カテゴリ:My研究
≪たけみは、セザール・フランクがなぜ嫌いになったのか?≫に関して、理論的に解明しなさい。との宿題を出されました。とりあえず、考えてみました。以下の通りです。しかし、よー分からんです(涙)
資料 I: 「私にとって芸術とは“形”である。表現、情熱――これらのものは何よりも素人を魅惑する。だが芸術家にとってみれば話は別である。優美な輪郭線、調和のとれた色彩、美しい和音の連続によって完全に満足させられないような芸術家は芸術を理解していないのである。16世紀には世紀を通じてあらゆる感情が締め出された称賛すべき作品が書かれていたのである」(サン=サーンス) ドイツ音楽のように堅固な形式美を備えた音楽を、フランスでも誕生させられないものか。長い音楽の歴史のなかで磨き抜かれてきた形式美に最大の尊敬をはらい、その上に趣向を凝らした感覚に媚びぬ冷静な音楽を盛りつけ、永遠に聴きつがれるフランス流の新しい芸術音楽を、ドイツ・オーストリアの作曲家たちをも感嘆させるような叡智の音楽を、創造せねばならないと考えるに至ったサン=サーンスは、1871年「アルス・ガリカ(Ars Galicaフランスの芸術)」を旗印として「国民音楽協会(Soci醇Pt醇P Nationale de Musique)」を立ちあげた。その創設メンバーにはフォーレ、マスネ、タファネル、ギローなどといった作曲家たちとともに、他ならぬセザール・フランクも加わっている。 資料 II: カミーユ・ベレーグなる音楽評論家は、1889年版の≪音楽年報≫誌に、フランクが作曲した唯一の交響曲に関して、下記のようなコメントを書いている。 『第1楽章の最初に登場する「第1の循環動機」は≪音楽院で生徒たちに展開させるテーマ以上のなにものでもない≫、「第2の循環動機」に対しては≪いくらか動きもあり、勢いもみられるが、作曲者はそれを少しも有益に用いなかった≫とコメントしている。第2楽章の例の古雅な旋律に関しては≪砂漠のオアシス…一瞬さわやかな気持ちにさそわれる≫と評価するが、第3楽章に関しては≪わたしには悲痛なものに思えてならない≫と再び否定的になる。最後は「循環形式」の多用に対して≪先行する各部分のモティーフを一挙に激しく引き戻してくる。こういう方式が今日では大変受けているのだが、あまり濫用してはいけないだろう≫』 資料 III: フランクはベートーヴェン以後のドイツロマン派音楽、特に同時代のリストやワーグナーから強い影響を受けた。その結果彼の音楽の特徴として半音階的和声進行が目立つこと、形式的には循環形式を多用することが挙げられる。一方でバッハを研究し対位法を巧みに用いている。作曲に際して比較的簡明な音価を用いるため、単一の旋律で提示される場合はいささか単調であるが、循環形式内で複数の旋律で提示された場合は非常に高潔な印象を与えるのが特徴である。 さて、まとめです。要するに、フランクは、ドイツとフランスの音楽の『良いとこ取り』を目指し、ある成果を挙げたと言うことでしょう。ベルギーに生まれたドイツ系の彼がフランス音楽派と看做される所以でもあるのですが、 1.そもそも、サン=サーンスの主張する大前提が、誤謬であると考える。サン=サーンスの言うドイツ音楽への賛辞は、所謂≪隣の芝生は青い≫レベルに過ぎない。 2.循環形式は、そもそもが技巧のための技巧であり、無意味とまでは言わないが、ベレーグの残した評論に尽きると考える。多用してはならないのである。 3.半音階的和声進行を好み、個々の旋律が簡明な音価を用い、対位法と循環形式を組み合わせるのが、フランクの特質とするならば、彼は音楽の最も魅力的な≪官能的旋律美≫を、そもそも創作する能力に欠けている。 彼の宗教音楽は、結論として、カトリック教会が連綿と築き上げた、教会旋法への冒涜であり、挑戦でもある。なぜならば、これらを統合すると、極端に言えば、グレゴリア聖歌を混声四部合唱でハモッて歌うようなものだから… にもかかわらず、教会のオルガニストとしての側面を持ち、宗教音楽…前奏曲、コラールとフーガとか、前奏曲、アリアと終曲、等々を作り出した彼の作品一覧の分類を、少なくとも変更すべきである。最低でもこれらの楽曲は、単にピアノ曲としての分類にとどめるべきである。これらの楽曲を、単純にピアノ曲として捉えるならば、斬新で響きの壮大な魅力ある作品だと、再評価できるからである。 たけみは、フランクの書いた曲が決して嫌いではない。彼の作曲家としての位置づけや評価が誤っていると考える。これが結論である。生涯を敬虔な信者としての姿勢を貫き通した、アントン・ブルックナーとはあまりにもスタンスが異なるのである。 ※資料I,II,IIIには、他人の著作物からの自由な引用が、部分的に含まれています。自身が考察するための資料としての引用にとどめておりますので、何卒許容下さるようお願い申し上げます。 ※アップ作業中に、雷による停電が発生したために、同時に複数の当該日記がアップされたり、混乱が発生しました。そのような事情に基づくものですので、ご理解下さい。しかし、神の怒りに触れたのでしょうか・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年08月05日 21時58分39秒
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