ＭＹ研究所

他の先生のクラスから
こちらへ移動してきた生徒さん。
引継ぎ書には
「優秀。とてもよくやってくる。」
と　書かれているのですが
…何だか、全然楽しそうじゃない弾き方。

確かに、練習は　とてもよくやってくる。
難しい曲を渡しても、翌週には全部弾いてくる。
しかし、例えば　何かアドバイスして
「ここから、もう一度弾いてみて。」と言うと
固まってしまいます。
あれ？読譜が苦手？
一週間で弾いてきているのに？

どうやら、彼女の練習は
熱心なお母様が　横にぴったりくっついて
音読みから弾き方まで　面倒を見てくださっていたらしい。
当の彼女はといえば
自分では何も考えず　お母様の言う通り
漢字の書き取りをやるような感覚で弾いていた。

そりゃあ、楽しくないでしょう…。

そのようなわけで
お母様にお願いしました。
見守って、応援していただくだけで結構です。
音楽を　どう感じて、どのように作っていくのかは
どんなに時間がかかっても
本人に任せてください。

直後のレッスンから
いやあ、できない　できない。
音やリズムの間違いが　どっと増え
1週間で　弾いてきていた曲も
2週間、3週間かけて　どうにか弾けるように。

それでも、本人の目つきが変わりました。

自分の演奏を他人事のように　冷めた目で見ていた彼女が
音の変化に　耳をすませ
ぎこちなくても、何かを表現しようとする。

あれから1年。
ピアノは好きになった？　と　尋ねると
はっきりと　『うん』。


もっとも　この生徒さんの場合は、
（いささか強制的とはいえ）
それまで毎日練習していたことに助けられました。
練習の習慣をつけてくださったお母様には
本当に、『感謝』です。

親離れ・子離れの
タイミングの問題だったのでしょうね。