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テーマ:城跡めぐり(1254)
カテゴリ:城跡と史跡(愛知編)
名古屋城の本丸には、東・南・北の3ヵ所に虎口があります。
うち南側の虎口が大手口で、表門が現存しています。 本丸表二之門(現存、国指定重要文化財) 表門の先には枡形が残っており、城郭のセオリー通り右へ曲がる縄張りになっていました。 ここでも枡形正面の石垣に鏡石が積まれています。 名古屋城では本丸御殿の復元工事が進められており、工事用の囲いのために本丸表門から天守と小天守を見ることはできませんでした。 本丸御殿の復元完了と公開は平成30年となる予定で、復元された玄関と表書院が部分的に公開されています。 ここで一旦本丸を出て、再び二の丸に戻って行きました。 本丸の内堀に沿って南から東側へと回る時、本丸の南東隅櫓の横を通る格好になります。 名古屋城だけではありませんが、櫓や天守は曲輪の外から見るに限りますし、なおかつ斜め45度が最も美しいのではないでしょうか。 本丸の東側にも枡形虎口「本丸東一之門」があり、薬医門形式の表門は二の丸の東二之門を移築したものです。 本丸東虎口の「旧二之丸東二之門」(移築現存、国指定重要文化財) 本丸東一之門の枡形内部にある鏡石は、「清正石」の名前が付けられた、名古屋城最大の石垣石です。 枡形内部 東一之門の鏡石「清正石」 築城の名手である加藤清正は、もちろん名古屋城の縄張りや石積みに関わっていたのですが、実はこの本丸東一之門の担当は黒田長政です。 「清正石」ではなく「長政石」となるのが本当ですが、名古屋城最大の石垣石の命名に対しては、やはり築城の名手に軍配があがるようです。 (加藤清正の築城術は、この後の天守台などで見せつけられることに) 本丸東一之門には入母屋造りの渡櫓が現存していたそうですが、昭和20年の空襲により焼失してしまったようです。 それでも石垣だけはしっかり残っていて、隅石の積み方が見事です。 矢穴が残っているので現存石垣だと思いますが、ここを担当した黒田長政の築城術にも関心です。 算木積みの隅石など、福岡城よりも進化しているように見えるのは気のせいでしょうか 本丸の東門は搦め手だったようですが、枡形虎口を抜けた瞬間に天守が目の前にあり、本丸御殿も裏側(すなわち奥)の方に出ていました。 復元中の本丸御殿 史実に忠実に復元されているのですが、やはり搦め手口とあって、いきなり御勝手口からお邪魔した感じです。 このアングルでの天守、個人的には今ひとつです。 数ある天守の中でも現存天守は12城しかなく、それ以外は復元天守・復興天守・模擬天守に分類されています。 名古屋城の天守は復元天守、昭和20年の空襲で焼失するまで天守が残っていたので、史実や写真に基づいて復元されたものです。 ちなみに天守が建っていた史実はあrものの、外観の資料に乏しいため、推測で建てられたものが復興天守で、西日本によく見られます。 また、天守があった史実を確認できないにも関わらず、後世になって建ててしまったものが模擬天守で、東日本に多いかと思います。 名古屋城の天守内部へは入らずに、天守の横を素通りして、北側の不明門から本丸を後にすることにしました。 埋形式門の不明門 本丸の北西側には「御深井丸」の曲輪があって、こちらから天守を見ると天守台の石垣の様子がよくわかります。 名古屋城の天守台を築いた人こそ加藤清正で、高さ20mの天守台石垣には「清正流」とも呼ばれる扇の勾配が見られます。 そして隅石に目を凝らしてみると、「加藤肥後守」の刻印がわずかに読み取れました。 石垣用の巨石を運ぶ時は、加藤清正自らが石の上に乗って、石曳きの音頭をとっていたそうです。 二の丸にある「加藤清正公石曳き像」 名古屋城天守(北西側から見たところ) 大天守と小天守の間にある「剣塀」 さらに本丸の内堀沿いを巡り、西の丸へと入って行きました。 御深井丸と西の丸の間が外堀が入江のように入り組んでおり、「鵜の首」と呼ばれています。 本丸の南西側には「西南隅櫓」があって、こちらも現存する隅櫓です。 西南隅櫓(現存、国指定重要文化財) 西の丸から見た本丸大手馬出 現在の名古屋城には、二の丸の東側と西の丸の南側にそれぞれ入口があり、同時に料金所が置かれています。 西の丸の「正門」には江戸城から移築された櫓門があったのですが、太平洋戦争で焼失してしまったため、後に再建されました。 正門の虎口跡 西の丸の外堀 さすがは天下普請の名古屋城は、縄張りや普請などにさまざまな意匠が凝らしてあり、「尾張名古屋は城でもつ」の言葉通りだと思います。 それにしても残念なのは、戦火によって天守などを焼失してしまったことです。 もしも天守が現存していたならば、国宝はもとより世界文化遺産に登録されていたことでしょう。 関連の記事 名古屋城(尾張国)~その1 二之丸→こちら 清洲城→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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