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カテゴリ:過去
次の日の朝、 戸惑いながら 出勤した。
ツナギを着て 髪を一つにまとめて 車の点検をしていたわたしに 社長は近づいてくると、 「なおなお おはよ~。」 と言うと 首にキスをしてきた。
そして そのまま結ったわたしの髪をほどきながら 「なおなおは 髪を下ろしていた方が可愛いよ。」と言った。
わたしは 若かったせいもあるけど、 固まったまま何も言えず動けなかった。
どう対処していいのか 分からなかった。
勿論 他のスタッフの見えないところでされていて 入ったばかりの わたしには他のスタッフに相談なんて出来なかった。
ある天気のいい日に朝に 出勤してきた社長に 「こんな天気のいい日に仕事なんてしてられねーな! よし なおなお 乗れ!!」 と、大型バイクの後に強引に乗せられて そのままツーリングに連れていかれた。
山のあたりを走って ご飯を食べようとレストランに入った時に 「俺 なおなおが好きだ。 なおなおが傍に居てくれるだけでも楽しくて仕方ない。 妻とは 息子が18歳になったら離婚しようって元々話してあるんだ。 だから あと数年したら 結婚してくれないか?」 と言い出した。
当時 社長は38歳。 わたし21歳。
まったく わたしの対象外だった。
唖然・・・・・。
全然意味が分からない。 勿論 社長と付き合ってるわけでもない。
「あの・・・前から言ってますけど、 わたし今 彼氏が居るんです。」
「それは 別れればいいだろう。 すぐにとは言わないよ、待ってるから。」
どうして そうなるの? わたしの気持ちの確認はいいわけ?
「わたし彼が好きなんです。」
「じゃあ、おれの事好きになってもらうよ。」
社長は自信満々に言っていた。
「そうだ!なおなお バイクの免許取ってこいよ! 皆でツーリング行きたいもんなぁ! 金は もちろん俺が全部出すよ。 免許取れたら なおなおの好きなバイク買ってやるよ!」
「いえ・・・ 免許欲しいですけど、今仕事が終わったあとは 整備士講習にも通ってますし、勉強もあるのでしばらくは無理です。」
「そっかぁー、整備士の勉強も偉いよなぁー」
それからも 社長は ティファニーの指輪やネックレス シャネルの香水や クリスチャンディオールの口紅や洋服などをプレゼントしてくれた。
このお店は ニューヨークにも小さな支店があるみたいで 月に一度は 社長は ニューヨークに行って車を輸入してきたりする。
「来月 なおなおも一緒にニューヨークに行こうよ! パスポート取れ! ファーストクラスに乗せてやるよ!」 などと言われたが、これも整備士の勉強があるしと断った。
お金や地位には 全く興味が無かった。 ただ自由に 好きな事を好きなだけしたい時期だった。
もらったプレゼントのほとんどを友人たちにあげてしまっていた。 (今思えば売れば良かったかな(^_^;))
社長の事が心底嫌いなわけではなかったけど、 (仕事は整備などを よく教えてくれたりしたから。)
でも、社長の行動や言葉が怖かった。 立場を利用して わたしに近づいてる感じが逆らえずに嫌だった。
仕事は 楽しかったし、他のスタッフもいい人たちばかりで仕事は辞めたくなかった。
でも、彼氏にも社長の事を相談出来ずに どうしていいか分からない日々が続いていた。
そうこうして、2ヶ月が過ぎたころ 忘年会をやることになった。
伊豆に2泊3日でやるらしい。 4台のベンツとBWで行こうと言っていた。
社長に 「お前の部屋はおれの隣にするから 俺が呼んだら 来いよな。」 と言われた。
さすがに これは身の危険を感じた。
泊まりは不味い。
歓迎会でキスされてから 何事もなく過ごしてきたけど これには ちょっと恐怖を感じた。
もうダメだ・・・。 続けられない。
わたしは次の日から「身体の具合が悪い。」と休み続けた。 社長からは毎晩電話があった。
1週間休んだ 次の日の朝。 会社に電話して「迷惑掛けたので もう辞めたい。 それに もうあの会社で働きたくない。」と伝えた。
社長から何度も電話があり、 「辞めないでくれ。」 「俺のせいなのか?」などと言われたが、 強引に押し切って わたしは辞めた。
ふと 最近 そんな事を思い出して あの会社名をネットで検索してみた。
まったくヒットしない。
派手好きな社長なので 当時 雑誌にもバンバン出ていた。 倒産したんだろうか。 それとも、また会社を変えたのだろうか。
奇妙な思い出でした(^_^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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