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『径路の窄(せま)き処は、一歩を留めて人の行くに与え、
滋味の濃(こま)やかなるものは、三分を減じて 人の嗜(たしな)みに譲る。 これはこれ世を渉る一の極安楽(ごくあんらく)の法なり。』 (狭い道では自分が一歩よけて相手に譲り、 うまいものは三分減らして相手に食べさせる。 こうした心掛けこそ人生をわたる上で一つの安楽の法である) 歩いては他を追い越し、乗っては人を押しのけ、 シルバーシートを若者が独占している。 バイキングでは欠食児童さながらに振る舞い、 自腹はきらぬが招待酒は斗酒をも辞さぬ、という御仁にとっては、 本項の言葉は耳ざわりな文面であろう。 シルバーシートに20・30代の翁が座っている。 高年者が来ると目を閉じて狸になる。 目を閉じるところを見ると、幾分良心が残っているらしい。 もし、あるなら、さっさと席を立つべきである。 こうしたことは電車内に限らない。 立派な組織内にも見られる。 出る杭を打ち、伸びる人の足を引っぱるなど、 よく見かける手合いである。 銀行員時代、トップを引きずり落として 次席を担ぎ出そうとする運動が起きた。 株主総会で演説するやら、飛行機でビラをまくやら 大運動を展開していたが、結果は不首尾に終わっている。 終わるはずである。 主謀者たちの目的が、自分たちの野望を遂げるため であったからである。 「邪は正を侵(おか)さず」という言葉がある。 いかに策を弄しても結局、邪悪は正義には勝てない という意味である。 (『菜根譚』を読む 井原隆一著より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.08.17 05:58:21
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