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最近のショパン・コンクールは、得点の平均値と、通過させるにふさわしいコンテスタントに「Yes」を付けることの2段階で選抜している。そこで生じたいくつかの話題を紹介したい。(結論部分は私個人の想像であり、あくまで推定であることをお断りしたい。また元々は2月初旬に書いたものを編集した。)
その1審査員「ケヴィン・ケナー」の場合(第1位無しの第2位=1990年) ケヴィン・ケナーは、2010年のショパンコンクールで自分の弟子に「S(審査員の生徒=採点回避)」をつけたために、平均得点は第3次予選に進んだ一部のコンテスタントより高かったのに進めなかったと言っているそうだ。実際には「S」該当審査員がいるコンテスタントといないコンテスタントの優劣は、審査に参加した審査員に対する「Yes」の比率で決めているように思われる。 つまり、仮に審査員が20名いて、その中に「S」該当審査員がいるとすると、 Aさん(「S」なし)20名中 Yes10名 得点18.3 Bさん(「S」あり)19名中 Yes9名 得点18.4 こんな例の場合に、Yes率がAさんは50%、Bさんは47%なので、Aさんが優先して通過するシステムだろうと思われる。 しかしケナーの例は、弟子には「S」、一方の競合相手のコンテスタントに対して「Yes」をつけているから悲劇が起きてしまったと思われる。常に間の悪い人だなと、思う次第だ。 その2審査員「ダン・タイ・ソン」の場合(ポゴレリチ事件の回の優勝者) 1.弟子のケイト・リウ(2015年)の第1次予選は、ダン・タイ・ソンの弟子の中ではかなり危ない通過だった。Yesは11個で、10個で落選しているコンテスタントが複数見られた。推測だが、通過者(11名以上)と落選者(10名以下)の間に入るので、彼女は落ちた可能性があるし、紛糾した可能性もあると思われる。 なぜなら2次予選には43名が進出したが、ケイト・リウのYesが10名になったとしたら、43位扱い(他のYes10名よりは上位)になり、第2次予選進出予定者数(40名)を下回っているからだ。現実にはYesが11名なので、彼女はYes11名のコンテスタント中最高位で通過していると思われる。上記の推測が、確実な処理方法であろうと確信できたのは、「ユンディ」の途中退席事件だった 。ユンディが審査に不参加と参加のコンテスタント間の処理については、対象事例が多いことと、一部審査員が審査方法に触れる発言をしている(有利不利が生じない)ことから、単なる推測が以前より確実性を帯びたのだ。 2.ダン・タイ・ソンは2015年に、優勝者チョ・ソンジンと第2位アムランのファイナルで、いずれも10点満点中8点しかつけていない。その真意は、たぶん2010年の審査基準を準用して、ダン・タイ・ソンは、弟子3名のうち2以以内に入る可能性のある2名が不利にならないように、チョとアムランに8点を付けたと思われる。弟子二人が3位以下なら、ダン・タイ・ソンにとって有利でも不利でもなかったことになり、師匠として何の問題も生じないし、一方でチョとアムラン支持者からも、アントルモンのように叩かれる心配(チョに1点を付けた)も絶対にないだろう。 ケヴィン・ケナーと違い、ダン・タイ・ソンは審査員としてきちんと計算しているようだ。ケヴィン・ケナーは、1990年のコンクールの際の本選リハーサルで、第3位の横山のように指揮者と論争せずに振る舞っていれば、1位だったかも知れなかったことを、今なお生かせていないわけで、これはこれで天然といわざるを得ないかも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年06月07日 14時05分09秒
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