(4/19の日記2)久々にこの話題です。とうとう2ヶ月と10日におよぶ長かった戦争は終止符を打ち、和解の共同記者会見で幕を閉じました。昨晩例のごとくlivedoorのサイトで(1時間半ぐらいの)記者会見をすべて見ました。(livedoor会員、IDを持っていれば見れます。2/9の記者会見を見るためにIDを取得したもの好きなわたくし。)(昨日会見前後にlivedoorのサイトに行くとほりえもんが「きっかけは~チョンチョン、フジテレビ」をやっている映像が見れたそうですが、私は残念ながら見れませんでした;;)
記者会見で発表になったことは主に以下の3点です。
1.livedoor所有のニッポン放送株をすべてフジテレビに譲渡して、フジテレビが当初の目的どおりにニッポン放送を子会社化する。
2.資本提携;フジテレビがlivedoorの第三者割り当て増資を引き受ける。
(フジテレビがlivedoorに出資をする)
3.放送と通信の融合を模索する委員会の設置
戦争の終戦合意ですが、この戦争はどちらが勝ったわけではなく痛みわけで、いわゆる大人の解決と言えるでしょう。
今自分が書いたこのシリーズをあらためて読み直して見たところ、残念ながら今回の結末を予想できてはいませんでした。ただlivedoorがニッポン放送支配、フジテレビ支配に失敗することは予想していたようです。(自分の日記なのに「ようです」というのは、あまりにも長くこの問題から遠ざかっていたため、何を書いたかも定かではありませんでした。よってその後の経過を書いていれば今回の和解のスキームの予想も書けていたはずです。)3/11の日記ではニッポン放送所有のフジ株をどこかに手放す方法と焦土作戦を想定しました。(まったく知識のない素人でも考えられた作戦です)
まずはフジテレビ・ニッポン放送サイドから見てみますと、
1.○ニッポン放送の子会社化に成功
2.×子会社化の資金が70億オーバー + livedoorに440億の出資
3.○liveddorの資本参加の阻止
4.△業務提携したくないのに、協議開始
フジテレビはニッポン放送を子会社化するのにずいぶん多くの余計なお金を使ってしまいました。
でも企業防衛に対する教訓を世の企業に知らしめました。あの世界のTOYOTAでさえポイズンピルを株の約款に取り入れました。
(ポイズンピル;敵対的な株式大量取得があった場合、友好的な企業に第三者割り当て増資で新たに大量の株式を発行でき、敵対的な大量取得したものの株式保有率を引き下げられる対策をあらかじめ約款にうたって防衛すること。あらかじめうたっていないと既存株主の利益を損なうことになり、今回の件のように裁判で負けることになります。)
2.のlivedoorへの出資も「(3流の)ライブドアに出資する価値がない」と役員の多くは反対だったようですが、事態を早期に収拾することを優先したようです。
次にlivedoorサイド。
1.×フジテレビへの資本参加
2.△業務提携
3.○ニッポン放送株取得の資金の回収
4.×livedoorの株価下落
livedoorは当初の目的のフジテレビへの資本参加ができず、ネットと放送の融合も先送りされる形になりましたが、金銭的な損は免れました。より有名になったものの、企業イメージは大幅に悪くなりました。(雑誌テレビブロス4/16号の「嫌いな男ランキング」で堀江社長は1位です。)
最後まで堀江社長はニッポン放送支配に固執していたようですが、ライブドアの株価が下がり資産価値に影響しましたので、役員5人がニッポン放送株式を手放すように説得したようです。
資本提携も本来のlivedoorがフジテレビへの出資(つまり株主総会で意見が言える)ではなく、逆にフジテレビにlivedoor株を持ってもらうというものです。'07年まではフジがlivedoor株を売れないようになっていますが、それ以降売られてしまう可能性があります。(資本提携の解消)
2.のネットと放送の融合も、両社のスタッフが参加する「業務提携推進協議会」を設置し、定期的に会合を重ねていくというものですが、いわゆる先送りされて今現在実現してはいません。つまりうまく実現しない可能性も残っていますので、もろ手を挙げて喜んではいられないのではないでしょうか?
今回の争いが起こる以前フジサンケイグループは、実は楽天と業務提携しようと計画していたそうです。第三者割り当て増資の際も楽天がホワイトナイトになることも依頼されたようですが、野球の時のように後出しジャンケンでかっさらったダーティなイメージを増すのを避けたようです。
さて今回の騒動で得をしたひとはいったい誰でしょう?それは1.リーマンブラザーズ証券、2.村上ファンド、3.SBI(ソフトバンクインベストメント)です。
1.リーマンはlivedoorがニッポン放送株を取得する資金を転換社債型新株予約権付社債(MSCB)を引き受け用立てましたが、このMSCBは市場価格より10%低い価格でライブドア株に転換できるとてもよい条件のため決して損しないようになっており、100億近く儲けたようです。
実はこのリーマンがすべてのlivedoor株を処分したために株化が下がりlivedoorにダメージを与えたました。
株主利益を大事にすると公言しているlivedoorが、リーマン(特定の株主)に有利な増資をして、おまけに株式大量発行により希釈され、既存株主の資産価値を著しく損なったことはあまり問題視されていません。株式の度重なる分割により損を被っているひとも多いはずです。そのためたくさん持っているひとも少なく(誰でも小額からもてるのでかえって大株主がいないため)訴訟などの問題まで発展しないのかもしれません。
2.の村上ファンドもニッポン放送株を市場でlivedoorに売却して儲けましたし、知名度もアップしました。東京ブラウスの株主総会のように今後も株主配当アップの要求をするニュースを耳にする機会も増えるかもしれません。
3.SBIもフジテレビとニッポン放送と共同出資したファンド(メディア事業に投資する新しいファンド)を設立し、出資した企業が株式上場すれば大きな利益を生み出せます。(フジテレビとニッポン放送から180億もの資金を出資させたともとれます。)もともとネット証券最大手のイー・トレード証券などを持っていますが、SBIという名前は知られておらず、今回の騒動で知名度はアップしました。CEOの北尾さんの著書も売れているようです。
これで「フジテレビ VS ライブドア」シリーズもVol.10の今回で最終回とさせていただきます。長い間ご愛読ありがとうございました。なお膠着状態になってから1ヶ月以上続編をかけなかったことは残念でした。途中乙部さんが登場する番外の妄想編もありました。今後もほりえもんについては書く機会はあると思います。乞うご期待♪
日記が面白かったらクリックしてくださいね♪→人気blogランキング
トップから42コーナーの商品を見る
トップから楽天アフィリエイターお役立ち情報を見る