ヒモいらず　亭主いらず

そこにあったものが

なくなる感じって　どんななんだろうか

あるべきものが

その場所にない

試しに自分の指を折って

シフトを変えてみた。

008 posted by (C)丙谷　うま蔵

私の職場はジジが多い

春になってあたたくなって

ご自慢の竹のベンチで日向ぼっこしながら

運行を待つ日が多くなった。

005 posted by (C)丙谷　うま蔵

さして障りのない話をしながら

「うま子さんち子は何年生だね？」

「一番下の娘が今年小学校に上がります。

でも障害があるので支援級なんです。」

「ウチのも　もう大人だけど

聴覚障害でね」

陽だまりの中

ジジは言葉少なに語らった。

002 posted by (C)丙谷　うま蔵

奥さまは既に亡くなって

傷害のある子供達と暮らしている。

病院が嫌いで高熱になるまで病院へ行かない。

病院嫌いのジジ

ぶっきら棒な言い回しながら

私が彼の仕事を代理で受けた時

すごく丁寧な地図をもらった。

007 posted by (C)丙谷　うま蔵

事故は起きた。

庭仕事の最中にチェーンソーで

中指と薬指を第二関節から切断

他のジジ達も顔色を曇らせながら教えてくれた。

手先が器用で色んなものを作ってくれた指である。

指はつくかもしれませんが

曲げるなどの所作や運動は難しいんだろうな

ジジの仕事の代行で

彼の車に乗った。

子供達は「あれぇジジじゃないのぉ

女の運転手さん？」

「あのねぇジジは御用が出来て

これないから　丙谷さんが今日は運転しますよぉ♪」

私はそう言いながら笑って答えてつもりだけど

本当に笑い顔になっていたのか自信がない。

始業時にジジの車で

自分の中指と薬指を第二関節まで

折ってシフトを変えた。

実質３本の指でのシフトチェンジは難しいと思った。

003 posted by (C)丙谷　うま蔵

連休中にお見舞いに行こうと思っていますが

なんと声をかけてあげたらいいのか

やんちゃなジジなので

入院を勧められたにも関わらず

処置だけして速攻で病院から

逃げたみたいです。

「なぁに　こんなもん平気さぁ」

などと笑い飛ばされたら

なおさら言葉が出なくなりそうで・・・