のみが前頸部にかかっている縊頸。体の一部が地面についている場合や、ロープが頸の前側から延びて、後頸部で体を支えている状態など。プロトコル…事前の決め事。患者がこうだったらこうするという申し合わせ。英語で書くとProtocolであり、ほとんどの人が発音する「プロトコール」は語呂がいい事からの誤読。労作時(性)狭心症…身体を動かし、心臓に負担をかけたときに心臓の酸素消費量が増えて狭心症になること。以上抜粋ですが、ご興味のある方はHPからご覧下さいね!Japan Coma Scale JCSは、覚醒の程度によって分類したものです。分類のやり方から、3-3-9度方式とも呼ばれます。数値が大きくなるほど意識障害が重いことを示しています。3けた.刺激しても覚醒しない(deep coma, coma, semicoma)300 全く動かない200 手足を少し動かしたり顔をしかめたりする(除脳硬直を含む)100 はらいのける動作をする2けた.刺激すると覚醒する(stupor, lethargy, hypersomnia, somnolence, drowsiness)30 痛み刺激で辛うじて開眼する20 大きな声、または体をゆさぶることにより開眼する10 呼びかけで容易に開眼する1けた.覚醒している(confusion, senselessness, delirium)3 名前、生年月日がいえない2 見当識障害あり1 だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない付 "R":不穏 "I":糞尿失禁 "A":自発性喪失 例 30-R 3-I 3-A などこのような数値化されたスケールは、救急などの場面で、簡単に患者さんの状態を伝えることができます。このような、簡単なものを使う理由は、誰でも、簡単に、再現性のある結果を得られるためです。もっと、いろいろな項目を数値化すれば、多くの情報を伝えられますが、その分だけ複雑になるので、間違いが多くなります。また、一般の人には分かりにくくなってしまいます。簡単で情報量の多い判定法のなかでも、代表的なものが今回紹介したJCSです。救急などでは、大変良く使われています。