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カテゴリ:忘れられない人々
「私、シングルマザーです。息子はね、ケンジっていうの。」
セブでよく行くインダインの露店BBQ屋で、細身でわりとすっきりした顔立ちのジュリーが言った。26歳だという。彼女は露出度の高い白と黄色の縞模様の普段着のワンピース姿で笑みを作った。 「韓国人、日本人の友達がけっこういたんだけど、今は子供もできて遊びには行けないわ。彼がやきもち焼きだし、第一お金もないしね。」 ケンジという2歳の男の子があたりを走り回る。この名前はどうもひっかかる。 「結婚しないのはね、旦那が浮気性かどうかみないといけないから。未婚で子供を産む子は沢山いるわ。」 「ニュージェネレーションっていうんだねこういう子は。」 インダインが口をはさんだ。 「昔は、結婚してから子供を作ったんだけど、今はね。」 「彼は、ショッピングセンターで夜の11時まで仕事。それから帰ってくる。ケンジはそれまで寝ないで待ってるわ。でも、稼ぎのいいマニラに移ろうと思っているのよ。」 「あの子はね、昔ビキニバーで働いていたの。お腹には二人目もいるのよ。」 ジュリーがちょっと席を外したときインダインがそう言い捨てた。ビキニバーとは、説明しなくても分かる場所。因みに、私が学生時代、東京には水着喫茶というのがあった。ここは、鑑賞だけの喫茶店。普通の喫茶店が120円くらいのとき、500円だった。と、聞いたことがある。同じビキニでも違いは大きい。 「明日は彼が休みの日だから、きっと会えないわ。タコ、またねー。」 そう流し目で言って、ジュリーはケンジを抱えてゆっくり揺れながら暗い路地を帰っていった。 毎回、果敢にこの緑の箱をクリックよろしくお願いいたします。 タコ社長の本業・オーストラリア留学 タコのツイッター Twitterブログパーツ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年08月06日 18時35分24秒
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