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パクス・ジャポニカ Vol.2

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カテゴリ:海・港・岬・灯台
下関の街を歩いて回るのは久しぶりだったのですが、「金子みすゞの詩の小径」を歩いてみて、「街歩きも色んな発見があって、なかなかいいもんだ」と思いました。

「もう少し歩いてみるか」と、下関の散策マップを見ていると、「港がみえる丘の径(みち)」というコースがありました。
古来より国際航路と港町で栄えてきた下関にあって、これは飛びつきそうなネーミングです。

その「港がみえる丘の径」のスタート地点は高杉晋作と奇兵隊ゆかりの大歳神社、ゴール地点は金子みすゞゆかりの寿公園となっていました。

わざわざ大歳神社まで行くのもどうかと思い、中間点近くにある日和山公園、丘の上からスタートすることにしました。
港がみえる丘の径日和山公園 (2) (500x375).jpg
日和山公園へ続く道
下関は坂が多いと言われていますが、尾道に匹敵するような急坂が続いていました。


日和山公園は桜の名所でもありますが、一番高いところには東行先生、高杉晋作の像があります。
港がみえる丘の径日和山公園 (500x374).jpg
この東行先生は横を向き、下関の市街地ではなくてずっと東の方を向いていますが、どこを眺めているのでしょうか。


その日和山公園ですが、お世辞にも眺望が良いとは言えず、わずかに関門海峡を垣間見る感じでした。
港がみえる丘の径日和山公園 (1) (500x375).jpg
「対岸」は九州です。

日和山公園からの道は散策コースにしては荒れていて、草木が手入れされずに道を覆っていたりしました。

民家や木々の間を縫う感じで、民家の軒下の歩道を歩くような場所もありました。
(途中で道がわからなくなって地元の人に聞くと、「あすこにある階段は市道じゃけえ、あれを行きゃあええんよ」と、ばりばりの長州弁が返ってきました)

藪に覆われた道を登ったり降りたりしながら、「港がみえる丘の径」とは裏腹に、所々に関門海峡を垣間見る感じでした。
港がみえる丘の径覚弘院 (500x375).jpg
途中の覚弘院から見た関門海峡

下関はぜひ訪れてもらいたい場所ではありますが、関門海峡を一望するなら火の山公園、海峡と航行する船舶を間近に見るなら壇ノ浦の「みもすそ川公園」をおススメします。


ゴール近くの永福寺で一息ついていると、ちょうど沖合いをクルーズ客船が航行していきました。
港がみえる丘の径永福寺 (4) (500x375).jpg
"Legend of The Seas"でしょうか、画像で見るとそうでもありませんが、海岸ギリギリを窮屈そうに通過して行きました。
関門海峡でこれだけの大型船舶が航行するのを見ることはほとんどありませんが、汽笛をさかんに鳴らしており、ブリッジのクルーもかなり気を遣ったことかと思います。

ところでこの永福寺、実は推古天皇の時代から1300年の歴史を持つ古刹でした。
港がみえる丘の径永福寺 (2) (500x375).jpg
今となっては本堂もよくわからず伽藍跡だけが残る寺院ですが、百済からあの聖明王の王子が来朝した時、関門海峡の風景を愛でて観世音菩薩を安置したのが始まりだそうです。
現在も「観音崎」の地名がありますが、この永福寺の観音菩薩に由来しています。


坂ばかりが多くて眺望もさほど良くなく、とても「港がみえる丘の径」とはほど遠いものでしたが、ふと気付いたことがありました。


まるで尾道のような下関の風情ではありますが、林芙美子の「放浪記」の冒頭部分、
「海が見えた 海が見える 五年振りに見る尾道の海はなつかしい」のところが思い浮かびます。

尾道水道を見て「海が見えた 海が見える」と、「海」へのノスタルジーを感じることは、普通の海ではありえないかも知れません。

下関の丘の上から見る関門海峡は、尾道水道の海に何となく似ています。
下関出身の林芙美子にとって、「尾道水道を見て、懐かしい関門海峡の海を思い出したのでは?」と思うのは、思いすぎでしょうか。

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最終更新日  2018/01/03 03:33:47 PM
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