卓ミルク

　魔法使いになりたいと思う。魔法使いは魔法を使う、絵本や映画の世界の魔法使いだ。魔法使いになって何になりたいのかというと、カエルだ。変身の術を身に着けてカエルになろうと思うのだ。

魔法はどうやったら使えるようになるのか。それにはいくつかの方法がある。
　
1　魔法使いの血筋である

　これはその血筋以外のものにはまねのできることではない。魔女と結婚したところで、魔法が使えるのは嫁と子供たちだけだ。つまり一般人には無理ということだ。

2　魔法使いの弟子になって魔法を伝授してもらう

　これはなかなか難しい。そもそも魔法使いは頑固だから、弟子を取らない。だから1であげた魔女との結婚も難しい。弟子にしてもらっても、免許皆伝に至るまでが長そうだ。弟子といっても半分以上は奉公生活だから魔法の勉強をする時間が持てるかも分からない。

3　魔法グッズを手に入れる

　僕はこの方法を以って魔法使いになることを考えている。1・2の手段に比べたらリスクがかなり低い。魔法グッズとは、アラジンの魔法のランプだとか、スプーンおばさんのスプーンがそれにあたる。魔法が使えるアイテムはちょっと探せば道具屋でも手に入る。問題は使い方だ。道具屋では品物こそ売っていても肝心の取り扱い説明書が無ければ魔法グッズはただの芸術品になってしまう。宝の持ち腐れだ。ただ、魔法グッズはそうそう売られているものでないので、あったらとりあえず買っておくのがベストだろう。

　魔法グッズは何点か入手した。馬鹿みたいに安い品物もあれば、財布が寂しくなる逸品もあった。悲しい話だが、今のところ魔法を使うための取扱説明書は一冊も無い。どうやって探すかは未定。下手したら、取扱説明書を見つける説明書付のグッズを探すかもしれない。だからその扱い方のヒントを得るために古典をチョロッと読んでみたりしている。
　
　いい遅れたが、魔法グッズとは、魔力を持っていそうなアイテムの総称を指す。魔法は想像と直感によって生まれるらしいから、魔力を持ってそうなアイテムが即ち魔法グッズになるのです。ただ、なんとなく選ぶのではそれは魔法の力を秘めているわけではありません。「魔力を持っていそう」というのは想像と直感で決まることだ。この二つの要素に頼って魔法グッズは選ばれ、魔法グッズとなりうるのだ。
　
魔法グッズを買ったら装備してみよう。魔法グッズは自分に適していれば装備し心地がよい。また、はじめはいまいちでも次第になじんでくる場合がある。夢の中に出てきた魔法百科事典によると、注意しなければいけないのは、なじんでいないグッズで魔法を使うと、死んでしまうことがよくあるらしいので、魔法を使うときはなじんだグッズを用いなければならない。

　夢の世界で魔法百科事典のように取扱説明書に出会えるならよいが、今のところそのような兆候は無い。だから今は宝の持ち腐れ状態だ。早く魔法を使える日が来てほしいものだ。その日のために、無理ない範囲で魔法グッズを集めて、来るべき魔法使いライフに備えていこうと思う。一式そろったら、あとはしばらく夢見の日を待とうと思う。